第十九話 「龍対竜」
そして大男が戦斧を振りかぶり、"剣竜"に狙いを定めて攻撃をした。……その瞬間。
──ガタッ。
入り口の扉が勢い良く開け放たれ、刹那や黄牙率いる朧の団が突入してくる。
「……ぬ。」
大男は攻撃の手をぴたりと止め、刹那達朧の団の方を一瞥した。
「…………。」
そして、それに全く動じない剣士"剣竜"。
「お前が苦戦するなんで、珍しい事もあるもんだな。手伝おうか?……劉。」
……"剣竜"。名を、劉士元と言う。黄牙の言葉に苛立ちを覚え、士元は横目で黄牙を睨み付ける。
「……要らぬよ。貴様等は、そこに居る領主の首でも翔の所に持って行くがいい。」
「ひいぃぃぃ。」
その言葉を聞き領主は震え上がり、飛ぶように逃げ出して行った。
「あっ、てめぇ!?待ちやがれっ!!」
──だだだだだだだだっ!
必死に逃げる領主だが……。足を痛め、満足に走る事が出来ずに刹那に追い付かれてしまう。
──ドカッ!
「ぎゃあ!」
領主を、思い切り蹴り飛ばす刹那。蹴り飛ばされ壁に激突する領主を、刹那は怒りを露にしてゆっくりと領主に詰め寄った。
──ぐいっ。
「ひいぃ……。」
刹那は襟首を掴み、鬼の形相で領主を睨み付ける。
「……優駿は何処だ?生きているなら、命だけは助けてやる。だが、もし死んでいる様な事があれば……。その時は、覚悟しておけ!!」
「ひいぃぃぃ!!」
刹那はそう言い放ち階段を駆け上がり、二階へと走って行った。
「た、助けてくれ……将軍。」
領主は涙目になりながら、必死に将軍に助けを求める。
「……うーむ。」
将軍と呼ばれたその大男は、全くどうしたものかと顎に手を当て首を傾げていた。
「…………。」
……そしてゆっくりと振り向き、先程から凄まじい殺気が止まる事の無い"剣竜"に向かって身構える。
……士元は双剣を構え殺気を放ちながらも、静かに呼吸を整えていた。そして大男が振り返り、戦斧を構えたその瞬間。……士元は、静かに目を見開く。
──ズガガガガガガガガガッ!!
士元が目を見開いた瞬間、恐ろしい斬撃の数々が大男に襲いかかる。
「ぬっ、ぐぬっ……。」
防戦一方と、追い込まれる大男……。しかし大男は伝説の"剣竜"の放つ、恐ろしい速さの斬撃の数々を全て戦斧で受け止めていた。
──ズガガガガガガガガッ!!
──ガキィッ、ガキィン!!
「…………。」
死闘を繰り広げる両者。その二人の闘いを見守る黄牙の頭に、ある一つの疑問が浮かび上がる。
劉士元が強い事は理解出来る。伝説の暗殺者一族の末裔なのだから、その実力は当然と言えるだろう。
しかしその"剣竜"の放つ高速の斬撃の数々を、全て捌く事の出来る大男は。
……一体、何者なのかと。
「…………。」
黄牙はその大男の戦い方を洞察し、静かに力量を見定めた。……そして、その黄牙の疑問は確信へと変わる。
「なあ、おっさん……。臥龍か?それとも、厳狼か?」
「……ぬ?」
──ガキィン!!
士元の刃を防ぎながら大男は少し間合いを取り、横目で黄牙の姿を見る。
「……ほぅ、何だ小僧。儂の名前を知っておるのか?」
──!?
その言葉に驚く、黄牙と劉士元。
「へぇ……道理で。」
「……ほう。」
……いや、その場に居た黄牙の配下達も皆その名に驚愕していた。
「何だって!?」
「……こいつが、あの!?」
──ヒュッ。
士元は瞬時に飛び上がり、その高速の二本の刃を大男に叩き付ける。
──ガキィン!
しかし大男はその高速の剣を難無く受け止め、思いっきり戦斧を士元に叩き付けた。
──ドゴォ!!
「何だと!?」
吹き飛ばされる、伝説の暗殺者一族"剣竜"。
「……ふん。」
大男は持っている戦斧を肩に担ぎ、黄牙を見下ろすように睨み付けた。
「左様……。儂が、臥龍よ。」
──その言葉を聞き、黄牙の目の色が変わる。
「……そうか、会いたかったぜぇ!」
そう言い、黄牙は震えながら剣を構えた。
「儂の名前を知っておるとは、何とも感心な事だ……。」
「……知ら無い奴は、居ねぇだろ。」
「だが……。儂の名を聞いて尚、この儂に勝負を挑むと言うのは、あまり感心せんがのぉ。」
「その首、置いていって貰おうか。」
臥龍将軍に剣を向け、睨み付ける黄牙。
「……面白い、後悔するで無いぞ小僧。」
黄牙と向き合い、恐ろしい殺気を放ちながら戦斧を構える臥龍将軍。
──すたすたすた。
「おい、それは俺の獲物だ。横取りは、許さぬぞ。」
当然ながら無傷の劉士元。士元は黄牙を睨み付け、刃を突き付ける。
「……はいはい、分かったよ。それじゃ何時までも遊んでないで、そろそろ本気出せよ。」
「……ぬ?」
臥龍将軍は"剣竜"の放つ、殺気の質が変わって行くのを感じていた。
呼吸を整え士元が目を閉じた瞬間、その場の空気が変わる。伝説の暗殺者一族"剣竜"劉士元は、全く本気を出してはいなかった。
……自分とある程度渡り合える久々の獲物を前に高揚し、少し遊んでいたのである。
──だが、それは臥龍将軍も同じであった。
「ほぉ、面白い。見せて貰おうか、"剣竜"の真の実力とやらを……。」
……この大陸は十の国に分かれ、それぞれ覇を争っていた。そしてこの大陸には、大陸全土に名を轟かす最強の十人の将軍が存在する。
──その名を、"天覇十傑"と言う。
この大陸に住む人間なら、誰もが名前を知る最強の将軍達。
……臥龍将軍も又、その"天覇十傑"に名を連ねる最強の将軍の一人だった。
武将紹介
「優駿」
武力 45
知力 75
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 天才らしい。
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、剣竜。
「臥龍」
武力 96
知力 68
体格 98
"天覇十傑"に名を連ねる、最強の将軍の一人。その実力は、剣竜とも互角に戦える程の強さを持つ。翔国が誇る、二大将軍である。




