第五十六話 「総大将の意味 二」
「んー。やっぱり、それは今は亡き優国の王子だからですかね。僕ほんと、泣いちゃいそうになっちゃいましたよー。……だから復讐の機会を、優駿に与えて上げたんですよね。やっぱり公孫翔さんって、優しいなぁ……。」
「…………。」
司馬晋の言葉に間を空け、少し考え込む公孫翔。……そして、小さく頷き話を続けた。
「……そうだな。」
まあ、それも理由の一つではあると話を続ける公孫翔だが……。司馬晋の話は、まだ終わってはいなかった。
「んー、でも変ですよねぇ……。蛇国を倒すのに二万の兵だけでは、ちょっと少ないんじゃないかなぁ?今の翔国軍の兵力は約四万五千だよね。そうすると半分以上の兵……。つまり、二万五千の兵が残っている計算になる。防衛の為に半分以上も残すのは、ちょっと多い気がするなー僕。この戦に公孫翔、貴方は出ない。……出撃しない二万の軍、戦場に出ない公孫翔、そして切り札の"剣竜"。」
「…………。」
司馬晋は、ニヤリと笑みを浮かべながらこう言った。
「……つまり、あの二万は陽動でしょ?」
「…………。」
「……続けてくれ。」
公孫翔の、その顔から笑みが消えていた。どうやら正解だったと確信を持ち、笑みを浮かべ話を続ける司馬晋。
「公孫翔さん、貴方の狙いは恐らく……。二万の軍を囮として使って、優駿達が戦っている間に隙を突き、一気に蛇国城を制圧する作成かな?相手は二十万近くの大国だから、陽動で軍を割るのは定石だよね。そりゃ、あの二万の軍は強いよ。何たって、あの"天覇十豪傑"の二人に勝つくらいだからさ。きっと蛇国も手子摺り、本気を出してくる。……十万規模の軍をね。その隙に城を奪っちゃう作戦かなーと。」
「……どう?」
そう言い、司馬晋は鋭い目付きで公孫翔の顔を見る。
「……ふむ。」
司馬晋の話を聞き、少し考え込む様子の公孫翔だが……。
「……あら?」
他愛の無い返事な為、手応えは有ったのにと不思議そうな顔をする司馬晋。
「そうだな、八十点をやろう。……いや、百点でも良いかもな。」
「ん?僕、何処か間違えてました?……おかしいな。」
「いや、そんな事は無い。……正直驚いているくらいだ。概ね当たっているからな……。」
あまり顔には出さない公孫翔だが、司馬晋の鋭い読みに内心は驚かされていた。
正直な話、公孫翔は三人の知略を同程度だと判断していたのだが……。どうやら司馬晋の知略の成長速度は公孫翔の予想を遥かに超えており、三人の中でも頭一つ抜き出ている様だ。
「まあ流石に相手の素性が知れない、この状況では、そんな無謀な真似はしないさ……。」
「んー?」
まだ少し、司馬晋には疑問が残る様子である。
「まあ……。蛇国が何故、李葉が居る葉国に勝てたのかは謎のままだしね……。もう少し慎重な方がいいのかな?」
「ああ、そうだな……。お前が居れば安心だな。……優駿を支えてやってくれ。」
「りょーかーい。」
「……てな訳さ。」
司馬晋は公孫翔との会話の内容を、詳しく優駿に説明した。
「えっ、えええっ!?こっ、この二万の軍は囮なの!?」
「そう言う事、勝っても良いし敗けても問題無いよ。だからガンガン暴れちゃって。そうやって引き付けている間に、公孫翔率いる本隊が動いて何とかしてくれる筈だよ。」
「な、何だ。そうだったのか……。」
肩透かしを食らって、少し落ち込む優駿。
「…………。」
「でも勘違いしちゃ駄目だよ、優駿。たとえ囮だとしても、君がこの二万の軍の大将なのは変わらないんだ。公孫翔さんの力を頼らずに、自分で蛇国を倒す気で挑むんだよ。」
「……晋。」
いつに無く真剣な司馬晋の言葉に、同様に真剣な表情を見せる優駿。
「って、公孫翔さんが言ってたよ。」
「……なんだ、公孫翔さんの言葉だったんだ。」
そんな他愛のない話をしながら、三人は蛇国の領土に足を踏み入れた。
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 85
知力 64
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 79
知力 91
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。




