プロローグ
―――神は植物や動物……多くの人間を作りあげた。生きとし生きる者の中には神がいるとされていた。
神はいくつもの“世界”を作り、鑑賞し、時には神託として囁きながら自分が作り上げた“世界”を見ていた。
神は娯楽に飢えていた。そのために作り上げた空間。人間の試練を与えるそんな遊び。人はそれを仮に“脱出ゲーム”と名付けた。
その脱出ゲームには様々な名前が付くことになる。
RPGやテレビゲームに携帯ゲームといったもので遊べるコンテンツが出来た。
現実世界で脱出ゲームと似た屋敷や学校を題材としたものが開催されていたこともあった。
―――そう、これは神から与えられた遊戯のほんの一部でしかなかった。
それを改良し、悪用し始めたのはある一部の人間達だった。
……それは、ある空間に閉じ込めるといったこの遊び。
ただし、これには普通に脱出することが出来ない。
それには代償があり、ペナルティーが課せられることもあるという。
その禁忌な遊びを仮の名前として“闇のゲーム”といわれた。
今から数十年前、この闇のゲームが横行していた時代があったという。
今ではそんな兆しはありはしない。
何故なら、とある人間達がその原因を突き止め、その闇のゲームを終幕させたからによる。
人達の苦悩や悲しみ、己の心の弱さに嘆きながら只管、前に進んでその先にあったモノ。代償は果てしなく多くて絶望の縁に落とされながら……そして、漸く辿り着いたその頂に真実はあった。
――――その真実は新たな絶望を呼ぶことをまだ、彼らは知らなかった。