第五十一話 「葉国の守護神」
数多くの者が名乗りを挙げるのだが……。何れもこれも、この危機的状況を打破できる様な代物では無かった。
だが、そんな中……。ある一人の商家の若者が奇妙な事を言い出し、大臣達を困らせる。
「この私に、一万の兵をお預け下さい。……さすれば二、三日中に、二十一万の軍勢を退かせて見せましょう。」
──ざわっ。
その言葉に驚き、ざわめき始める大臣達……。
この時、葉国には四万の兵しか残されてはいなかった。その為、一万の軍とは決して大した数では無かったのだが……。
しかし、たった一万の手勢で二十万を超える大軍を退けるのは。幾ら何でも不可能だと、大臣達は怒り始めた。
……しかし、その若者はニヤリと笑う。若者の狙い、それは先ず大臣達を怒らせる事なのである。
「たった一万程度の軍で、二十一万の軍勢を退かせる事が出来る訳が無いだろう!……そんな事が出来るなら、苦労はせぬわ!!」
その言葉に、若者は───。いや李葉は不敵な笑みを浮かべて、こう言い放った。
「……そうですね。先ずは、蛇国の旗をなるべく沢山作って下さい。これで翔国と燕国の動きは、止める事が出来るでしょう。」
──その若者の名こそ、李葉。
後の"天覇十傑"最強の一角を担う"三英傑"の一人、李葉である。
大臣達は皆、呆れ返り。……そして怒り始め、李葉に詰め寄る。
「そんな旗で、どうして十万の軍が退かせる事が出来るのだ!?」
「蛇国の旗を、全ての城に立てるのです。そうすれば葉国は既に蛇国の手に落ちたと思い、軍を退かせる事でしょう。」
「……馬鹿な!そんな小細工が、何時までも通じる筈が無かろう!!」
「ほんの一時で構わないのです。……何故なら私がその間に、蛇国十二万の軍勢を追い払うからです。」
ならばやって見せろと言わんばかりに、大臣達は李葉に軍の全権を委ねた。……そして、その二日後。李葉は見事、蛇国十二万の軍勢を退ける事に成功したのである。
その報せに驚く、王や大臣一同……。大臣達は、一体どの様にして十二万の軍勢を退けたのかを李葉に尋ねた。
「蛇国が攻め入る城に、同じ様に燕国の旗を掲げました。……その間に一万の軍を率いて、蛇国の様子を見に行ったのでございます。」
「……何故、様子を見に行っただけで十二万の軍が退くのだ?」
大臣達は、李葉の話を不思議そうに聞いていた。
「何の準備も無しに十二万の軍勢と戦うのは、幾ら私でも不可能です。……ので手薄になった蛇国の城を、北側から様子を見に行ったのです。」
「……き、北側から!?」
大臣達も、その意味を理解したのだろう……。
西側や南側なら兎も角。強大国である北側から軍が現れたとなっては、蛇国も気が気では無い筈だ。……ましてや十二万の軍を派兵し、手薄になった状態なら尚更である。
「"帝"の旗を掲げてね……。」
李葉は笑いながら、そう答えた。
「"帝"の旗を見て蛇国は驚き、すぐに早馬を送っていましたよ。……私達は、その早馬が十二万の軍が居る、葉国の方角に行くのを確認して戻って参りました。」
「…………。」
王や大臣達も皆、言葉を失い絶句していた。大臣達は約束通り大軍を退けた李葉を国の丞相に据え、国の全権を委ねた。
……しかし三日後、蛇国は騙された事を知り再び葉国に大軍を起こして侵攻してきたのである。
「こ、今度は一体どうするのだ?李葉。」
怯える大臣達に、李葉は平然と答える。
「……ご安心下さい、既に手は打っております。」
「おお……。そうか!流石は李葉だな。」
李葉の言葉に安心する大臣達。
李葉はすぐに馬を走らせ、現地へと向かった。
十二万の大軍勢を起こし、葉国に進軍する蛇国軍。明日の戦に備え、葉国の城から遠く離れた地点で夜営を行っていた。
この時代の戦場に置いて、最もやってはならない事。……その一つにあるのが、"夜営の時に灯を灯す事"である。
それは敵軍に、自分はここに居るぞと知らしめているのに等しい。
十二万の大軍で油断をしていたのか、それとも兵力が少ない葉国は籠城に徹すると踏んでいたのか……。
蛇国軍は、葉国側からは攻めて来ない物と安心仕切っていたのである。
「……予想通り、蛇国は油断していますね。では皆さん、弓が尽きるまで放って下さい。」
油断している中、闇夜から大量の弓矢が降り注ぐ。勿論、蛇国側からは全く何も見えてはいない。葉国軍が居るのは当然、真っ暗闇の中なのだから……。
蛇国十二万の軍、は成す術もなく李葉の前に敗れ去った。
李葉は見事三国から葉国を守り切り。その後、七年の間。常に他国の侵攻から、葉国を守り続けた守護神なのである。
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「士龍」
武力 85
知力 64
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 79
知力 91
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。




