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十国伝  作者: 魔神
翔国編

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46/59

第四十六話 「幕」

「…………。」

城の上に(かか)げられた"朧"の旗に気が付き、この戦いの終わりと勝利に安堵(あんど)する朧の団の団員達。


「……よし。」

公孫翔の目にも掲げられた"朧"の旗が目に入り、この戦いが勝利に終わった事に安堵した。


勝鬨(かちどき)を上げろ!この戦い……。俺達の勝ちだ!!」

「オオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

大声を出し、勝利の雄叫びを上げる朧の団。


「……なっ!?」

「一体、何が起こったのだ……。」

討伐軍の兵達は皆、目の前の光景が信じられず。すぐに、その現実を受け入れる事が出来なかった。


……しかし、それは仕方がない事なのかも知れない。

四万の兵を()げ、率いているのは"天覇十傑"の厳狼将軍なのである。しかも相手は、たったの三千人と言う寡兵(かへい)の盗賊達なのだから。


……負ける筈が無い戦いだった。討伐兵達は城に(かか)げられた"朧"の旗を見ても尚、それを簡単に受け入れはしなかった。


「これは、何かの冗談だよな……。」

「……俺達は、夢でも見ているのか?」

敗北した事を知り、戦意を消失する討伐兵達。

……いや例え負ける事は無いと、頭で理解していたとしても。計略をまともに()らい、火計で軍の大半を失ったのだ。その時既に、討伐軍は戦意のほとんどを消失していた事だろう。


「…………。」

この戦いは終わりを告げた。……しかし公孫翔の頭の中では、この戦いの勝敗よりも大切な何かが幾度(いくど)と無く(よぎ)っていた。

公孫翔は戦っている時に、それが麻痺(まひ)でもしていたのかの様に……。自分を責めながら、必死に目的の場所へと急ぐ。


戦いが終わり、安心したからなのか?それとも、自分はこんなにも心が弱かったのか?

──相手はあの"天覇十傑"の一人なのだ。

……公孫翔は、そう思い。後悔しながら、必死に馬を走らせ黄牙の元に向かって行った。

「頼む、無事で居てくれよ……。黄牙。」


「馬鹿な……。有り得ないだろ、そんな事。」

城に(かか)げられた"朧"の旗を見て、茫然と立ち尽くす姿の張翼。

張翼はこの戦いは必ず、討伐軍に軍配が上がると予想していた。例え朧の団に伝説の"剣竜"が居ようとも、自分に撃ち勝つ程の黄牙が居ようとも……。

"天覇十傑"の厳狼将軍の前では敵ですらない事を、張翼は良く知っていたのである。


……この戦いは、まだ終わってはいない。厳狼将軍が健在なら、この戦いはどうにでもなるのだ。

厳狼将軍が、まだ無傷である残りの一万の兵を鼓舞(こぶ)し、奮い立ち上がらせれば。城を取り戻す事など、動作も無い事なのである。

"剣竜"も黄牙も、厳狼将軍には勝てる筈が無いのだから……。

「…………。」

張翼も又、公孫翔と同じ様に厳狼将軍の元に必死に走り出していた。


「……ぐっ。」

……パチパチパチ。

辺りの火が消え始め、消し炭の様に木々が燃え尽きる中。……その闘いが終わり、闘いの勝敗が決していた。


そこには厳狼将軍の一撃を受け、大怪我を負う黄牙の姿があった。黄牙は地に伏せ、その苦痛に顔を(ゆが)ませる。

「……くそっ、どんだけ化け(もん)なんだよ。この爺さん。」

並みの常人なら気を失う程の傷を受け、大地に沈む黄牙。既に黄牙の手には、剣を持つ力(どころ)か立ち上がる力すらも失っていた。

矛を手にし地に伏せる黄牙の前に、悠然と(たたず)む厳狼将軍。

「……"天覇十傑"は全員、ここまでの化け物揃いなのかよ。」


「…………。」

厳狼は倒れて動かない黄牙を見下ろし、ぼそりと尋ねる。

「……お主、名は何と言う?」

厳狼将軍が、黄牙を強者と認めたのだろうか?……厳狼は何処か遠い目で、黄牙にそう話し掛けていた。


「……あ、俺か?俺の名は黄牙だ。覚えとけ、爺さん。」

「…………。」

厳狼は天を(あお)ぎ、大空の下で何かを(なつ)かしそうに思い出していた。……そして蓄えた白い髭を触りながら、静かに言葉を発する。


「……全く、口惜しい物だわい。(わし)が後十年若ければ、こんな若造如きに遅れを取る事なぞ無かったのじゃがなぁ……。」

「おいおい、ざけんな爺さん。五年後には、俺の名前は天下に鳴り響いてるぜ!!」


「ふっ、若造が。……抜かしよる。」

──ドサッ。

力尽き倒れ、その生涯に幕を閉じる厳狼将軍。……黄牙には、その最後の顔が何処か笑っている様にも見えていた。

武将紹介

優駿(ゆうしゅん)

武力 45

知力 85

主人公 オーラがあまり無い。


一応これでも主人公。

亡き国、優国の王子。

生き別れの妹を探している。

祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。

頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。

こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。


刹那(せつな)

武力 89

知力 54

髪型 95 かなり気合い入れてる。


村の自警団の一員。

剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。

でも頭の方は、お察し。

綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。


公孫翔(こうそんしょう)

武力 92

知力 99

髪型 98 美容院通ってるの!?


(おぼろ)の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。


黄牙(こうが)

武力 96

知力 77

自称 最強剣士。


公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。


劉士元(りゅうしげん)

武力 97

知力 67

暗殺 最強の一族


大陸最強の暗殺者一族、"剣竜(けんりゅう)"。


臥龍(がりゅう)

武力 96

知力 68

体格 98


"天覇十傑"に名を連ねる、最強の将軍の一人。その実力は、剣竜とも互角に戦える程の強さを持つ。翔国が誇る、二大将軍である。


張翼(ちょうよく)

武力 94

知力 87

自分 大好き


翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。


青辛(せいしん)

武力 74

知力 92

糸目 では無い。目を閉じているだけ。


知将。その知略は翔国一と称される人物。翔国の軍略を一手に取り仕切っている将軍である。二大将軍に隠れがちだが、非常に優秀な将軍と言える。


呉頭(ごず)

武力 85

知力 38

悪行(カルマ) 96


大陸最大の盗賊団、月影団(げつえいだん)の頭目。朧の団以外で唯一、討伐隊を退ける程の武闘派集団の親玉である。かなりの怪力の持ち主。かなり悪事を働いているが、領主程嫌われてはいない。


士龍(しりゅう)

武力 84

知力 58

努力 家


志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。


司馬晋(しばしん)

武力 78

知力 89

糸目 開眼しないタイプの糸目。


掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。


厳狼(げんろう)

武力 98

知力 84

最強 お爺ちゃん


"天覇十傑"に名を連ねる将軍。翔国軍、筆頭の大将軍でもある。……そろそろ引退して、孫とゆっくりしたいお年頃。身長二メートル以上の巨体を誇っている。


牛丹(ぎゅうたん)

武力 88

知力 46

牛肉 大好き


翔国五将の一人。相方の豚躑(とんてき)将軍とは大の仲良し。


豚擲(とんてき)

武力 87

知力 64

豚肉 大好き


翔国五将の一人。相方の牛丹(ぎゅうたん)将軍とは大の仲良し。

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― 新着の感想 ―
大地に伏せた黄牙が負けたと思いきや、無敵爺ちゃん倒したのか!(≧(エ)≦) 上手い描き方しますよね〜魔神様!!途中まで勘違いしましたよ! 横牙を思って駆けつける公孫翔。でも急いで治療しないと、横牙ま…
朧の団の勝利!!まさか十倍以上の兵力があるのに負けるとは思ってないですよね〜、討伐軍も。 黄牙が無事でよかった…あの、じいちゃんにぼろぼろになりながらも勝ったのは凄い! 早く公孫翔見つけたげて〜!
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