第十八話 「竜虎相搏」
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──ザシュ、ザシュザシュ!!
「ひいぃぃぃ。たっ、助け……。」
……一方的だった。それは只、一方的な殺戮に過ぎなかった。
──すたすたすた。
剣を片手に、領主の元に死神の如く歩み寄る大陸最強の暗殺者一族"剣竜"。
領主の周りには、領主が雇った護衛の兵士達が二百人以上は居た筈なのだ。二百を超える護衛兵の中に自ら飛び込むその男を、全く何と愚かな奴なのだと先程まで鼻で笑っていた領主。
しかし領主が瞬きをした、ほんの一瞬の間に。……衛兵達は、只の肉片と化していた。
──すたすたすた。
剣を携え、その男"剣竜"は静に歩み寄る。
「……貴様が、領主か?」
腰を抜かして倒れている領主を見下ろし、ぎろりと恐ろしい目で睨み付ける"剣竜"。……たかが衛兵二百如き、"剣竜"の前では敵ですらない。
「ひぃぃ、助け……金なら払う。そうだ、お前!俺に、雇われる気は無いか?かっ、金なら幾らでもあるぞっ。ほらっ……。」
領主は震える手で、札束を取り出す。
「……下衆がっ、下らん。」
"剣竜"は札束を踏付け、領主の喉に剣を突き付けた。
「ひいぃぃ。たっ、助け……。」
扉から、必死の形相で慌てて逃げ出す領主。
──ガタゴトガタッ!
「……ぐわっ!?」
しかし領主は足を踏み外して、階段から転げ落ちていった。
──すたすたすた。
追ってくる"剣竜"の姿に、怯え戸惑う領主。だが領主は足を痛めたらしく、その場から動く事が出来なかった。
「ぬはははははは……。どうした、領主殿。一体何を、そんなに怯えておるのだ?」
救世主の登場に、領主は天の助けと痛む足を引き摺りながらその大男に飛び付く。
「しょ、将軍!?一体、今まで何処に居たと言うのだ?とにかく助けてくれ!あの男から、俺を守ってくれ!!」
将軍と呼ばれたその男は顎に手をやり、追ってくる剣士の姿をじろじろと見る。
「ほぉ……。儂が居らぬ間に、何やら面白い事になっておるわい。」
「何が面白い物かっ、将軍。奴のお陰で俺は、ご覧の有り様だ!」
「はっはっはっは、領主よ。お主、なかなか厄介な男を敵に回して居る様だな……。だが安心せい、全てこの儂に任せておけ。」
将軍と呼ばれたその大男は、凄まじい殺気を放ちながら戦斧を構えた。
「……ほう。」
その大男が放つ殺気を感じ、剣を構える"剣竜"。……"剣竜"はその大男を、一人の"敵"であると認識する。
──ヒュッ。
大男の視界から、一瞬の内に消える"剣竜"。そして"剣竜"は大男の前に瞬時に移動し、目にも止まらぬ高速の斬撃を放つ。
──ガキィン!
──!?
その大男は"剣竜"が放つ高速の刃を、難無く戦斧で受け止めていた。
「……何、だと!?」
「……ふっ。」
そして大男はにやりと笑いながら戦斧を振りかざし、その強烈な一撃を"剣竜"に叩き付ける。
「ぬん!」
──ドゴォ!!
大男の直撃を喰らい吹き飛ばされ、壁に打ち付けられる"剣竜"。
「…………。」
しかし、その違和感に大男は首を捻る。
「防がれたか……。ふーむ、やりおるわい。」
──ぱたぱた。
何事も無く立ち上がり、服の裾に付いた埃を払う"剣竜"。……そして、静に大男を睨み付ける。
「俺とした事が、油断した。まさか黄牙以外に、この俺の剣を受け止める奴が居るとはな……。」
──カチャリ。
「……面白い。久しぶりに、少し本気を出してやろう。」
……そう言うと、"剣竜"は鞘から一本の剣を抜いた。
「……ふむ。」
大男は、その姿を見て驚く。
凄まじい殺気を放ち、二本の剣を携えて悠然と佇む一人の剣士。
──二刀流の暗殺者。
大男は理解をした。……こいつが、噂の"剣竜"なのだと。
「面白い、長生きはしてみる物だな。こんな伝説の化け物と、死合える日が来ようとはな……。」
殺気を放ち、得物を構える両者。
……大男は目の前の強敵相手に間合いを図り、じわじわと詰め寄っていく。そして恐ろしい殺気を放ちながら戦斧を振り上げ、伝説の化け物"剣竜"に挑みにかかる。
対するは、凄まじい殺気を放ちながらも。全く微動だにせず、二本の剣を携え悠然と佇む剣士。
──大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
武将紹介
「優駿」
武力 45
知力 75
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 天才らしい。
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、剣竜。




