第五話~前編~
第五話(*˙꒳˙*)‧⁺✧︎*
「国王陛下のおなりです。」と侍従が告げた。
前触れなく国王が訪ねてきたことに、王妃は驚いた。
「陛下、どうなされたのですか?」
刺繍をしていた手を止めて王妃は立ち上がる。
「王妃、ウィリアムがとうとうやらかした…」
「何を?」
「ソフィアに婚約破棄すると告げたそうだ。」
その場の空気が凍りつく。王妃は急な話に混乱して思考停止してしまった。
「あなた、もう一度おっしゃってくださる?今、ウィリアムがなんと…」
「ウィリアムがソフィアに婚約破棄を言い渡したのだ…」
王妃は驚きのあまり、これ以上の言葉を紡ぐことが出来なかった。
ソフィア・サンセット公爵令嬢。
国一番の令嬢であり、ゆくゆくは王国の歴史に名を残す賢妃となるだろう、というのが国王と王妃の認識であった。由緒ある公爵家の血筋であるのはもちろんのこと、何より本人の能力が突出していた。
ここ数十年は、近隣諸国との関係も安定しており、他国の姫を娶る必要もなかったので、筆頭公爵家に生まれたソフィアは、生まれながらにして王太子の婚約者となった。3歳ごろまでは年相応の可愛らしい女の子だったのだが、4歳を過ぎた頃から周囲も驚く賢さを見せるようになる。
まず、言語について。
一般的に、この国では4歳を過ぎると家庭教師がつき、単語の読み書きを覚え始める。ソフィアは4歳になって家庭教師がついてから、1ヶ月もしない内に基本的な読み書きができるようになっていた。これには家庭教師も両親も最初はびっくりしていたし、そのことを聞いた両陛下も賢いことは良いことだとソフィアの成長に目を細めていた。
ただ、言語を覚えたことを皮切りにソフィアは瞬く間にたくさんのことを吸収していった。
ソフィアは物覚えが良いし、同世代より覚えが早い。
将来が楽しみだとまだ楽観的に考えていた。
ただ予想を遥かに上回りソフィアは成長していた。
ブックマークありがとうございます。
更新頑張りますので、拙い作品ではありますがどうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m