第四十一話 「声東撃西」
「たったあれだけの数で、"天覇十傑"の厳狼将軍に挑むなんて。……反乱軍は馬鹿なのか?」
この戦に参加していない門番達は、この戦いを遠巻きに眺めながら退屈そうに、のんびりと会話を楽しんでいた。
「だが反乱軍は、一万二千の軍を打ち破ったって話だぜ。」
「……油断してた、だけだろ?」
「でもな、その軍を率いていたのは青辛将軍なんだよ。」
そう暇そうに話す、門番の衛兵達。彼らは自分の身に及ぶ危険等は、全く気にしていなかったのだろう。……ましてや、この戦力差なのだ。あちらから攻め込む等とは、夢にも思っても見ない事だろう。
──ギィィィィ。
徐に開け放たれる城門。この戦いの最中、不自然に開け放たれる城門に気付く者は少なかった。
四万対八千程度の戦いなのである。こちらから攻める事は有っても、向こうから攻めて来る等、誰一人として想像する事は無いだろう。
……ましてや自分達が敗北するとは、露とも思っていないのだから。
──ザザッ。
それ故に城門に近付く不審な影に、気が付くのも遅れる事になる。
「……なんだ、あれは?一体、何処の部隊だ?」
「……ん?城門が開いているぞ?お前、聞いているか?」
「いや、俺は聞いてはいないが……。」
その状況に、戸惑う姿の門番達。城壁を守る多数の衛兵達も皆、その迫る敵影を不思議そうに眺めているだけで、対応しようと迄にはならなかった。
「今だ、走れっ!!」
刹那の叫ぶ声と共に、優駿率いる千の部隊が一斉に門目掛けて走り出す。
「な、何だ!?……ぐはあっ!!」
──ザシュ!
素早い刹那の剣が唸る。
──ダダダダダダダダッ!
素早く門番を沈める刹那。そのまま千の部隊は、一気に城内へと雪崩れ込んで行く。
「先に潜入していた部隊が、上手くやってくれた様だね。刹那。」
「……ああ、そうらしいな。」
公孫翔は、この日の為に。朧の団に協力する人物を多数集め、王国内部に潜り込ませていた。協力者は募る事は、いとも容易い物であった。
……只でさえ、国中から恨まれている王や貴族達なのだ。寝返る者は後を立たなかった。
そして、金銭的にも余裕があった。公孫翔は全ての資金を投入し、寝返る可能性がある人物に配り回っていた。金銭等この戦いが終われば、どうとでもなるのだから……。
「何だっ!?城門が開いているのか?」
「何をしている!?早く侵入者を止めろ!!」
混乱する城壁の上の衛兵達。そして城内に居る兵士達も、僅かの兵士しか残されてはいなかった。
反乱軍の鎮圧に四万の兵力を投入し、そしてそれと同時に隣国である"葉国"に四万の兵を送っていた。
その為、城内に残る兵士の数は五千にも満たなかったのである。
優駿達は千の兵を三隊に分け、一斉に王の間を目指す。優駿達が隊を三つに分けたのには理由があり、まだこの城内に将軍が二名残っていると予想した為である。
……もしその将軍率いる大隊と鉢合わせをする様な事になれば、非常に厄介な事態に陥る事だろう。
そうなった際、隊を三隊に分けて置けば。残りの一隊は必ず王の元に無事、辿り着ける事が出来る筈なのだから。
「死ぬなよ、お前ら……。行くぜ、優駿!」
刹那、優駿率いる四百の隊は中央の通路を進んでいく。
「君達もね……。」
司馬晋隊三百は、裏口から回り込む。
「皆さん、頑張って下さい!……俺も精一杯、頑張ります!!」
士龍隊三百は、右側の通路から攻めていく。
──公孫翔の放つ策略。
それは公孫翔率いる三千と、援軍である月影団五千。……その八千の兵、全てを囮とし。討伐軍四万を引き付け、その間に城を攻め込んで占領すると言う物であった。
この決戦の命運は、この刹那と優駿の双肩に掛かっているのである。
刹那と優駿が城を占領するまでに、公孫翔が耐えきれば朧の団が勝利し。
逆に耐えきれなければ、朧の団の敗北が決まってしまう事であろう。
公孫翔と黄牙が苦戦を強いられる中、刹那と優駿は勝利を信じ。一路、王の間へと走り出した。
武将紹介
「優駿」
武力 45
知力 85
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「臥龍」
武力 96
知力 68
体格 98
"天覇十傑"に名を連ねる、最強の将軍の一人。その実力は、剣竜とも互角に戦える程の強さを持つ。翔国が誇る、二大将軍である。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「青辛」
武力 74
知力 92
糸目 では無い。目を閉じているだけ。
知将。その知略は翔国一と称される人物。翔国の軍略を一手に取り仕切っている将軍である。二大将軍に隠れがちだが、非常に優秀な将軍と言える。
「呉頭」
武力 85
知力 38
悪行 96
大陸最大の盗賊団、月影団の頭目。朧の団以外で唯一、討伐隊を退ける程の武闘派集団の親玉である。かなりの怪力の持ち主。かなり悪事を働いているが、領主程嫌われてはいない。
「士龍」
武力 84
知力 58
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 78
知力 89
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。
「厳狼」
武力 98
知力 84
最強 お爺ちゃん
"天覇十傑"に名を連ねる将軍。翔国軍、筆頭の大将軍でもある。……そろそろ引退して、孫とゆっくりしたいお年頃。身長二メートル以上の巨体を誇っている。




