第四十七話 「正真正銘の怪物」
──ダダダダダダダダダダッ!!
「黄牙ー!無事か!?……おいっ、しっかりしろ!死ぬなっ、黄牙!!」
倒れて居る黄牙に気が付き、公孫翔は慌てて馬から駆け降りた。黄牙の生死を確かめる為、必死に大声で黄牙に叫び掛ける。
「……心配し過ぎだ、翔。この程度でくたばる程、俺はヤワじゃねぇ。それよりもだ、翔。……見ろよ。」
そう言って、黄牙は倒れて居る厳狼将軍を指差した。
「討ち取ってやったぜ、"天覇十傑"を!!……どうよ!?」
「…………。」
黄牙の言葉を聞き、心配し過ぎた事を笑う
公孫翔。……公孫翔は黄牙が大丈夫そうだと安堵し、自然と顔から笑みがこぼれる。
「……ああ流石だ、黄牙。お前程、頼りになる奴は居ない。」
「だろう、……あ痛てててて。すまないが、暫く動けそうにねぇな。」
「ああ、ゆっくりと休んでく───。」
──!?
公孫翔は、黄牙を心配するあまり。背後から近付いてくる人影に、全く気が付いていなかった。
「…………。」
恐る恐る、後方を振り向く公孫翔。振り向くと、背後には張翼が立っていた。
先程公孫翔を苦戦させ、逃げるしか手が無かった強敵。その張翼が、すぐ真後ろに立っていたのである。
……しかも一人ではない、五百人は居るだろう。
討伐兵達は皆、掲げられた旗を見て敗北した事を知り。どう対処していいのか分からず、厳狼将軍の元に集まり始めたのだ。
黄牙が無事な事に安堵したのも束の間。公孫翔にとって、この状況は非常に不味い物があった。
こちらの兵力は三千、ほぼ無傷で残っては居る。それに対し討伐軍側は、敗北により戦意は消失しているものの。……まだその数は、一万を超える兵力が残されている。
正直な話、一万程度ならどうにでもなるのだ。……問題は張翼の存在にあった。
既に勝敗は決している、この状況。素直に敗けをみとめ、降参してくれれば良いのだが……。
もし張翼が諦めずに、その一万の兵を率いる様な事になれば。……事態は非常に不味い事になる。
「…………。」
そしてもう一つ、不味い事があった。黄牙を抱えたまま、張翼から逃げ切るのは難しいと。……公孫翔は、そう理解していたのである。
「…………。」
……どうする!?一体、どうやってこの場を切り抜ける!?
そう考え、公孫翔は黄牙を抱き抱えながら、張翼の様子を伺い。機を待つ事しか出来なかった。
「…………。」
だが張翼は何も言葉を発さずに、その場で立ち尽くし。厳狼将軍の屍を、只茫然と眺めていた。
「…………。」
まだ厳狼将軍が敗れ去った事を、張翼は理解出来ずにいるのだろう……。そして張翼はゆっくりと厳狼将軍に近付き、その屍の前に立ち尽くす。
「……お前、厳狼将軍が一体何れ程の化け物か知っているか?」
張翼は公孫翔の方を全く見もせず、厳狼将軍の屍の前で、まるで独り言を言うかの様に……。公孫翔に、そう尋ねた。
「……いや俺は、あまり良く理解はしていない。俺が知っているのは厳狼将軍が"天覇十傑"に名を連ね、その名を天下に轟かせていると言う事ぐらいだ。」
「…………。」
公孫翔の言葉が、まるで聞こえていないかの様に。張翼は淡々と、独り言を喋り続ける。
「決して敗ける筈が無い化け物なんだよ……。俺は臥龍将軍の強さを良く知っている。俺は日々(ひび)臥龍将軍に挑み続け、毎日の様に闘っていたんだ。……だが一度も勝った事はおろか、手も足も出なかったんだ。正直俺は世の中に、あんな化け物が居る事に驚いたよ。……だがな。そんな化け物染みた臥龍将軍ですら、厳狼将軍の前では赤子同然だったんだ。……敗ける筈が無いんだよ。」
「…………。」
公孫翔はその場から動かず、只じっと張翼の話に耳を傾けていた。
「厳狼将軍は人の域を超えた、正真正銘の化け物だ。……それなのに何で"天覇十傑"の、厳狼将軍が倒れてるんだよ。」
張翼は独り言を終え、静かに公孫翔の元に歩み寄る。
「おい、お前……。そいつは一体、何物なんだ?」
「俺の大事な相棒だ。」
「……はは。なんだよ、そりゃ。」
そして張翼は、そのまま口を閉ざした。
……無駄な戦いはしない、それが張翼の信条なのである。
厳狼将軍が敗れ去り、張翼は討伐軍の敗北を受け入れ朧の団に投降する。
張翼の投降により。この時、この戦いに置ける朧の団の勝利が正式に決まる形となった。
「終わったぞ黄牙。……さて、他の仲間達は無事かな。」
武将紹介
「優駿」
武力 45
知力 85
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「臥龍」
武力 96
知力 68
体格 98
"天覇十傑"に名を連ねる、最強の将軍の一人。その実力は、剣竜とも互角に戦える程の強さを持つ。翔国が誇る、二大将軍である。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「青辛」
武力 74
知力 92
糸目 では無い。目を閉じているだけ。
知将。その知略は翔国一と称される人物。翔国の軍略を一手に取り仕切っている将軍である。二大将軍に隠れがちだが、非常に優秀な将軍と言える。
「呉頭」
武力 85
知力 38
悪行 96
大陸最大の盗賊団、月影団の頭目。朧の団以外で唯一、討伐隊を退ける程の武闘派集団の親玉である。かなりの怪力の持ち主。かなり悪事を働いているが、領主程嫌われてはいない。
「士龍」
武力 84
知力 58
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 78
知力 89
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。
「厳狼」
武力 98
知力 84
最強 お爺ちゃん
"天覇十傑"に名を連ねる将軍。翔国軍、筆頭の大将軍でもある。……そろそろ引退して、孫とゆっくりしたいお年頃。身長二メートル以上の巨体を誇っている。
「牛丹」
武力 88
知力 46
牛肉 大好き
翔国五将の一人。相方の豚躑将軍とは大の仲良し。
「豚擲」
武力 87
知力 64
豚肉 大好き
翔国五将の一人。相方の牛丹将軍とは大の仲良し。




