第五十話 「最強の将」
「へぇ、そうなのか……。」
優駿の説明が終わり、公孫翔は話を戻す。
「皆も知っていると思うが、この大陸は北に行くほど強国で、南に行くほど弱国となっている。今俺達が居る翔国は大陸の南西にあり、弱小国の一つだ。」
「なっ!?そうなのか?"天覇十傑"が二人も居るってのに、弱い国だったのか!?」
公孫翔の言葉に酷く、驚く刹那。
「……ああ、その通りだ。この翔軍は北は険しい山脈が聳え、西には砂漠と山しか無く。そして南は、広大な海が広がっている。必然、攻めるのも守るのも。東の葉国、只一国のみとなっている。しかも葉国は三方向を敵国に囲まれており、翔国を攻める程の余力は残されてはいない。」
「……なら、翔国は有利な地形なんだな。」
「……ああ。だが今から攻める葉国は長年三方向からの侵攻を受け、翔国の二大将軍を持ってしても未だ攻め落とせてはいない。……刹那、その理由を知っているか?」
「え、えーとあれだっ。何とかって言う"天覇十傑"の、凄ぇ将軍が守っているからだ。」
公孫翔の問いに、しどろもどろに答える刹那。しかし公孫翔は刹那の言葉には反応せず、次に優駿の顔を見る。
「李葉将軍が守って居るからですよね……。確か。」
「……正解だ。」
公孫翔は少し俯いて瞳を閉じ、次に刹那の方に向きを変え話しを続けた。
「刹那、"天覇十傑"の中で最強の将軍は誰か知っているか?」
「そりゃ、お前。誰だって知っているぜ!最強の将軍っていやぁ、王禅将軍に決まってるだろ!!」
「…………。」
意気揚々と答える刹那に対し、公孫翔は少し間を置いて説明を始める。
「刹那……。最強の"天覇十傑"は誰かと質問すると、その議論が尽きる事は無い。それは人によって意見が分かれるからだ。……だがその中で、必ず名前が上がる三人の人物が居る。」
『帝国最強の将、王禅。』
『龍国の英雄、龍大聖。』
『葉国の守護神、李葉。』
「次に俺達が攻め入る葉国は、その三人の内の一人。"天覇十傑"最強の三将……。"三英傑"の一角、李葉が守る国だ。恐らく苦戦は免れないだろう……。気合い入れて行けよ、刹那。」
「…………。」
"天覇十傑"最強の三将、"三英傑"の一人。
──葉国の守護神、李葉。
李葉は正確には将軍では無く、正しくは葉国の丞相である。
九年前、突如力を付け。隣国である優国と麗国の二国を飲み込み、その勢力を拡大した蛇国。
蛇国はそのまま西に向かい、葉国へと侵攻を開始した。
蛇国の北と北西に位置する三ヶ国は何れも、かなりの強国である。その為、次に蛇国が狙うのは必然的に弱小国であり。かつ"天覇十傑"が一人も居ない弱国の葉国が狙われるのは、当然の事だった。
七年前。葉国は勢いを増した蛇国に侵攻され、危機的な状況へと追い込まれていた。
そして更に、弱まっている国と言うのは他国からも狙われる格好の的となる。……弱まっている国程、攻め易い物は無い。
その領土を我が物にしようと漁夫の利を狙い、二国が動き出す。
北からは強国、燕国が五万の兵を挙げ侵攻し。
西からは、"天覇十傑"の将軍が四万の兵で攻め込み。
そして東からは勢力を増し、勢いに乗った蛇国が十二万の大軍で押し寄せる。
一度に三方向から侵攻され、二十一万の軍勢に囲まれる葉国。
葉国国王は流石に無理だと悟り、この戦いを既に諦め。一番ましだと思われる燕国に全面降伏しようと考えていた。
しかし大臣達が、これに猛反発する。三ヶ国共、決してまともな国ではないと。降伏し奴隷になるくらいなら、戦って滅んだ方がましだと大臣達は王に強く進言した。
……だが、この危機的状況を打破する方法が、この葉国に残されている筈も無く。大臣達はがっくりと肩を落とし、その先の言葉を失ってしまっていた。
そこで一人の大臣が半ば諦めながらも、王にある提案をする。
そして葉国国王は、その提案を採用し。急いで国中に、ある御触れを出した。
その内容とは────。
『この危機的状況を打破する策を、導き出した者に大金を与え。そして、この国の丞相に任命する』
……と、言うものだった。
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「士龍」
武力 85
知力 64
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 79
知力 91
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。




