第四十六話 「幕」
「…………。」
城の上に掲げられた"朧"の旗に気が付き、この戦いの終わりと勝利に安堵する朧の団の団員達。
「……よし。」
公孫翔の目にも掲げられた"朧"の旗が目に入り、この戦いが勝利に終わった事に安堵した。
「勝鬨を上げろ!この戦い……。俺達の勝ちだ!!」
「オオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
大声を出し、勝利の雄叫びを上げる朧の団。
「……なっ!?」
「一体、何が起こったのだ……。」
討伐軍の兵達は皆、目の前の光景が信じられず。すぐに、その現実を受け入れる事が出来なかった。
……しかし、それは仕方がない事なのかも知れない。
四万の兵を挙げ、率いているのは"天覇十傑"の厳狼将軍なのである。しかも相手は、たったの三千人と言う寡兵の盗賊達なのだから。
……負ける筈が無い戦いだった。討伐兵達は城に掲げられた"朧"の旗を見ても尚、それを簡単に受け入れはしなかった。
「これは、何かの冗談だよな……。」
「……俺達は、夢でも見ているのか?」
敗北した事を知り、戦意を消失する討伐兵達。
……いや例え負ける事は無いと、頭で理解していたとしても。計略をまともに喰らい、火計で軍の大半を失ったのだ。その時既に、討伐軍は戦意のほとんどを消失していた事だろう。
「…………。」
この戦いは終わりを告げた。……しかし公孫翔の頭の中では、この戦いの勝敗よりも大切な何かが幾度と無く過っていた。
公孫翔は戦っている時に、それが麻痺でもしていたのかの様に……。自分を責めながら、必死に目的の場所へと急ぐ。
戦いが終わり、安心したからなのか?それとも、自分はこんなにも心が弱かったのか?
──相手はあの"天覇十傑"の一人なのだ。
……公孫翔は、そう思い。後悔しながら、必死に馬を走らせ黄牙の元に向かって行った。
「頼む、無事で居てくれよ……。黄牙。」
「馬鹿な……。有り得ないだろ、そんな事。」
城に掲げられた"朧"の旗を見て、茫然と立ち尽くす姿の張翼。
張翼はこの戦いは必ず、討伐軍に軍配が上がると予想していた。例え朧の団に伝説の"剣竜"が居ようとも、自分に撃ち勝つ程の黄牙が居ようとも……。
"天覇十傑"の厳狼将軍の前では敵ですらない事を、張翼は良く知っていたのである。
……この戦いは、まだ終わってはいない。厳狼将軍が健在なら、この戦いはどうにでもなるのだ。
厳狼将軍が、まだ無傷である残りの一万の兵を鼓舞し、奮い立ち上がらせれば。城を取り戻す事など、動作も無い事なのである。
"剣竜"も黄牙も、厳狼将軍には勝てる筈が無いのだから……。
「…………。」
張翼も又、公孫翔と同じ様に厳狼将軍の元に必死に走り出していた。
「……ぐっ。」
……パチパチパチ。
辺りの火が消え始め、消し炭の様に木々が燃え尽きる中。……その闘いが終わり、闘いの勝敗が決していた。
そこには厳狼将軍の一撃を受け、大怪我を負う黄牙の姿があった。黄牙は地に伏せ、その苦痛に顔を歪ませる。
「……くそっ、どんだけ化け物なんだよ。この爺さん。」
並みの常人なら気を失う程の傷を受け、大地に沈む黄牙。既に黄牙の手には、剣を持つ力所か立ち上がる力すらも失っていた。
矛を手にし地に伏せる黄牙の前に、悠然と佇む厳狼将軍。
「……"天覇十傑"は全員、ここまでの化け物揃いなのかよ。」
「…………。」
厳狼は倒れて動かない黄牙を見下ろし、ぼそりと尋ねる。
「……お主、名は何と言う?」
厳狼将軍が、黄牙を強者と認めたのだろうか?……厳狼は何処か遠い目で、黄牙にそう話し掛けていた。
「……あ、俺か?俺の名は黄牙だ。覚えとけ、爺さん。」
「…………。」
厳狼は天を仰ぎ、大空の下で何かを懐かしそうに思い出していた。……そして蓄えた白い髭を触りながら、静かに言葉を発する。
「……全く、口惜しい物だわい。儂が後十年若ければ、こんな若造如きに遅れを取る事なぞ無かったのじゃがなぁ……。」
「おいおい、ざけんな爺さん。五年後には、俺の名前は天下に鳴り響いてるぜ!!」
「ふっ、若造が。……抜かしよる。」
──ドサッ。
力尽き倒れ、その生涯に幕を閉じる厳狼将軍。……黄牙には、その最後の顔が何処か笑っている様にも見えていた。
武将紹介
「優駿」
武力 45
知力 85
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「臥龍」
武力 96
知力 68
体格 98
"天覇十傑"に名を連ねる、最強の将軍の一人。その実力は、剣竜とも互角に戦える程の強さを持つ。翔国が誇る、二大将軍である。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「青辛」
武力 74
知力 92
糸目 では無い。目を閉じているだけ。
知将。その知略は翔国一と称される人物。翔国の軍略を一手に取り仕切っている将軍である。二大将軍に隠れがちだが、非常に優秀な将軍と言える。
「呉頭」
武力 85
知力 38
悪行 96
大陸最大の盗賊団、月影団の頭目。朧の団以外で唯一、討伐隊を退ける程の武闘派集団の親玉である。かなりの怪力の持ち主。かなり悪事を働いているが、領主程嫌われてはいない。
「士龍」
武力 84
知力 58
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 78
知力 89
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。
「厳狼」
武力 98
知力 84
最強 お爺ちゃん
"天覇十傑"に名を連ねる将軍。翔国軍、筆頭の大将軍でもある。……そろそろ引退して、孫とゆっくりしたいお年頃。身長二メートル以上の巨体を誇っている。
「牛丹」
武力 88
知力 46
牛肉 大好き
翔国五将の一人。相方の豚躑将軍とは大の仲良し。
「豚擲」
武力 87
知力 64
豚肉 大好き
翔国五将の一人。相方の牛丹将軍とは大の仲良し。




