幼児期の朝は遅い
思ったけど…TSしたのに女の子感全然無い。
主人公、お酒飲んだら言動が幼くなるた思うんだけど、ね。
◇◇◇―――――――――――――
転生してから約3ヶ月が過ぎた朝。と言っても昼前。
僕はこんな昼間から何をしているのかと言うと、
「あぁう!」
滑舌練習……ではなくて、
「――まぁ!今回は7秒くらい続いたわよ!」
「おぉ!凄いな、よくやったぞ!」
【眼力】の練習をしていた。
―――――――――――――――
1ヶ月前
「あう〜」
「ふふふふ」
驚くべき事に、僕は生まれてから1ヶ月でハイハイができるようになった。首が座ったのも15日目ぐらい。
やっぱり龍人の血を引いてるから、身体の発達が早かったり?身長の伸びは目測で5cmぐらいで一般的。
ハイハイで動いた後に良く寝てると思うんだけどなー泥の様に。
「あう」
「どうして、うちの子はこんなに可愛いの?」
うちのお母さんは1ヶ月間、特に用が有る時以外はベッドの上で毎日を過ごしている。まだまだ出産後の体力の低下が酷いみたい。今も壁に凭れながら、膝の上に籠を乗せてラスクっぽいお菓子を食べている。
あと、お母さん。赤ちゃんは、みんなこんな感じじゃない?
少なくともこの時期からハイハイはしないけど、それ以外は。
しかし、こんなに早くハイハイができるようになったんだ。頑張れば、言葉を喋れたりできないかな?舌も筋肉でしょ?
「あ、あ」
「ん?どうしたの?」
思ったより難しい。ハイハイの時はやろうと思った時にすんなりできたんだけどなぁ。
「ああ、まあ」
「?」
よし!集中して!今の感覚をもう一度再現して……
「まま」
「んんっ!!?――――あっ」
あ
――――その瞬間、多量の食べ滓を含んだ籠は、中身をぶち撒けんと、その身を床に落下させ
……危ない危ない。危うく床にお菓子の滓が散乱する所だった。僕はハイハイしかできないから、移動したら身体全体に付いちゃうし。
こっちでも【眼力】使えて良かった〜。
いずれ戻る時迄に鍛えておかなくっちゃ!
「……シアト。今のは貴女が?」
あ!
そもそもスキルが有る世界かどうか分からないんだった!
咄嗟に使ったけど……まずった?
「貴方!ちょっと来て!!」
え、なんか公開処刑みたいな……
「う?どうした?」
「見てて。シアト、さっきのもう一回やってくれる?」
お母さんは紙を丸めた物を少し上に掲げると、スキルを使ってとお願いしてくる。
これは従っておいた方が良いかも。これから一緒に暮らすんだし、鍛錬するならいずれバレていた事。腹を括ろう。
「それじゃあ落とすよ」
よし、【眼力】!
「貴方、やっぱりこれって……」
「……あぁ、間違いない」
……
「――――やったわ!!!!シアトは特技子よ!!!」
「おおおぉ!!!一体、天はシアトに何物与えると言うんだぁ!!!!!」
あ、大丈夫みたい。
「そう言えば、さっきシアトが初めて『ママ』って言って言ってくれたの!!今日は記念日ね!」
「何!?本当か!シアト、『パパ』って言ってみてくれないか?」
「まま」
「……も、もう一回」
「まま」
「ぅ、うぅ……」
ごめん、お父さん。
――――――――――――――――
どうやら、スキルを持って生まれた子供、特技子は珍しいけど、一定数存在するみたい。
しかも、多くの特技子は子供の頃にスキルの力を成長させて、成人するぐらいになると大成するらしい。
これはフィーバータイム来ました?
僕も例に倣い、スキルの練習をする事になった。
と言うか、赤ん坊の僕には、他にする事が無いので食事と睡眠以外の時間はこれに当てている。
僕の身体はまだ小さい。小さい物でも満足に持つ事ができない。だからベビーベッドの上に丸めた紙をいくつか用意してもらい、それらを落として空中に留まらせている。
「最初に比べたら数も時間も増えたわね〜」
「あぁ。このまま行けば、いずれ全てを止める事ができるようになるかもしれん」
そ、それは大袈裟……かな。いやでも、そう言う心持ちが大事だよね。僕は大物になる男……あ、女だった。
確かにスキルは成長してきてる。
同時に止められる数は5つに。
止められる時間は最大7秒程度に。
できれば止められる重量を増やしたいんだけど……それは大きくなってからで良いや。
「そうね。シアトもこんなに頑張ってるんだし、私もそろそろ体力を戻していこうかしら」
ん?お母さんの体力は結構戻ってると思うんだけど。
最近はベッドの上で過ごす事も無くなって、家事をしたり、ランニングをしたり、一日中動き回っても平気な顔をしているし。それなのに、また体力?
「シアト、お母さんは剣士だったんだぞ。それも滅茶苦茶強かったんだ!」
「あう〜」
「昔の話よ」
剣士!かっこいい!
お母さんは一見華奢な見た目なんだけど、意外と筋肉が凄いのかな?
「ふふふふ、シアトも興味深々みたいね!もっと大きくなったら教えてあげる!」
「あう〜!」
やったぁ!!僕の将来は剣士だ!益々将来が楽しみ!
これで連続投稿はお終いです。
初投稿で疲れました。
これからは1話2000字を目安に、気ままに書いていきます!