第六十二話 「仲間達」
一万の兵を物ともせず、一方的に斬り裂く伝説の暗殺者一族"剣竜"。
……その首を斬り裂いた、凄まじい強さを持つ"剣竜"に公孫翔はニヤリと笑いながら、こう言った。
「俺は、戻って来ると信じていたぞ。……士元。」
そこには朧の団を抜け、翔国から出ていった筈の"剣竜"劉士元の姿があった。
「……気が変わってな。」
「そうか、それは助かる。」
「それに元々、俺の目的は"そいつ"だからな……。」
そう言いながら"剣竜"劉士元は、ある人物に刃を向ける。
「ククククク……。」
"剣竜"最強の筆頭剣士であり"剣竜"の里、総帥劉飛燕の姿がそこにあった。
「……殺れ。」
総帥の言葉に、その場にいる全員の"剣竜"達が劉士元と公孫翔を囲む。
「…………。」
とりあえずは、助かったものの……。幾ら劉士元が強いとは言え、たった一人で十九人もの"剣竜"に挑むのは、流石に無理があると公孫翔の頭に不安が過る。
「俺も、加勢を……。ぐっ!」
立ち上がろうとする公孫翔だが、傷口が痛み悲痛な表情を浮かべていた。
「…………。」
劉士元は公孫翔を背に、一人で十九人の"剣竜"の前に立つ。
「お前は休んでいろ、すぐに終わらせる。……そして見せてやろう、真の"剣竜"の力をな。」
そう言って剣を構え、劉士元は凄まじい殺気を放つ。
「死ねぇ!裏切り者がぁ!!」
十八人の"剣竜"が一斉に劉士元に襲いかかる。
しかし劉士元は自らの目を閉じ、奇妙な構えを取っていた。……両手を左右に大きく広げ、呼吸を整える劉士元。
そして、その目を大きく見開いた瞬間───。
──ザシュ!!
それは一瞬だった。一刀の元に……。いや劉士元の二刀の元に、一瞬で沈む"剣竜"達。
その圧倒する剣閃の前に十八人の"剣竜"達は皆、その身を瞬時に斬り裂かれていた。
「剣竜二刀流暗殺剣、秘技"鳳凰天舞"。……貴様らに、"剣竜"を名乗る資格は無い。」
──ドサッ。
十八人の"剣竜"を一瞬にして屠り、二刀を携え悠然と佇む劉士元。
「……ほう。どうやら、少しは腕を上げた様だな。」
だが、それを見ても劉飛燕は笑っていた。一瞬にして十八人の"剣竜"を斬り裂く、劉士元の恐ろしい実力を目の当たりにしても尚、劉飛燕は余裕の笑みを浮かべていた。
それは劉飛燕が今までに一度も士元に敗れた事が無く、自らの実力に圧倒的な自信があるからである。
──ヒュッ。
凄まじい剣速の数々が、士元に襲いかかる。
──ガキィ、ガキィン!!
その素早い二人の攻防は最早、公孫翔にも見えていなかった。
──ガガガガガガガガガッ!!
「ククククク……。」
「…………。」
劉士元と互角に渡り合う、その化け物の存在に……。公孫翔だけでなく、その場に居る全員が恐怖していた。
──────────。
「えっ!?」
刹那の意外な言葉に、優駿は驚く。
「あの位なら、何とかなるぜ!」
あの凄まじい強さの"剣竜"を前にして、そう言い放つ刹那に優駿は驚かずには居られなかった。
「そうそう。確かに一人一人の実力は、かなりの物だと思うよ。でも劉士元程じゃない。何とかなるよ。……ギリギリだけどね。」
司馬晋も同じ意見の様だ。
優駿には全く理解出来なかったのだが、やはり腕に覚えがある者ならば、ある程度の強さは見ただけで理解が出来るのだろう。
「今は攻撃が止んでいるだろ?俺が一人斬ったからな……。奴ら、俺を警戒していた。……ま、明日態勢を立て直して攻めて来るだろうがな。」
「えっ!?一人倒したの?……あの"剣竜"を!?」
既に一人倒していた黄牙の言葉と実力に、驚きが止まらない優駿。
「ああ、一対一で俺が負ける事は無い。」
……そう言い、黄牙はニヤリと笑う。
「"剣竜"は後、九人……。俺が五人を殺る。残る"剣竜"を張翼、刹那、司馬晋、士龍。お前達四人が、一人づつ仕止めれば"剣竜"の方は何とかなるだろう。」
「…………。」
優駿は驚きのあまり言葉が出なかった。……そして優駿は改めて思う。やはり、この人達は凄いのだと。
「いやいや、僕は遠慮しますよ。僕を貴方達、化け物と一緒にしないで下さいよー。流石に"剣竜"みたいな化け物を倒すなんて、僕には無理ですよー。」
「……そうか?俺は、行けると思ったんだがな。」
流石に無理だと笑いながら否定をする司馬晋だが、黄牙は本気の様だ。
「なら張翼、お前が二人殺れ。」
「へーい。」
「……では、蛇国兵達は僕と優駿に任せて下さい。」
そう言って司馬晋は、いや……。その場に居る全員が優駿の顔を見ていた。
「大将だろ?シャキッとしろよ、優駿!」
「……うん。そうだね、刹那。」
優駿は、この仲間達なら必ず蛇国に勝てると信じ……。祖国を取り戻す為、もう一度蛇国と戦う決意をする。
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 85
知力 64
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 79
知力 91
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。




