色々有る日、始まる
処女作
初投稿
緊張で全身が震えています。
◇◆――――――――――――――
「木下、お前はもう明日から来なくていい」
……………
「………………えっと、僕もノマドになれと?」
「……チッ」
「すいません冗談です。…………理由を聞いても?」
「はぁ。そんな事、お前が一番分かってるだろ。大体な、お前はいっっっつもそんな態度だよな。上司に対する口の聞き方がなってないんじゃないか?そんな事何時ま――――」
上司は、苛立ちを隠そうともせずに、僕の質問に対する返事を益々膨らませていく。
…………………
◇―――――――――――――――
家
「ああああああぁぁぁぁぁ!!!!あのガンコジョーシ!!!!言うだけ言いやがってぇぇ!!!」
もうお酒飲まないとやってられない!!なんだっていきなり解雇宣告??!!オタクの頭は前時代産ですかぁ??労基入ってないなんてどれだけ型落ちなんですか!!!大体話長すぎ!!校長先生だって始業式と終業式だけだよ?!!話が長い方が地位が高いとか思ってるのかぁ??
「――……はぁ」
あぁ、疲れた。
まぁ解雇されるなんて時間の問題だったし。
分かってるんだよ、僕のスキル【眼力】が使えない能力だからって事ぐらい。
「もう少し頑張ってくれてもいいじゃ〜ん【眼力】さ〜ん!こっちの身にもなってよぉ〜!やだよずっとデスクワークなんて!」
今は人が皆、神像から何らかのスキルを得る時代。
最初に得たスキル、メインスキルによってその人ができる事の方向性、派生スキルは大体決まってくる。
だからこそ就職にはスキルが否が応でも関わってくる。就活側にとっては自分のスキルが活かせる仕事に就きたいし、企業側も優良なスキル持ちを雇いたい。
僕の貰ったメインスキル【眼力】は、見た物を停止させる事ができる。
とは言っても、人や生物、モンスターを停止させる事はできないし、止められるのも数秒間。瞬きすればスキルは止まるし、同時に一つの物体しか止められない。それに加えて止める物体がある程度重いと止められないし……
「せめて段階が上がって重量制限とか無くなったらなぁ〜。そうなったらなぁ〜……ふっふっふ」
重量制限が無くなったら、真っ先に警察を目指そう!トラックがぶつかりそうになってもヒョイっと止めて、街のみんなから感謝されて!
……最近のトラック安全機能盛り盛りで人身事故起こらないけど。なんでトラックがぶつかるなんて起こらない事を想像をしてるんだろう。50年前じゃあるまいし。
はぁ。ホントなんで【眼力】の段階は上がらないんだろう。学校卒業してもう1年だよ?普通なら在学中に1段階ぐらい直ぐに上がるんだよ?今年度の新卒は何故か平年よりも段階が高い人が多いらしいし。
あれ?再就職できるこれ?
考えれば考える程不安になってきた。
何時辞めるか分からなかったから、貯金は有るんだけど、持って半年。生活水準落とせばもう少し延ばせる…かな。何とか就職先を見つけないと…
でも今の【眼力】だけじゃ、真面な職に就けそうもないし……ここは一つ、貯めたお金でスキルを買うのも有り…いや無し?僕が買える程度の値段じゃ凡庸なスキルしかない。う〜〜〜〜〜ん
あ、そういえば、今回みたいな急な解雇の場合って、事前に告知する以外にも相応の手当を支払えばOKみたいなルールじゃなかったっけ?
……やっぱりそうだ!!!
ふっふっふ、あの安本丹を納得させる為に、明日はこのページを紙にコピーして持って行こう!
後から「あの言葉に解雇の意思は込めていない」とか言われたら面倒だしね。
ま、頑固ジョーシの事だし、僕の解雇は頑なに譲らないだろうけど。
この収入を合わせれば、資金に余裕ができるから、スキルショップ行けるよこれ!!
とりあえず再就職の事は後で考える!行動あるのみ!
明日、首を洗って待ってろよ!!
◇―――――――――――――――
翌日
「ぅぅ……頭痛い」
二日酔いが辛い。
でも昨日早くから飲み始めたお陰で今は朝の4時30分。この世の中を支えるコンビニとスキルショップは終日営業。出勤まで時間が十分あるし、コンビニで昨日のページをコピーしてからゆっくりスキル選ぼう。
スキルショップって、なんか今まで僕には縁が無いと思って気にしてなかったけど、いざ行くとなると緊張する。
今日、僕の人生はリスタートするって感じもする!
テンションも高いし、今日は良い事あるかも?!!
……これアルコール抜けてないなぁ。活入れよう。
バチンッ
今日は人生の分岐点なんだ。冷静に行こう。
ピコンッ
ん?速報?
[速報]
勤務地近隣地域にて4時25分頃火災が発生
え?さっきじゃん。なんか物騒だなぁ。
そう言えばこの住宅取付ニュース速報、買った時に勤務地の設定とかしたな。
もう明日からは勤務地じゃないから設定し直しておこう。
気ままに、気ままに行きましょう!
……誤字とか心配です。