第四話~その頃王城では~
第四話(*´꒳`*)
王太子とソフィアの茶会が行われていた頃、王城の執務室では、国王であるヨーゼフとソフィアの父である宰相のグレンヴィルが執務中の合間に休憩をとっていた。
「グレン、今日は君の娘も来ているのであろう?」
「はい、今朝一緒に登城いたしました。今頃王太子殿下とお茶をしている頃かと。」
「王妃がソフィアに会いたいと言っていた。ウィリアムとの結婚式の打ち合わせを始めたいようでな。1年後にあのソフィア嬢と息子が結婚し、数年したら、私は安心して王位を息子に譲ることができる。そしたら別宮で王妃にこれまでに支えてくれたことへの感謝を伝えながら、共にこれからの余生を過ごす……」
「陛下」
話の途中で、急に王家の影が現れた。
ヨーゼフは驚きながら影に応える。
「何かあったのか?いや、何かあったからお前が来たのだよな…。どうした?」
ヨーゼフはバクバクする心臓に思わず手を当てた。影が急に現れる時は良くないことが起こった時だ。
「夢物語の途中で申し訳ございません。ウィリアム王太子殿下がサンセット家のソフィア嬢に婚約破棄を告げられました。」
「なんだと!それは誠か!?何が起こったのだ!」
「本日の茶会で王太子殿下がソフィア嬢に、無能の婚約者は必要ない。マリア・ノーワード子爵令嬢こそが運命の人だ。そのため婚約を破棄してほしいとお伝えになり、それに対しソフィア嬢はよろこんで承ると快諾なさいました。」
国王の顔色が青ざめていったが、次第に怒りで蒸気し始めた。
「ソフィア嬢を無能だと言ったのか!あれは希代の天才だぞ!」
「間違いなく無能と仰いました。」
「誰だ、マリアというのは!」
「王太子殿下の同級生のようです。」
「それから…」
影が言いにくそうに述べる。
「まだ何かあるのか!?」
「ソフィア嬢はすでに馬車で城を出られたのですが、」
「もう帰ったのか?!」
「はい。馬車に乗り込んだ途端、“やったわ〜”とソフィア嬢が歓声をあげてガッツポーズされておりました。」
ヨーゼフがガックリと肩を落とす。
「グレン…どうしよう…」
「どうしようもありますまい…」
「そんな…義父上殿なんとか…」
グレンは首を振る。
「ソフィアは一度決めたことは覆しません。陛下もご存じかと思いますが、私に似て頑固なのです…。数年前になりますが、もしもの話で王太子殿下との婚約破棄が可能かソフィアに聞かれたことがあります。その時には、王家と家との契約であり、破棄することは家名を落とすことになると伝え本人も婚約の継続に納得していました。影からの報告から察するに、ソフィアは今回王家有責で婚約破棄ができると確信し快諾したのでしょう。」
「グレン、愚息が本当に申し訳ない…」
国王が2回手を叩くと影が再度姿を現した。
「マリア・ノーワードと王太子の関係について調べて報告をあげよ。」
「かしこまりました」と言い、影が姿を消した。
「侍従長はおるか。」
「はい、ここに。」
「王太子から面会の申し出があっても通すな。全容の把握が先だ。」
「承知いたしました。」
困ったことになったと国王陛下はボソボソ呟き頭を抱えていた。
それを見て宰相のグレンヴィルも、賢い娘がこれからどうするかを考え、屋敷へ帰る足取りが重くなっていた。
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