表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十国伝   作者: 魔神
朧の団編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/21

第十四話 「突撃」

──翌朝。

朧の団一行は、領主の館へと向かっていた。刹那の傷は、ほとんど癒えてはいない。だが、そんな事は言っていられなかった。……優駿を、助けなければならない。

刹那は優駿を助ける為、馬を走らせた。


刹那は先頭を走る朧の団頭目、公孫翔をちらりと見る。

「…………。」

刹那の頭には、一つの疑問が浮かんでいた。

……何故、朝に攻めるのか?

兵力が寡兵(かへい)であるならば、夜襲の方が効率が良いだろう。それは刹那が昨夜の戦いで、良く分かった事だった。

「…………。」


刹那は、馬を急がせ先頭を走る公孫翔に会いに行った。

「……なぁ?」

「ん?どうした刹那。」

「どうして、朝に攻めるんだ?攻めるなら夜とかの方が、効率がいいんじゃねぇのか?」

「そうだな、夜の方がやり易いな。……色々とな。」

「あ?なら、何で夜襲にしないんだよ?」

「……ま。こっちにも、色々あるって訳さ。」


公孫翔は笑いながらそう言い、それ以上は語らなかった。

領主邸付近に到着し、公孫翔は部下一人一人に丁寧に指示を始める。

「以上だ、各自持ち場に着いてくれ。……皆、死ぬなよ。」


「…………。」

剣を手に、刹那は領主邸を睨み付ける。……明らかに、昨夜よりも警備が厚い。

昨夜、刹那が領主を襲い。まだ刹那の首を取れていない事を考えると、当然だろう。

領主も刹那が、領主の命を狙う事は分かっているのだから……。


三つに分けられた隊の配置に着き、刹那は剣を持つ手に力が入る。

「……待ってろよ、優駿。」

刹那は静かに目を閉じ、優駿の無事を祈った。


「よう、今日はよろしく頼むぜ?期待の新人君。」

「あんたは……。確か名前は、えーと。」

昨夜、公孫翔の隣に居た人物だ。名前は確か……。

「黄牙だ。……おいおい、頼むぜ?しっかりしてくれよ。一応、この隊の隊長なんだからさ。」


──隊長?

……刹那はその言葉に、一つ引っ掛かる所があった。……隊長。この男、黄牙はこの部隊の隊長だと言った。三つに分けられた部隊の、隊長の一人だと……。

そして、公孫翔の()()()()が刹那の頭を過る。


『俺は別に、()()で一番強いと言う訳では無い。この団には俺より強い奴が居る。……それも、一人では無い。』


つまりこの朧の団には、公孫翔よりも強い男が二人以上居る事になる。刹那を軽くあしらう程の、公孫翔よりも強い男が……。

そしてその男は確実に、三つに分けられた部隊の隊長を任されているに違いない。

「…………。」

つまり、この男が。……黄牙が。

……いや、そもそも黄牙は。朧の団頭目である公孫翔が、"相棒"と呼んだ人物なのである。相当な実力者と、考えるべきだろう……。


「どうした?」

「……いや、何でもねぇ。」

にやりと笑う黄牙の問いに、刹那はぶっきらぼうに返す。


黄牙率いる、この部隊の人数は五十五人。()ず朧の団体頭目公孫翔率いる本隊が突撃をし、敵をある程度引き付け。そしてその間に、残り二つの部隊が館を目指し、突撃をする手筈となっている。


公孫翔は、領主の護衛部隊の数は約千五百と言っていた。しかし昨夜の一件で、その数を増やしている可能性が高い。


──ドドドドドド!

朧の団の姿を確認した領主が、館の守りを固める為に、護衛兵の全軍を投入し始めた。……その数は、およそ二千弱。

それに対し、公孫翔率いる本隊は二百程度しかいない。


「…………。」

刹那はそれに対し、少し疑問を感じていた。

……この戦力差で、奇襲すらかけない公孫翔の戦い方に。二千弱を相手に、たった二百程度の兵力で。……何故真正面から馬鹿正直に、正々堂々と勝負を挑むのか。

刹那は、疑問を感じずにはいられなかった。


隊長らしき人物が号令を発し、騎兵の一団が朧の団本隊に突撃を開始する。

「突撃!!」

──ドドドドドド!!

二百程度しかいない、寡兵の朧の団本隊に。領主の騎兵一団は、約半分の千で襲いかかる。約五倍と言う兵力差もあり、誰の目にも朧の団が不利な状況に映るは明らかだった。

それは刹那の目にも同様に映り、刹那の頭に不安が過る。

──ドドドドドド!!

迫り来る一団に、公孫翔は不敵な笑みを浮かべる。


「……やれやれ、俺も舐められた物だ。たった千で、この首を取れると思われているとはな……。誘き寄せて撹乱するつもりだったが……。気が変わった、殲滅するぞ。」


「オオオオオオオオ!!」

公孫翔は高々と剣を掲げ、味方兵を鼓舞し突撃を開始した。

武将紹介

「優駿」

武力 45 かなり低い。

知力 75 割りと賢い。

主人公オーラ 50 あまり無い。


一応これでも主人公。

亡き国、優国の王子。

生き別れの妹を探している。

祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。

頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。

こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。


「刹那」

武力 89 かなり強い。

知力 54 ちょっと低め。

髪型 95 かなり気合い入れてる。


村の自警団の一員。

剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。

でも頭の方は、お察し。

綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。


「公孫翔」

武力 刹那より強い

知力 高い筈

髪型 98 美容院通ってるの!?


朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。


「黄牙」

武力 かなり高いらしい。

知力 そこそこ高いらしい。

キザ ちょっとキザ。


公孫翔の相棒。

非常に腕の立つ剣士。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ついに朧の団の実力が…!! このステータスって100がMAXじゃなくて更に振り切るとかあったりするんですかー? 優駿大丈夫かな…?
少数精鋭の朧の団と領主の兵2千人。今から優駿の奪還が始まるわけですね。(◔‿◔) 刹那は朧の団に助けられて良かったですね〜♪ 夜に一人乗り込んだせいで警備が強化になったのは痛い点ですが、挽回の時間…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ