第五十四話 「七人」
「……え?」
いきなり大事な話を振られ、慌てて必死に考える優駿。
優駿は何時もの様に顎に手を当てて、一人ぶつぶつと考え始める。
「…………。」
「……うん。」
どうやら優駿の考えが、纏まった様だ。
「こちらは葉国戦、李葉に挑む為の準備は万端の筈ですよね?……蛇国は確かに李葉の居る葉国を打ち倒し、三国を支配下に置く強国なのかも知れません。でも李葉との戦闘で、かなりの苦戦を強いられている筈です。蛇国が消耗している今なら……。ある程度、事を有利に運べるのでは無いでしょうか?」
「…………。」
優駿の考えに、公孫翔は何も言わず。……只真剣な表情で黙り込んでいた。
「…………。」
「……あの、公孫翔さん?」
沈黙に耐えきれず、思わず話し掛けてしまう優駿。
「ふむ。それもそうだな、面白いかも知れん。……では、今回はそれで行くか。優駿、二万の兵を率いて蛇国に攻め入り。元葉国の領土を、全て奪ってきてくれ。……この戦いの総大将はお前だ、優駿。」
「…………。」
「…………。」
公孫翔の言葉に、静まり返る一同。
「……え?」
……そして、その言葉に固まる優駿。
「え、えええええええ─────────!?」
「は?何で、優駿が総大将何だよ!?」
「ハハッ……。」
その場に居た全員が驚く中、公孫翔は一人楽しそうに笑っていた。
「無茶ですよ!相手は、あの李葉を破った蛇国なんですよ?……僕が総大将なんて、あまりにも無謀過ぎますよ!」
「どうしたんだ優駿?……事を有利に運べるんじゃ、無かったのか?」
「────────。」
確かに、そう言った優駿だが……。それはあくまで、公孫翔の知略があっての話である。
公孫翔の出す作戦は、何時も周りを驚かせる奇抜な策であるのだが……。流石に今回は、少し度が過ぎているのでは?と、肩を落とす優駿。
「…………。」
皆が驚き、騒めきが収まらない中。司馬晋は、真顔で優駿の姿を見つめていた。
「二万……。」
「……まじかよ。本当に、二万居やがる。」
二万と言う、大軍の前に立つ優駿と刹那……。その二万と言う大軍勢を前に、二人は流石に足が竦んでいた。
「まじかよ……。冗談じゃ無かったのか、あれ。」
「ははは、あはははは……。」
……もう、笑うしか無くなった優駿。
「じゃあ、頼んだぞ。……優駿。」
そう言って、公孫翔は優駿の肩を叩きながら笑っていた。
「…………。」
もはや、言葉を失ってしまう優駿だが……。
優駿は一人では無く、仲間が居るのである。
"天覇十傑"を打ち倒す、頼もしい仲間達が───。
「俺達も居るんだ、心配するな。」
「そうだぜ、優駿。それに公孫翔も、全く動かないって訳じゃ無いんだろ?」
「でも……。」
不安が頭を過る優駿……。だが優駿は、勇者達の表情に気が付く。
──蛇国に立ち向かう、翔国の将軍達。
黄牙、張翼、士龍、司馬晋、そして刹那。
"天覇十傑"率いる討伐軍に勝利した英雄達。その五人が熱い眼差しで、優駿の姿を見つめていた。
「蛇国を倒して、祖国を取り戻すんだろ?お前が大将だ。……気合い入れて行けよ、優駿!」
「……刹那。」
目頭が熱くなり、優駿の頬を涙が伝う。
「…………。」
刹那の言葉に励まされ……。優駿は確かに、その通りだと気が付き決意を固める。
優駿は今は亡き祖国、優国を思い出していた。父と母を奪った仇、蛇国に復讐し。そして、行方不明の妹を探し出す為に……。
「そうだ、せっかく公孫翔さんが僕に蛇国を倒す機会を与えてくれたんだ……。だから、僕がやらなきゃ……。僕が頑張って、蛇国を討つんだ!!」
優駿は、そう決意し拳を握り締める。
──優駿は忘れていた、いつかの夢を思い起こす。
幼き日に、復讐を誓った優駿。
……その時、優駿は一人だった。
たった一人で蛇国に復讐を誓い、戦うと決めたのだ。
──だが、今は違う。
今の優駿には仲間が居る。"天覇十傑"に、全く引けを取らない。いや、"天覇十傑"よりも頼もしい……。
──七人の熱き、仲間達が居るのだ。
「……よし!」
優駿は、幼き頃に誓った復讐を果たす為に……。
──強大国、蛇国と戦う決意をする。
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 85
知力 64
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 79
知力 91
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。




