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お金さえあれば、後は愛だけでいい。

日間ランキング一位をいただきまして、誠にありがとうございます。お礼にリクエスト聖女様のお話。


 アンアンナは、ごく一般的な王都平民の家に生まれた。


 家業は居酒屋で、昔から接客していたので愛想はいいけど、自分でも不作法だと思っている。

 そんなアンアンナはなぜか聖女として見出され、礼儀作法を学ぶという名目で貴族学校に通わされることになった。


 聖女は身分として認められるらしく、特別扱い。

 しかしアンアンナが惹かれたのは、お貴族様らしい生活などではない。


 ーーーお給金が破格なのよ~!


 聖女予算とやらが教会では組まれているらしく、その金額は侯爵に匹敵する。

 もちろん全部自由に使えるわけではないし、儀式だとか祭典だとか色々面倒なこともあるけれど、基本的には普段は神にお祈りを捧げて結界に神力を補充するだけ。


 たったそれだけで……毎月、平民なら一生生活できるほどのお小遣いと、衣食住の保証が得られる!


 聖女にならない意味がないレベルだった。


 ーーーお金さえあれば、後は愛だけで良いのよ〜。ヒモでも良いからイケメンと結婚するのよ〜!


 しかもアンアンナは、貴族学校で運命の出会いを果たした。

 なんと王太子であるヨーヨリヨ殿下が、教会に脅され……頼まれたらしく、慣れないアンアンナに優しくして色々良くしてくれたのだ。


 まぁ身分が高すぎる彼にアンアンナの態度は馴れ馴れし過ぎるらしく、やっかみご令嬢がたに嫌味を言われたりもしたけれど、そこは相手が所詮お貴族様。

 下町の暴力沙汰なんかに比べれば別に大した嫌がらせでもない。


 噴水に落とされるなんて肥溜めに落とされることに比べたら水浴びと変わらないし、礼儀礼節以外はそこそこ手を抜いて勉強してたから、ノートや教科書を破られても使い切れないお小遣いで買えば良いし。


 「平民風情が申し訳ありません〜」ってニコニコしてたら、温厚な殿下が珍しく怒ってくれて、それから嫌がらせはなくなった。


 まぁ怒ったって言っても、それとなく「聖女の身分は侯爵に匹敵するし教会の後ろ盾があるから、怒らせたら家が怖いことになるよ」って諭してくれたっていうやり方だったけど。

 

 ヨーヨリヨは賢いし優しいし穏やかだし、絵がすごく上手い。


 『僕は王様には向いてないんだよ。異母兄上に譲りたいんだけど、父上が聞いてくれない』ってなんか寂しそうに言ってたから、アンアンナは聞いた。


「お嫁さんになる人のこと、好きなの?」

「どうかな。小さい頃から一緒にいたから幼なじみとして好きではあるけど。リリリーレンは異母兄上が好きなんだよね。それに嫉妬はしないかな」

「じゃ、お兄さんと婚約者さんと皆で相談して辞めちゃえばいいんじゃない〜?」


 そう言うと、ヨーヨリヨは目を見張った。


「そ、そんなこと出来るのかな?」

「え? だって別に、殿下は王様やりたくないし、結婚もしたいわけじゃないんでしょ〜? 王様に追い出されても私のお給料で養ってあげるよ〜! 私、殿下のこと好きだから〜」


 って伝えたら、彼は頬を染めて、聞いてみる、と口にした。


 そこから四人で話し合ってたら、何処かから聞きつけたのか王様が現れて『そんなに嫌なら、ベルベリーチェに我輩が怒られないような形でなら辞めさせてやるぞ!』と悪い顔して笑った。


 皆が色々やってる間、ニコニコしてたら王妃様が私のことを気に入ってくれたみたいで、最近はリリリーレン様とホワホワール様と四人でお茶している。


 ヨーヨリヨも肩の荷が降りたみたいで、最近は笑顔が増えた。


 あの貴公子様みたいな完璧な顔を毎日眺めて甘えさせてもらって、アンアンナはとても幸せだけれど。


 一つ誤算だったのは、ヨーヨリヨが王弟として王族に残る選択をしたことで、必然的に自分も王家の仲間入り、とんでもなく礼儀礼節の指導と、社交のための知識の詰め込みが厳しくなったこと。


 ひ〜ん。お勉強嫌いなのに〜! でもヨーヨリヨと一緒にいるために頑張るぅ〜!

 

とても現金で現実的な聖女様。お金さえあれば人はおおらかになれる、が信条のようです。


お金とイケメンだけでいいのよっ! 後は何もいらないわ!って彼女が好きだ!と思っていただけましたら、ブックマークやいいね、↓の☆☆☆☆☆評価等、どうぞよろしくお願いいたします。

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