大人の階段登る
なるほど、新規小説作成から作るんですね
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第2転門区 南サソリ公園
ここは近くにある転門区の、入ってすぐ横にある南サソリ公園。
僕がよく昼食を食べるのに使う場所。
この公園はとにかく広いから人が疎らにしかいなくて、休憩するのに持ってこいなんだよね。
今座ってるベンチから周囲180度が綺麗に見渡せるけど、見つけたのは1組だけしかいない。
「――――うん!それでね、昨日ほんの少しだけ水が出せたの!」
「おぉ!おめでとー!」
ここから少し離れた所に青い髪と淡い緑の髪の少女達が居る。普段は確かに誰もいないんだけど、今日は違うらしい。
と言うか当たり前か。今日の日付は3月30日だから丁度、スキル調査テスト入学前準備期間、通称「前2週」の真っ最中。
前2週は、スキルを貰った新高校生達が門の向こう側、アルタナザに行く為に転門区に籠ってメインスキルに慣れる期間。
この地区もその為に設置されたようなものだし、この広い公園の辺鄙な外縁部に来る人も一定数はいるか。
因みに「籠って」とは言うけど、衣食住をこの地区で確保する必要は無くて、街の方に出歩く事もできる
ただ、自分のスキルを街中で無闇に振えば、それは違法行為と見做されて警察追い回されるってだけで。
僕にとっても前2週は通って来た道だ。
レジャーシートを敷いて談笑する彼女達を見ると、あの頃の事が思い出される。
初めて泥団子が空中で止まった時の興奮は凄かった。
一瞬の出来事だったけど、記憶が脳にこびりついてる。
あの頃からスキルは何にも変わってないんだよね……
後輩達に負けてられないな。
僕もさっさと練習を始めよう。
◇◆◆―――――――――――――
あ〜〜〜!凄い!このスキル凄い!!
瞬きがいらないだけでこんなに自由になるの?!!
僕の前には、過去に類を見ない程の最高傑作の泥団子が5つも並んでいる。
いやー凄いね。瞬きしなくていいからずっと【眼力】を更新し続けていれば、泥団子は空中停止する。あとは空中で形を整えればパーフェクト泥団子の完成。
長年続けてきた「泥団子メソッド」をついに卒業か…初めて成長を感じた気がするよ。あ、涙出てきた。
「んーーー!!やった!水出てきたよ!」
「なんか多くない?」
「え?そう?」
彼方も進展が有ったみたい。
……有り過ぎでは?え?なんか水の量多いし。あ!なんか勢い強め始めたし!くねくねし始めたし!
……あの青髪の子、天才以外の何者でもないのでは?
くっ、負けてられるか!
さっき「泥団子メソッド」が終わったばっかりで達成感に浸ってたけど、何か新しいメソッドを作って少しでも上達しよう。
うーん、丁度5つ泥団子が有るし、「ジャグリングメソッド」とかは?
うん、停止の切り替えの練習に良さそうだ。
「よし、まずは3…………2つで」
ジャグリングはやった事が無いから、ね。
最初は少ない数から、確実にしていこう。
「えーっと、こっちの球を右に送って……左にこう」
これを素早くしていけば良いから……
「はいっ、はいっ、はいっ、はいっ」
段々リズムに乗ってきた。
よし、じゃあこのまま【眼力】!――――あ
――――片方の球は空中で静止し、右手に向かってノールックで放たれたもう片方の球は、大きく逸れて見当違いの方向に飛んで行き、
空中で静止した。
「えっ…………」
――――沈黙の後、ほぼ同時に自由落下運動を始めた2球を見て、
「や、やったぁ!!やった!やったぁぁぁ!!!」
これっって!そう言うことだよね?!
遂に、遂に!遂に!!やったよ、やったよ!
やったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
万歳!万歳!万歳!
気分に任せて小躍りしていると、怪訝そうな目で此方を見つめる1人、2人……あ
「あ――――」
何度も頭を下げて謝る動作をすると、帰ってきたのは苦笑い×2。
恥ずかしッ!!やばい人生の中で一番恥ずかしいかも!
15歳女子達に苦笑いされる23歳男性って…………
この事は墓まで持って行く。
今ッ、決定!!
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「モウスグ、ダ」
「あぁ。……だが、俺達の担当はあのクソデカい南サソリ公園だぞ?彼奴ら、あそこは広過ぎて人が居ない事を知ってて俺達に回しやがったなぁ!!絶対そうだ!」
「アイツラノオカゲデ、コッチニケイサツコナイ」
「まぁ、確かにそうだ。本命を彼奴らが押さえている分、警察はこっちに戦力を回す余力が無いだろうからな。それと、もし女の子を捕まえたなら駄目にしない限り、好きにして良いらしい。警察も来ねえならその場でヤるのも良いな!!テンション上がってきたぜ!おい、可愛い女の子以外はお前に任せたからな!」
「ソノバデ、メイレイヲモトメル」
「チッ、わーったよ……」
3話目終わり
心が疲れました