第三十七話 「赤き虎」
「隊長、我々は動かないのですか?」
厳狼将軍が全軍突撃の命を下し、多くの騎兵達が山中に駆け込んで行く中。その中で只一つ、全く動く気配が無い一隊が居た。
「罠があると分かっていながら、突撃とか馬鹿がする事だ。……俺達が動くのは、その後だ。」
その一隊を率いている隊長の名は、張翼。刹那達の領主邸襲撃の際に、臥龍将軍の側に居た人物である。
張翼はかなりの実力者であり、その腕は誰もが知る所である。頭の方も切れ、国一の知将と謳われる青辛将軍を除けば。この翔国では一、二を争う程の知略の持ち主と言えるだろう。
張翼はこの前の戦いの中で、朧の団の実力をある程度理解していた。その為張翼は朧の団を決して侮らずに、この戦況を冷静に分析し判断を下していた。
……もし討伐軍が反乱軍に本気で勝つのなら、この張翼を総大将か参謀にするべきだったのかも知れない。この張翼も又、"天覇十傑"に引けを取らない人物なのだから。
山中には入らず、山の外で隊を待機させる張翼。朧の団の事だ、必ず何かしらの罠を仕掛けこちらを誘っているのは明白だった。
……つまり張翼の隊が動くのは、公孫翔の放つ計略の後である
「…………。」
張翼は、この戦いを何処か遠い目で見ていた。
張翼は特に、この国が嫌いな訳では無い。だが、この軍や王政には全くと言っていい程、忠誠心等は持ち合わせていなかった。……むしろ自分の実力を認めない、軍の上層部には嫌気が差す程であった。
しかし、臥龍将軍だけは違っていた。臥龍は張翼の溢れる才を見抜き、すぐに隊長にまで抜擢をする。
その為、臥龍将軍にだけは付き従い。まるで恩師の様に尊敬の眼差しで見ていた。
……だが張翼には野心があり、そして野望があった。沈み行く船には決して乗らず。常に勝ち馬に乗る性分なのが、この張翼と言う男である。
張翼はこの戦いが始まる以前から、討伐軍と反乱軍の強さを天秤に掛けて、その勝敗を予想していた。
それでもし反乱軍が勝つのなら、張翼は反乱軍に寝返って居た事だろう。
……しかし張翼が出した答えは、討伐軍の勝利と言う物だった。
公孫翔の知略、大陸最強の暗殺者一族"剣竜"の恐ろしさ。そして黄牙の実力、率いる三千の兵の力、その全てを加味して計算に入れた所で……。
"天覇十傑"である厳狼将軍の前に、到底太刀打ち出来ないだろうと、張翼は判断していた。……それに四万対三千と言う、戦力差も大きいと言える。
張翼は厳狼将軍の実力も、臥龍将軍の実力も把握していた。……それは実際に、その二人と剣を交えた事がある為である。
そして張翼は黄牙とも剣を交え、そして臥龍将軍と戦う"剣竜"の姿も見ていた。
張翼は双方の戦う姿を見た上で、双方の実力を推し測る。だが張翼の頭の中では黄牙と"剣竜"が幾ら強かろうと、"天覇十傑"である厳狼将軍に勝つ姿を想像する事が出来なかった。
──厳狼将軍の強さは、張翼が恐れる程の。人の域を超えた、決して勝つ事の出来ない化け物だからである。
──ドドドドドドドド!!
三万五千と言う大軍勢を前にして、まだ戦いに慣れてはいない朧の団の新人兵士達は、不安に押し潰されそうになっていた。
"天覇十傑"厳狼将軍率いる、討伐軍三万五千と。
公孫翔率いる朧の団、三千の戦いが今始まる。
武将紹介
「優駿」
武力 45
知力 85
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「臥龍」
武力 96
知力 68
体格 98
"天覇十傑"に名を連ねる、最強の将軍の一人。その実力は、剣竜とも互角に戦える程の強さを持つ。翔国が誇る、二大将軍である。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「青辛」
武力 74
知力 92
糸目 では無い。目を閉じているだけ。
知将。その知略は翔国一と称される人物。翔国の軍略を一手に取り仕切っている将軍である。二大将軍に隠れがちだが、非常に優秀な将軍と言える。
「呉頭」
武力 85
知力 38
悪行 96
大陸最大の盗賊団、月影団の頭目。朧の団以外で唯一、討伐隊を退ける程の武闘派集団の親玉である。かなりの怪力の持ち主。かなり悪事を働いているが、領主程嫌われてはいない。
「士龍」
武力 84
知力 58
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 78
知力 89
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。
「厳狼」
武力 98
知力 84
最強 お爺ちゃん
"天覇十傑"に名を連ねる将軍。翔国軍、筆頭の大将軍でもある。……そろそろ引退して、孫とゆっくりしたいお年頃。身長二メートル以上の巨体を誇っている。




