第四十三話 「無謀と勇猛」
──ドゴォ!!
敵将の重い一撃を喰らい、吹き飛ばされる士龍。
「ぐぅっ。……強い。」
「ぐははははははははっ。貴様ら雑魚が束になってかかった所で、この俺様には勝てぬよ!!」
巨大な鉄球を用いて、士龍を一撃で吹き飛ばし。猛る様に吠える屈強な大男、豚擲将軍。
士龍隊三百は、右側の通路を進む最中。運悪く豚擲将軍率いる二千の大隊に当たってしまい、壊滅状態へと追い込まれていた。
「くっ、ここで俺が退けば作戦が……。他の隊の決死の努力が、全て無駄になってしまう。」
……士龍は、逃げる訳にはいかなかった。三隊の内、二隊は必ずこうなる事が分かっていたからである。
勿論、退却しても構わないのだが……。
それは二隊がある程度、敵を引き付け時間を稼ぎ。その間に残りの一隊が、王の元まで辿り着けるだけの。……城を制圧するだけの、時を稼いだ後の話である。
だが、別にそんな物を気にせず。自らの命に危険が迫れば、退却すれば良いだけの話なのだが……。
この士龍と言う男は、何とも律儀で忠誠心の厚い男だった。
──ガキィン!!
「ぐっ!!」
激しく吹き飛ばされる士龍。とても勝ち目の無い戦いだった。……今の士龍の実力では到底勝てない相手だと言う事は、士龍自身も良く分かっていた。
そして士龍の置かれている状況も、非常に不味い物があった。
豚擲将軍の大隊に発見され、二千もの敵兵に囲まれ攻撃を受ける士龍隊三百。味方の兵士達は苦戦する所か既に壊滅状態にあり、立っている兵は僅かに残されているだけだった。
「……くそっ!」
それでも諦めずに、果敢に立ち向かう士龍。その闘志の火が燃え尽きる事は無く、何度も将軍に挑み続け。迫り来る敵に、懸命に抗い続けた。
確かに士龍は律儀で忠誠心の厚い、愚直な男なのかも知れない。だがそれと同時に、この戦いは士龍にとって。友や家族の弔いの意味合いが大きかったのである。
……亡き友の為に、愛する家族の想いに答える為に。士龍は何度でも立ち上がり、敵将の待つ敵陣の中へ飛び込んで行く。
「家族や仲間の敵を討つ為。俺はこんな所で、逃げる訳にはいかないんだ!!」
──ガキィン!!
士龍の槍が唸る。……しかし豚擲将軍は難無くそれを受け止め、ニヤリと笑う。
……状況は絶望的だった。
敵兵二千は、ほとんどと言っていい程減ってはおらず、逆に味方の兵は既に壊滅状態にある。
家族や失った仲間達、倒れ行く味方の兵士達。……様々な想いが、士龍の頭を駆け抜けていく。
勝てない事は分かっていた。士龍は自らの槍を持つ手に力を込めると同時に、ここが自分の死に場所なのだと既に覚悟を決めていた。
「くっ……。せめて、敵将だけでも。」
震える手で、槍を握り締める士龍。……士龍は槍を手に、命を賭して玉砕覚悟で走り出す。
──すたすたすた。
「無謀と勇猛を履き違えるな。まあ、俺は嫌いでは無いがな……。」
──ザシュウ!!
──!?
その声に驚き、慌てて振り返る士龍。……いや士龍だけではない。豚擲将軍含め、その場に居た全員がその光景に驚き息を飲んだ。
千は居た筈なのだ……。つい先程まで、そこには千の数の敵兵が居た筈なのである。士龍の奮闘に目が行き、気が付かなかっただけなのだろうか?
気が付いた時には千の数の敵兵士、その全てが。……只の肉片と化していた。
千の数の屍が全く目に入って居ないかの様に、只悠然と歩く一人の剣士。
──二本の剣を携えた、大陸最強の暗殺者一族"剣竜"。
……"剣竜"。劉士元は何事も無かった様に士龍の元に近付き、こう話す。
「ここは俺に任せて、先に行け。」
二刀を光らせ、劉士元は徐に豚擲将軍の居る千の敵陣に歩んでいく。
先程まで、あんなにも虚勢を張り。威勢が良かった筈の豚擲将軍が、その男の登場により。まるで蛇に睨まれた蛙の様に、ガタガタと震えていた。
その死神の様な殺気を放つ"剣竜"の前に、今にでも武器を落としてしまいそうに震え。……豚擲将軍は、迫る死の恐怖に身動き一つ取れなかった。
武将紹介
「優駿」
武力 45
知力 85
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「臥龍」
武力 96
知力 68
体格 98
"天覇十傑"に名を連ねる、最強の将軍の一人。その実力は、剣竜とも互角に戦える程の強さを持つ。翔国が誇る、二大将軍である。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「青辛」
武力 74
知力 92
糸目 では無い。目を閉じているだけ。
知将。その知略は翔国一と称される人物。翔国の軍略を一手に取り仕切っている将軍である。二大将軍に隠れがちだが、非常に優秀な将軍と言える。
「呉頭」
武力 85
知力 38
悪行 96
大陸最大の盗賊団、月影団の頭目。朧の団以外で唯一、討伐隊を退ける程の武闘派集団の親玉である。かなりの怪力の持ち主。かなり悪事を働いているが、領主程嫌われてはいない。
「士龍」
武力 84
知力 58
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 78
知力 89
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。
「厳狼」
武力 98
知力 84
最強 お爺ちゃん
"天覇十傑"に名を連ねる将軍。翔国軍、筆頭の大将軍でもある。……そろそろ引退して、孫とゆっくりしたいお年頃。身長二メートル以上の巨体を誇っている。
「牛丹」
武力 88
知力 46
牛肉 大好き
翔国五将の一人。相方の豚躑将軍とは大の仲良し。
「豚擲」
武力 87
知力 64
豚肉 大好き
翔国五将の一人。相方の牛丹将軍とは大の仲良し。




