第四十八話 「十分の一」
──ドガガガガガガガッ!!
凄まじい攻防を繰り広げる、劉士元と臥龍。
その人の域を超えた二人の闘いを、ガタガタと震えながら見守る翔王と大臣達……。
「な、なぁ……。もし、これで臥龍将軍が敗れる様な事になれば。……一体、俺達はどうなってしまうのだ?」
「まっ、負ける筈が無かろう!臥龍将軍は、あの"天覇十傑"なのだぞ?……それに、ほらっ!まだ厳狼将軍や他の将軍達も、生き残ってるやも知れぬのだぞ!!」
「……そっ、そうだな。翔国筆頭将軍である厳狼将軍が敗れる事なぞ、万に一つも有り得んわな。」
──ドカッ!
突如、開かれた扉から入ってくる刹那、優駿率いる味方部隊四百名。
「おらー!!どうよ、将軍一人を討ち取ってやったぜー!流石俺様、楽勝だったぜー!!はははははは……。」
大声で、そう話し大臣達に止めを刺していく刹那。
……しかし刹那の姿を見るに、刹那は体の至る所に傷を負っていた。決して楽勝であったとは言い難い物があり、それなりに苦戦していた様子が見受けられる。
そして遅れて入ってくる士龍隊も又、傷だらけで満身創痍であった。
「そう言う事らしいよ?城内に居た将軍二名は、とっくにあの世だってさ。……もう諦めたら?勝負なんて、とっくに着いてるからさ。」
司馬晋は腕を組ながら、にまにまと笑いながら大臣達にそう話す。
「そ、そんな馬鹿な……。」
「儂らは、一体どうなるんだ……。」
大臣達が落ち込むのは、無理もなかった。頼みの綱である"天覇十傑"の厳狼将軍は、城内への侵入を許し。そしてもう一人の"天覇十傑"である臥龍将軍を、力尽くで捩じ伏せる正真正銘の怪物……。大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"の恐ろしさに。
……大臣達は諦め、がっくりと肩を落としていた。
「……ぐぬっ。」
圧倒的な武を誇る"剣竜"の前に、地面に膝を落とす臥龍将軍。何とか致命傷は免れているものの、防ぎ切れない数々の刃をその身に受け。臥龍将軍の体は、かなりの手傷を負っていた。
それに対し、全く無傷の"剣竜"劉士元。……士元は二刀を携え、その場に悠然と佇み。凄まじい殺気を放ちながら、余裕の表情を見せていた。
「…………。」
「……本当に化け物だね、これは。」
その闘いを見守りながら、司馬晋はひっそりと呟く。
その時、劉士元は城内に響き渡る微かな足音に気が付いていた。
「…………。」
数は、凡そ三千……。その微かな足音で、戦況を理解する劉士元。
「……どうやら、あちらも終わった様だな。ならば、そろそろけりを着けるとするか。」
「……ぬ?」
劉士元はそう言い放ち、奇妙な構えを取った。両腕を、だらんと下げ士元は静かに天を仰ぐ。そして、その瞬間───。
──ザシュ!!
士元の姿は、その場に居た全員の視界から消え失せ。それと同時に、その刃を受けた臥龍将軍は血を流し。……そして、大地へと沈んでいった。
「剣竜二刀流暗殺剣、絶技"龍王連牙"。……なかなか楽しめたぞ。この俺に、この技を出させた事を褒めてやろう。」
「……へぇ。」
その超人的な動きは刹那の目にも、士龍や司馬晋の目にも。一体、何時斬ったのかすら理解出来なかった……。
長きに渡る戦いが終わりを告げ。翔国中の民達が朧の団の勝利を喜び、歓喜の声を上げた。
……そして民衆達は、新たな翔王の誕生を心より喜んでいた。
「終わったか……。」
公孫翔は朧の団の皆に会いに行き、その勝利と功績を労っていた。
「おお!待っていたぜ、翔!俺は敵の将軍を一人、討ち取ってやったぜ!!」
とにかく誇らしげに、公孫翔に話す刹那。
「流石だな、刹那。……これからも期待してる。頼んだぞ、刹那。」
「おおよ、任せろ!!」
公孫翔は全員への労いを終えた後、城内の奥へと進み目的の場所へと向かう。
「…………。」
目的の場所、王の間に辿り着き。公孫翔は一人、静かに玉座の前に立っていた。
「これが、玉座か……。」
公孫翔は玉座に座り、ある人物の事を思い浮かべ優しそうな表情を見せる。
「……礼、喜んでくれるかな?礼、昔から姫に成りたがっていたからな……。」
公孫翔は妹の喜ぶ表情を想像し、幸せそうに笑っていた。
『十国伝』「~一章~翔国編」完結
次回 「~二章~蛇国編」開始
武将紹介
「優駿」
武力 45
知力 85
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「臥龍」
武力 96
知力 68
体格 98
"天覇十傑"に名を連ねる、最強の将軍の一人。その実力は、剣竜とも互角に戦える程の強さを持つ。翔国が誇る、二大将軍である。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「青辛」
武力 74
知力 92
糸目 では無い。目を閉じているだけ。
知将。その知略は翔国一と称される人物。翔国の軍略を一手に取り仕切っている将軍である。二大将軍に隠れがちだが、非常に優秀な将軍と言える。
「呉頭」
武力 85
知力 38
悪行 96
大陸最大の盗賊団、月影団の頭目。朧の団以外で唯一、討伐隊を退ける程の武闘派集団の親玉である。かなりの怪力の持ち主。かなり悪事を働いているが、領主程嫌われてはいない。
「士龍」
武力 84
知力 58
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 78
知力 89
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。
「厳狼」
武力 98
知力 84
最強 お爺ちゃん
"天覇十傑"に名を連ねる将軍。翔国軍、筆頭の大将軍でもある。……そろそろ引退して、孫とゆっくりしたいお年頃。身長二メートル以上の巨体を誇っている。
「牛丹」
武力 88
知力 46
牛肉 大好き
翔国五将の一人。相方の豚躑将軍とは大の仲良し。
「豚擲」
武力 87
知力 64
豚肉 大好き
翔国五将の一人。相方の牛丹将軍とは大の仲良し。
「魔神」
武力 5
知力 3
猫力 (ФωФ)にゃあ♪
"天覇猫傑"の一匹。好きな食べ物は、フルーチェ。……ブクマ、感想、評価、リアクションを上げると喜びます。御気軽に、餌をお恵み下さいませにゃー。




