第五十二話 「任命」
「刹那、お前を正式に翔国の隊長に任命する。時には数千の部隊を率いてもらう事になるだろう。……期待しているぞ、刹那。」
「おおよ、望む所だ。俺に任せとけ!」
「凄いね刹那、隊長だなんて……。」
「……へへっ!」
和気藹々(わきあいあい)と喜ぶ二人。
「次は士龍、お前も隊長に任命する。……期待しているぞ。」
「はっ、はい。……俺、頑張ります!」
「優駿、お前は丞相だ。……頼んだぞ。」
「あっ、はい。頑張りま────────。」
──!?
…………。
──!?
「えっ、ええっ!?ぼっ、ぼぼ……。僕がこの国の丞相ですか!?」
「……不満か?」
あたふたと慌てふためく優駿の姿を見て、とりあえず声を掛ける刹那。
「丞相って、何だ?……まあ、良く分かんねーけどよ。とりあえず引き受けときゃ、良いんじゃねーの?優駿。」
「よ、良くないよ刹那……。丞相は国で二番目に偉い人で、大臣の中でも一番偉い人なんだよ……。」
「へー、ふーん。……は?」
「は、はぁ!?……たっ、隊長より偉いのかよっ!?……何だか、納得行かねーなぁ。」
……何だか納得が行かず、少し落ち込む刹那であった。
「黄牙、お前は将軍だ。」
「おおよ、当然だな。全て俺に任せろ……。最強の将軍の、この俺にな!」
「すっごーい、黄牙ー!」
公孫翔の横にくっついていた、公孫翔の妹。公孫礼も喜び、黄牙に飛び付く。
「司馬晋、お前は参謀だ。……よろしく頼む。」
「……はーい、りょーかーい。」
「…………。」
周りの視線が、自然と最後の一人に集まり始める。……その人物は不敵な笑みを浮かべながら、公孫翔の言葉をじっと待っていた。
「……で、俺は?」
「お前も将軍だ。……期待しているぞ、張翼。」
「へへっ、やっとか。任せろ!……ははっ。」
念願の将軍に成れて、喜ぶ張翼。……張翼は戦いが終わった直後、すぐに朧の団側に鞍替えしていた。
泥船には乗らず、常に勝ち馬に乗る性分の張翼。
朧の団は"天覇十傑"の一人、厳狼将軍率いる四万の軍に寡兵で勝利したのである。
翔国軍を打ち倒す実力を持つ、朧の団の強さを考えれば……。張翼に、公孫翔の勧誘を蹴る理由は何一つ無かった。
「おいっ、待てよ!!」
その拝任に少し納得がいかない刹那が、公孫翔に詰め寄る。
「何で俺が隊長で、張翼が将軍なんだよ!?俺も将軍にしてくれよ!!」
「ハハッ、俺の方が強ぇからに決まってるだろ!……当然の結果だ。」
「てめぇ!この野郎、一度勝ったくらいで調子に乗りやがって……。ちょっと表出ろ!!」
「……上等だよ。もう一度、階段から蹴り落としてやろうか?」
……そんな二人の掛け合いを、さも面白そうに見守る公孫翔達。
「刹那……。張翼と黄牙。そのどちらかに勝つ事が出来れば、今すぐにでも将軍にしてやるぞ。……頑張れよ、刹那。」
「おおお、言ったなてめぇ……。約束は守って貰うぜ!!」
刹那と張翼は激しく言い争いながら、表へと消えて行った……。
「仲良いな、奴ら。」
「……ねー。」
他人事の様に楽しそうに話す姿の、黄牙と公孫礼。
「…………。」
刹那の事を心配し、少し不安になる優駿。
優駿は大丈夫だとは思ったのだが……。少し不安に駆られ、公孫翔に聞いてみる事にする優駿。
「あの……。公孫翔さん。」
「……ん?どうした、優駿。」
「もしかして、その……。張翼さんは、刹那より強かったりするんですか?」
「ああ、そうだな。例え百回闘ったとしても、刹那は一度も勝つ事が出来ないだろうな。」
──!?
「……えっ、ええっ!?そんなに強い人なんですか!?張翼さんてっ!」
その話を聞いて驚き、優駿は慌てて刹那を追いかけて外に向かった。
──翌日。
死体の様に、ずたぼろの状態の刹那を発見し、慌てて抱き抱える優駿。
「刹那ー!しっかりして、刹那!!」
優駿は少しやり過ぎだと、張翼を睨み付ける。
「違うぞ、俺は止めたぞ!俺は何度も止めとけって言ってるのに、そいつがずっと立ち上がって来るんだよ。……優駿、お前からも何か言ってやってくれ。」
木剣な為、死に到る事は無いと思うのだが……。刹那の状態は、其程までに酷かった。
「俺は、まだ負けてねぇぞ。……張翼。」
……その状態で、まだ闘う意志があり。必死に立ち上がろうとする刹那。
「……俺は、まだ。……ぐっ!?」
だが流石に限界なのか、刹那は糸が切れた様にその場に倒れ。……そのまま意識を失ってしまった。
余程、悔しかったのだろう……。そして誰よりも負けず嫌いな刹那の姿に、張翼は根気負けして只笑っていた。
「優駿、そいつは必ず強くなるぜ。俺は何時でも相手になってやる。……だから、そいつに暫く大人しくしとけって伝えといてくれ。」
「うん、そうだね。刹那はきっと強くなる。……誰よりも。」
そう言って優駿は、刹那を引き摺りながら医務室へと運んで行った……。
「重っ……。」
「……手伝ってやるよ。」
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 85
知力 64
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 79
知力 91
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。




