瀕死→回復→死亡
何話も投稿して、一回にかかる心臓への負荷を減らす作戦。
――――――――――――――――
「どう?やってみない?異世界転生」
え?異世界転生?
ちょっと待って、今僕の心の中には「異世界転生?」と「異世界転生!」が混在してるんです!
いや分かる、意味は分かるんだけど…!
それってラノベとかだと神様的な位置付けの人がやってた様な、気がするんだよね……
「多分考えてるので合ってる」
「えぇ…………ぇ?」
「今は自分のスキルの力を削っておきたくて。それに、好きでしょ?そう言うの」
何でスキルの力を削るの…………
まぁ、後半の質問は、そうだね。
「ちょっと前まで、は、そう言うの、よく読んでた」
「やっぱりある程度記憶が戻ってるね。それでどう?」
「……どうせ死んでたし。できるなら、おねがい」
そっちの方が楽しそう。
「この地球から渡ってアルタナザ。その向こうのターミナル。どの世界に転生するかは分からないけれど、ターミナルに着く事ができたらここに戻って来れるから。いずれ戻って来る予定なら旅の話とか聞かせて」
あ……そうか。そうだったね。
「コホッ……ちょっとやる事を思い出したんだ。もう少し待ってくれない?」
「分かってる。仕送りと遺書でしょ?丁度良かった。家に送る」
警察のサイレン音が近づいて来る。
「……遅いよ」
「他の所を処理してたんだ。許してやってとは言わないけど、仕方ないのかも。相手が上手だったとしか、ね」
また情報出てきたよ。
さっき貰ったのだけでもパンクしそうなのに。
「じゃあ飛んで行くから。捕まって」
……どんどん謎が増えてくんだけど?
◇◇――――――――――――――
自宅
謎の羽で飛び、謎の力で部屋の鍵を開けた彼。
「あ、服焼けたんだった。――てことはさっきまで僕、半裸の飛んでる人だったのでは?」
「周囲から見えなくしてたから、大丈夫」
謎の力凄い。
それから着替えて、家族宛の手紙(遺書)を書いて、貯金半額を仕送った。また帰ってくる予定だから。
ついでに解雇宣告されていたので、自己解釈の下、退職届を会社に送り、帰ってきたのは1時間後。
「死ぬ準備って大変だね」
「皮肉っぽい言葉。それで、この部屋はどうする?」
「……貰ってくれない?家賃は払えないけど」
「分かった。ただ誰にも知らせないのは面倒だから、大家さんに事情を伝えに行こう」
納得してもらえるかな?
納得してもらえました。
やっぱりここの大家さんは大物だなぁ。
「今から行方不明もとい死ぬと思うので、僕の部屋をこの人に売ってください」って言うと、「死体は?」の一言。その後、彼と一緒に転生の事とかを詳らかに話すと、「分かった。滞納するなよ?」で終わり。
「凄い人だった。何者?」
「さぁ?そう言う事聞いた事無いな」
本当に、何者なんだろうね?
さて、
「もうそろそろかな」
数時間前には死にかけて、今は会話できるぐらいまで回復して、これからまた死ぬ。
我ながら、起伏が激しいにも程が有る。
「本当に、何から何までありがとう。……柏くん」
彼、柏くんには一生感謝してもし足りない。
こんな事をしてるんだ。もしかしたら彼にとっては感謝は慣れた感情かもしれない。だけど抱かずにはいられない。
「じゃあこっちも。キノシタ」
「絵磨で良いよ。何だかそっちはパッとしないからね」
「それじゃあ、エマ。こっちに負担はあんまり無かったからそんなに感謝しなくていい」
「分かったよ。……それじゃあ、お願い」
「命大事に」
それ今言う?
「……行ってきます」
「はい。行ってらっしゃい。――【自由の権利】」
……よし、この世界とは暫くおさらば。
来世でも頑張るよ!!木下絵磨!
時間が有ったらこの柏くん側の話も書きたいですね。
何年後でしょうか?