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十国伝   作者: 魔神
序章
1/3

一話 「誓い」

……空腹でもう動けない。僕はこのまま死ぬのだろうか?

あれから九年……。僕は住む家も無く、自堕落な物乞いの日々を送っていた。でもそれも、もう終わるだろう。

……僕は何も出来なかった。復讐も、妹に会う事も。何も……。

人の行き交う道の端で、僕はその命が尽きるのをただ待っていた。

……僕は、何もかもを諦めた。

──ガラガラガラ。

道を歩く人々も、道を走る馬車も。皆、道端で倒れてる僕を気にする者は一人もいなかった。行き倒れ何てのは、この国では何ら珍しくも無いのだから。……特にこの国では。

…………。

僕はこのまま死ぬのだろう。

……どうでも良かった。しかし、最後に妹には会いたかったなぁ。

…………。

──ガラガラガラ。


彼の名は優駿。復讐を誓う、亡国の王子。

そんな優駿は、この国を。いや、この大陸全土を巻き込んだ戦いに挑む、熱き七人の男達と出会う事になる。


そして、彼らはこの世界を変える。



──九年前。

轟々と燃え盛る城の中、僕は妹の手を握り締め必死に逃げ出していた。

ここ優国は隣国である蛇国の侵攻を受け、そして敗れ去った。父と母は子供達だけでも逃がそうと、信頼している世話係の者に任せ裏口から僕達を逃がす。

「さあ、こちらですじゃ。」

僕達は必死に走る。しかし、既に城も街も全て蛇国に占領されており、僕達はすぐに見つかり敵兵に捕らえられた。

僕達は引き裂かれ、妹は連れて行かれた。

その後、将軍周衛率いる味方の部隊に助けられ一命を取り止めるが。

……僕はその時、将軍に酷い言葉を言ってしまったのを、今でも後悔している。

「お前は、優国最強の将軍なんだろ?どうしてお前が居るのに、父と母は……。お前せいだ、父と母を……。妹を返せっ!」

……周衛将軍は、何も言わなかった。

その後、蛇国の大軍に囲まれ、僕達は散り散りになる。

「王子、必ず御迎えに上がります。それまで、どうか……。どうか生き延びて下され!」

僕は走った、必死に走り続けた。

しかし、隣国に向かう途中の砂漠で力尽き倒れ込んでしまう優駿。

「死ぬものか。……こんな所で。」

僕は歯を食い縛り、力強く砂漠の砂を握り締める。

「……必ず滅ぼしてやる、蛇国を。必ず滅ぼしてやる、僕のこの手で!」


……敵国蛇国に復讐を誓う少年、優駿。父と母、そして祖国の復讐の為。少年は立ち上がる。

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― 新着の感想 ―
すごい。なんかもう、気迫がすごい(語彙力0)
復讐もの好きでして笑
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