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短編集

貧乳な彼女に「私のどこが好きなの?」って聞かれたから「おっぱい!」と即答した。すると翌日から下校中に腕組みしてくるようになった。

作者: 瓜嶋 海

 俺には彼女がいる。

 同じ高校に通う同級生。

 中学の頃から仲が良く、高校に入って正式に付き合い始めた。

 現在高校一年の十月で、交際期間は五か月目。


「寒くなってきたね」

「そうだな」


 二人でクラスに配る予定の配布物を運びながら会話をする。


「どうかした?」

「いや、なんでもない」


 荷物が重いのか、必死な顔で仕事をする彼女の横顔が可愛くて、つい見惚れていると声を掛けられた。

 咄嗟に誤魔化したものの、すぐに視線は彼女の顔に吸い寄せられる。


 俺の彼女、奈菜は可愛い。

 艶のある髪は肩にかからないくらいの短めであり、この髪型は俺の趣味に合わせてくれている。

 中学の頃に『どんな髪型が好き?』と聞かれた際に『ショートボブ』と答えたのだが、次の週からロングだった髪をバッサリ切ってきた。

 こんな事をされれば男なんてイチコロで、俺の意識は完全に奈菜だけに向いてしまったというわけだ。


 と、視線をそのまま落としていくと、俺の一番のお気に入りゾーンに到達する。

 胸部にある柔らかなそれ。

 母性を感じ、男であるなら本能が求める夢の詰まった膨らみ。

 おっぱいだ。


「だから、何?」

「ごめんごめん。相変わらず可愛いから見惚れてたんだよ」

「……そういうの学校ではやめて。恥ずかしいから」


 学校では。

 つまりそれ以外の場所ならいいと言う裏返し。

 こういうところも可愛い。


 と、話をおっぱいに戻そう。

 俺は中学の頃から奈菜を見てきたわけだが、この四年間で一切の成長を感じられなかった。

 周りの女子が急成長する中で、自分だけずっとまな板。


 体育の時など、女子の競技中に男子が揺れるそれ達に盛り上がる度に、彼女は胸を恥ずかし気に隠すのだ。

 その時の表情たるや!

 正に至高である。

 特にそれが自分の彼女であるならば眼福でしかない。


 本人は不服かもしれないがな。



 ◇



「なぁお前、おっぱいとお尻どっち派だ?」


 放課後帰宅前、あるあるな質問を男友達Aに投げかけられた。


「おっぱいだよ」

「おぉ、真っ直ぐな眼差しだな。確固たる信念を感じるぜ」

「当たり前だろ」


 テキトーに流しながら、俺は教材をバッグに放り込む。

 別にお尻が嫌いなわけではないが、やはり彼女の……という事を考えると、俺はおっぱいと答えざるを得なかった。

 正直奈菜以外の女子なら胸も尻も両方どうでもいい。


「でもお前、奈菜ちゃんって……あ」


 会話に割り込んできた男友達Bがおかしなことを口にしようとして、フリーズした。

 彼の視線はある一点に釘付けになっている。


 そこには丁度トイレかどこかから帰ってきた奈菜が立っていた。

 どこか悲し気な表情を浮かべながら。

 ううん。


「帰るか」

「……うん」


 歯切れの悪い彼女を連れて俺は教室を出る。



 ◇



「あのさ」

「ん?」

「さっきの話聞いちゃったんだけど」

「……」


 さっきの話、どう考えてもおっぱいの話だな。


 奈菜は珍しく俺の手を自分から握って来ながら続ける。


「裕翔君ってその……お、おっぱいが好きなの?」

「うおっふ」

「え?」

「なんでもない」


 恥ずかしがる彼女の口からおっぱいなんて単語が聞けて動揺しただけだ。

 と、無言で精神統一する俺に何を勘違いしたのか、奈菜は握る手に力を込める。


「……私。小さい」

「え?」

「私、おっぱい小さいよ?」

「……うん。知ってる」


 否定するのは流石に嘘だから受け入れた。

 と、彼女は涙目で迫ってきた。


 現在は下校中。

 ここは大通りではないため人通りはないが、かなり積極的だ。


「裕翔君がなんで私と付き合ってくれてるのかわかんないよ……」

「いや、そんな……」


 俺の胸に頭をぶつけてくる奈菜。

 どんな顔をしているのかわからないが、若干震えているのはわかった。


「私のどこが好きなの?」

「おっぱい!」

「……え?」


 予想外の言葉だったのだろう。

 奈菜は目を見開いて顔を上げる。

 若干涙目の彼女に至近距離で上目遣いをされ、グッときた。


「お、おっぱいって……ふざけないでよ。私小さいじゃん」

「別にいいんだ!」

「え?」

「別に小さいのが好きなわけでもないが、俺は奈菜のおっぱいが大好きだよ。ぜひ対戦宜しくしたいと毎日思ってる。何を勘違いしているかわからないけど、おっぱいに大事なのはサイズじゃない。”誰の”おっぱいかが大事なんだ!」


 自分でも意味が分からない程スムーズに言葉が出た。

 と、奈菜は顔を伏せる。


「誰のって……私のおっぱいだから好きなの?」

「そうだ!」

「……そうなんだ」


 交際五か月。

 未だに手を繋いだくらいで、キスやハグさえできていない俺達。

 彼女は顔を真っ赤に赤らめながら、コクコク頷く。


「わ、わかった……頑張る」

「何を?」

「なんでもない」


 不穏な事を言いつつ、彼女は定位置に戻ると歩き出す。

 隣を歩く俺を他所に、どこか嬉しそうな奈菜。


 ふざけた友人Bのせいで彼女を不安にさせてしまっていたが、なんとかなったらしい。

 ほっと胸を撫で下ろす俺だが、そこでふと自分が奈菜におっぱいがどうのと熱く語ったことを思い出して、一人悶えた。




 ‐‐‐




 翌日の下校中。

 彼女がおかしくなった。


「あの、奈菜さんや」

「なーに?」

「いや、なーに?って言われてもな」


 可愛い顔で聞いてくるな。

 理性が飛ぶ。


 彼女が俺の腕に自分の腕を絡ませてきていた。

 今まで手を繋いだことしかなかったが、かなりの急展開。

 そしてその……当たってる。

 夢にまで見たそれが当たっているのだ。


「ん?」

「……」


 こいつ、狙ってやがる。

 わざと俺に胸を押し付けているのだ。


 普通の女の人と違って薄い分、より体を近づけて。

 コレ、マジデ、ヤバスンギ。


 見るのと違って触れてみると分かるが、小さいけれどしっかり感触が伝わってくる。

 思ったより柔らかいし、あったかい。

 本気で頭がおかしくなりそうだ。


「裕翔君、私頑張るから」

「うん」

「これからも、よろしくね?」

「……ッ!」


 何だこの可愛い生き物。


「好きだよ、裕翔君」

「俺も大好きだよ」

「えへへ。やった」


 いつにもなくデレが強い彼女。

 だがこれも良い。

 幸せな気分で俺は学校からの帰宅ロードを歩む。

 周りの目なんて気にならない。

 むしろ誇らしいくらいだ。


 そんなわけで、ひょんなことから俺と彼女の仲は一気に深まった。



 貧乳な彼女におっぱいが好きだと素直に伝えたところ、まさか恥ずかしがりながら自分で当ててくるようになった。

 これは素晴らしい事だ。


 彼女がいる紳士諸君。

 もしよかったら君たちも正直に伝えてみてはいかがだろうか。

いいおっぱいだと思ったら下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしてください(一回言ってみたかった)


もっと大きなおっぱいを求めている紳士の皆さんのために、広告下に超絶面白い私の現行連載作品へ飛べるリンクを貼りました。

タイトル通り大きな子のお話なので、奈菜ちゃんじゃ物足りなかった方はお立ち寄りどうぞ〜

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― 新着の感想 ―
おい この男から殴り飛ばして良いか?(嫉妬)
[良い点] あかん最高すぎました。 読んでる途中笑いすぎて家族にどう見られてたかちょっと恥ずかしい もう、良すぎました(語彙力死んだ) [一言] ★★★★★にした!
[一言] 大きいか小さいかにフューチャーされ勝ちだがー 傷ついたと思われる彼女に適切なケアをする彼、イケメン。
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