表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
枯野と琴  作者: 村野夜市
123/124

121

琴音はひとり静かに座敷に座っていた。

その手には、誰かが握らせた櫛がひとつ握られていた。

紅葉の柄の散る、螺鈿細工の櫛。

何度も何度も表面を撫でられて、少しだけ色が褪せている。


無表情なまま、琴音の手は、その櫛を撫でていた。

何度も。何度も。

見開いた瞳から、ほろほろと涙が零れて落ちた。


その手から、ゆっくりと櫛を取り上げた手があった。


大きくて温かな手は、その櫛を琴音の髪にさした。

琴音は嫌がらずに、じっとしている。

櫛が髪に綺麗にささったとき、虚ろなその瞳に、光が戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ