第三十八話 「友の言葉」
──ドドドドドドドド!!
三万五千と言う大軍の侵攻により、木々が騒めき山が揺れ動く。
「…………。」
この戦い、公孫翔の頭の中には一つの不安があった。
例え自分の元に、三千の兵が居たとしても。即興で集めた三千では、討伐軍とまともに戦う事は出来ないだろう。
……実際に戦力になるのは、最初から居る二百五十人だけだと言う事を、公孫翔も分かっていた。
「……黄牙、少しいいか?」
「おっ!何だ、出番か?任せろ、何でも言ってくれ。」
やっと公孫翔が重い口を開いた事に、少し安心する黄牙。……だが公孫翔の表情は、まだ少し暗い物があった。
「すまん、俺の判断が甘かった所為で。立てていた二十四ある計の内、二十二の計略が潰れてしまった。……まさか月影団があの様な大軍を前にして、あんな安い挑発に乗るとは思ってもみなかったからな。宛にしていた盗賊団五千の援軍が、これだけで消えてしまった。」
「減らせたのは、精々五千程度だろう。……すまない、全て俺の判断が甘かった所為だ。」
「ああ、そりゃあ難儀だなぁ。……だがよ。まだ勝てる策が、後二つ残ってるんだろ?」
悔やむ姿の公孫翔に、黄牙は簡単な引き算の"差"を答える。例え数ある計略が潰えたと言え、まだ残っている計略は幾つかはある筈なのである。
……だが、公孫翔の表情はかなり重い物があった。
「あるには、あるんだがな。……まあ、負ける事は無いだろうが。」
そう話した後。……公孫翔は少しの間、口を噤んでいた。そして少し思い詰めた表情の後、黄牙にそう切り出す。
「俺が苦しむ策と。黄牙、お前が苦しむ策。……どちらがいい?」
思い詰め、何処か寂しげな表情で公孫翔は黄牙にそう告げた。
……公孫翔には、分かっていたのだ。
黄牙がどう答えるか等、長年の付き合いである公孫翔には、分かりきっていた事なのだ。
「答えは決まっている、俺が苦しむ策だ。……要は、あれだろ?俺が一騎打ちで、"天覇十傑"を倒せばいいんだろ?……なら俺に、任せておけ。」
「……すまない、頼めるか?」
「誰に向かって、言ってるんだ?この世に、俺より強い奴は居ない。……だから、そんな辛気臭い顔すんなよ。」
「……ははは、そうだな。」
一番頼りになる、黄牙の言葉に。……公孫翔は笑っていた。
「……やるか。」
「おおよ!やっと、俺の出番だな。……腕が鳴るぜ!」
公孫翔は友の言葉で何時もの表情に戻り、勝つ為の策を放つ。
……公孫翔の放つ、その計略とは?
当然だが、この世界には火薬などと言う物はまだ存在しない。鉄砲など重火器も存在しなければ、ましてや戦闘機や戦車などもある筈が無い。
そんな世界に置いて、最強の戦術とは何か?勿論それは幾つも存在し、様々な戦術が挙げられるが。
……その中の一つに、罠に嵌めれば最も多くの敵兵の命を奪い。火薬並みの高い威力を持つ、恐ろしい計略が存在する。
それは歴史上、最も有名な計略の一つ……。
──火計である。
「放て。」
公孫翔の計によって放たれる、数多の火矢。その放たれた火によって油を伝い、その炎は業火となって討伐軍に襲いかかっていく。
「…………。」
炎の海と化した、その光景を。公孫翔は何も言わず、冷ややかな表情で只見つめていた。
武将紹介
「優駿」
武力 45
知力 85
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「臥龍」
武力 96
知力 68
体格 98
"天覇十傑"に名を連ねる、最強の将軍の一人。その実力は、剣竜とも互角に戦える程の強さを持つ。翔国が誇る、二大将軍である。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「青辛」
武力 74
知力 92
糸目 では無い。目を閉じているだけ。
知将。その知略は翔国一と称される人物。翔国の軍略を一手に取り仕切っている将軍である。二大将軍に隠れがちだが、非常に優秀な将軍と言える。
「呉頭」
武力 85
知力 38
悪行 96
大陸最大の盗賊団、月影団の頭目。朧の団以外で唯一、討伐隊を退ける程の武闘派集団の親玉である。かなりの怪力の持ち主。かなり悪事を働いているが、領主程嫌われてはいない。
「士龍」
武力 84
知力 58
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 78
知力 89
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。
「厳狼」
武力 98
知力 84
最強 お爺ちゃん
"天覇十傑"に名を連ねる将軍。翔国軍、筆頭の大将軍でもある。……そろそろ引退して、孫とゆっくりしたいお年頃。身長二メートル以上の巨体を誇っている。




