第五十五話 「総大将の意味 一」
公孫翔は何処か浮かない表情で、優駿達を見送っていた。
「……少し、いいか?翔。」
公孫翔の隣には、いつの間にか劉士元が立っており。士元は公孫翔に話し掛ける。
「俺は翔国を……。朧の団を抜けるぞ、翔。」
「……どうしても、行くのか?」
「ああ……。最初から、その約束だからな。」
「……そうか、寂しくなるな。」
──ざっ。
そして"剣竜"劉士元は翔国を、いや朧の団を去って行った。
「…………。」
公孫翔は、そんな去り行く友の姿を何時までも見送っていた。
「……うーん。」
覚悟を決めたのは良いのだが、二万の軍の総大将と言う事もあり。そして相手が李葉を打ち倒し、三国をも支配下に置く強国と言う事もあり……。
やはり何処か気が重く、落ち着かない様子の優駿。
「おいおい、どうしたんだよ優駿。総大将のお前が、そんな調子でどうすんだよ。」
「うん、そうだよね……。ごめんね、刹那。」
「かー、要は勝ちゃあいいんだろ?勝ちゃあ!俺達が居るんだ、楽勝に決まっているだろ!!」
「……ははは。流石、刹那だね。」
「…………。」
そんな二人の会話を聞きながら、何やら考え込んでいる様子の司馬晋。
「……んー、そろそろ良いかな?」
司馬晋は馬の足を速め、刹那と優駿に近付いた。
「少し良いかい?優駿。実は公孫翔から言伝てを預かって居るんだよ。」
「……え?言伝て!?あっ。そう言えば、あの後二人で何か話してたよね?……それかな?」
優駿は、先日の会議の後。司馬晋だけが公孫翔に呼び止められ、二人で何やら話していた事を思い出した。
「公孫翔も人が悪いよね、黙ってないで最初から教えてあげれば良いのにさ……。優駿、二万の軍の総大将は流石に気が重いでしょ?総大将ってのは公孫翔の冗談だから、そこまで気にする必要は無いよ。」
「……え?それは一体、どういう事なの?晋。」
「…………。」
驚く優駿の顔を見て、司馬晋はニヤリと笑った。
──刻は少し戻り、会議の後の事。
「司馬晋、少し話がある。悪いが、お前は暫く残ってくれるか?」
「……え?僕、一人だけに話ですか?やだなー。僕、何だかわくわくしちゃいますよー。」
「…………。」
公孫翔は顎に手を当てて、少し考え始める。
「司馬晋……。俺が何故、二万の軍の指揮を優駿に委ねたのか分かるか?」
そう司馬晋に問い掛け、公孫翔は真剣な面持ちで司馬晋の表情を伺っていた。
公孫翔が優駿に軍を委ね、二万の軍の総大将にしたのには、合わせて四つの理由がある。
この翔国で公孫翔の次に、知略に優れた策略家とは誰か?。その人物の名前を、三人挙げるとするならば……。
優駿、司馬晋、張翼の三人の名前が挙がる事だろう。
その三人の中で一番頭が切れ、そして知略に長け、軍略を扱うに相応しい人物なのは誰なのかを公孫翔は探っていた。
最初、公孫翔はこの三人の知略を同程度と見ていたのだが、その中でも司馬晋の成長の早さに驚いていた。
何故、自分が二万の総大将に選ばれたのか?
……恐らく、その理由を優駿は気が付いていない事だろう。
優駿が蛇国に滅ぼされた、優国の王子だからと言う理由で、蛇国への復讐の為に。公孫翔が機会を与えてくれたのだと、優駿は考えて居る事だろう。
勿論、それも理由の一つではあるのだが……。
さて、司馬晋は一体何と答えるのか?と、公孫翔は楽しそうに、笑みを浮かべていた。
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 85
知力 64
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 79
知力 91
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。




