第二話 スカウト?ごめんなさい。興味ありません。
今回は極端に短いです。
「カラオケ大会?」
家族で東京に遊びに来た。
昼がてら寄ったショッピングモールで大型芸能事務所主催のカラオケ大会。
審査しているのは、事務所の看板?歌手の人。それ以外にも事務所の社長とか。
何人も歌っているけど、皆子供として可愛らしいものとして判断されているんだと思う。
ボクは芸能人なんてなりたくない。
お兄ちゃんはイケメンでスポーツもできて、Jリーグのスクールにも通ってる。才能以上に努力がすごくて、既に
ジュニアユースの監督から練習メニューの相談も受けてるって言ってた。
だからなのかな、兄ちゃんもボクの歌はもっと色んな人に伝えるべきだって言うんだ。パパとママに至っては、
将来は歌手だなんて冗談も言ってるの。
そこに来てのこのカラオケ大会。
ボクの意見は全く聞かないで、出場が決まってしまった。歌う限りは下手な歌は歌えない。
ボクが選んだ曲は、機動戦士ガンダムSEED DESTINYの
エンディング曲で『Reason』
「遠く離れてるほどに近くに感じてる。寂しさも強さへと換わってく…君を思ったから。」
ボクのパパが、ガンダムが好きだったからボクが初めてみたアニメはこのアニメだった。主人公が凄い強くてボクもすぐにハマった。家には主人公が乗ってるモビルスーツのガンプラもあるし、思いはあるつもり。
今はその思いを歌に乗せて届けるだけ。僕は目を瞑って歌だけに集中した。見ている人たちがどう思おうと関係ない。審査してる人達がどんな結果を出すかも関係ない。この歌を歌い上げることが一番大切。
「…ありのまま出逢えてた。その奇跡 もう一度信じて」
ボクが歌い終えて、目を開けると見ていた人達が、皆立ち上がって拍手をしていた。拍手の音がこの空間を包み込んでいるかのようだった。
「素晴らしかった。正直、ここまで歌ってきた子達には申し訳ないけど、レベルが違かった。君は完成されている。君ならすぐにでもデビューできる。どうかな、一緒に歌で笑顔を届けてみないかい?」
「ごめんなさい。歌は趣味なので。」
今後も極端に短い話と長い話が出てくると思います。
ご了承ください。