あうー連呼
これ合わせて2話投稿したら連続投稿おしまいです。
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全種族統括総合病院
あうー
「わー!可愛い女の子ですね!!名前は何て言うんですか?」
「シアトよ。シアト・イル・ルシフェイア。私に似て可愛いでしょ?」
「はい!……ってまだ赤ちゃんなんですから、大体皆んな同じだと思いますけど?!」
「いや、全然違う!!ほらここッ!この二重!!それにこの角!どっからどう見ても私の子でしょうがぁ!!」
「はいはい。そうです。貴女の子です。と言うか一番貴女に似てない目の色については言及しないんですね?」
「うちの家系に猫とか居たかしら?まぁどっちでも良いわ!くりくりのお目々可愛い〜!!」
「はぁ…………数年後が心配です」
あうー
◇◇◆―――――――――――――
「チェア!シアト!」
「はいはい。シアト、貴女のお父さんですよ〜?」
……
「あら?やっぱりまだ貴方を怖がってるみたいね」
「むぅ。確かに俺の図体はでかいから仕方ないが……ちょっと傷付く」
あ、あうー
「ふふっ」
「な、何だ?」
「いやね、いつ見ても似合わない反応だなって……ふ、ふふ」
「だ、誰だって自分の子に嫌われたら悲しいだろ?」
あうー
「とりあえず家に帰りましょうか。もうすぐ昼餐の時間ですし」
「あ、あぁ!そうだな!」
◇◇◇―――――――――――――
ルシフェイア宅
「シアト、ここが私達がこれから暮らす家ですよ〜」
あうー?
「この家はね、お父さんが体が大きいから、その分広く作ってもらったの。私達は他よりちょっとお金を持ってるから頼んだら直ぐやってくれたわ。――シアトに不自由な暮らしは絶対させないから!!」
「おう!させてたまるか!!」
あ、あう
「あ、そろそろご飯の時間ね。支度をしましょうか」
「はい、お父さんはこっちのローストディア。シアトには――――じゃじゃ〜ん!!粉ミルク!でもいつも飲んでるのとは違うよ!沢山種類有るけど、どれが良い?」
あう〜!
「ほほぅ、お目が高い。これは一番高かった『これでキメる!健康増進!赤ちゃんの為になる至高のミルク』だよ!!しかも龍人の赤ちゃんの成長に必要な7種の栄養素が入ってるらしいよ!!」
「うむ、流石は俺達の娘だな!……あとチェア、済まない。俺が料理ができないばっかりに、退院直後から料理をさせる事になってしまって」
「良いわよ〜私も体力は落ちたけど、元気になったんだから!」
あ、あぅ〜
◇◇◇―――――――――――――
夜になった。
転生してから、大体2週間ぐらい経ったかな?
漸く意識が回復して来た。
生まれてから最近まで赤ちゃんの意識だったし、ずっと「あうー」しか言ってない……舌足らずだからそれしか言えないけど。
今、僕の新しいお母さんは、僕の寝ているベビーベッドの横で眠っている。僕を産んでくれてありがとう。
さて、意識が回復して直ぐだけど、僕には分からない事が沢山できた。特に気になるのが僕の種族。
ミルクを飲んだ時に、「龍人の赤ちゃん」って言う言葉が聞こえたんだよね。つまり僕は龍人。お父さんの見た目が完全に龍人で、人の外見に角と尻尾が生えている。お母さんはそうでも無いっぽいから、龍人ハーフって事だね。
どうやら僕には角が生えているらしい。あと尻尾も。
後者はお父さん由来だろうけど、前者については病室での知らない人の会話を聞くと、お母さん由来らしい。
確かにお母さんにも角が生えてるんだけど、ならお母さんの種族は何なの?って話になる。
本当に何だろう。流石に唯の人では無いんだろうけど。
気になるなぁ〜。ぽろっと言ってくれる事を願おう。
……あれ?そもそも僕、何でみんなの言ってる事が分かるの?ここ、異世界だよ?赤ちゃんだよ?
そう言えば、大型の病院とか、異世界転生モノの小説であんまり見た事無いんだけど……
あああぁぁぁぁ……前世に続いて情報量が多いよ!
大体何???何で前世では、「どうしていきなり世界が変わったの?アルタナザって何?」なんて壮大な疑問が湧くの?!初めて言葉にしたよこんな言葉……
スケールも大き過ぎるし、僕が帰る迄に解決しておいてよ、柏くん!
あうー(心身の疲れ)