五月雨day〜雨の日は憂鬱?〜
ボーイズラブです。苦手な方はご注意ください。
ザァーザァー
今日は恋人の大翔と遊園地に行く予定だったのに、この雨のせいで中止。
せっかくのデートが…。と、落ち込んでいる響である。
で、今日もまた、僕の家で過ごしているわけですが。
「雨すごいね…」
「あぁ」
そっけない返事にムッとする。もっとショックな顔してくれてもいいのにね……。
大翔は平然とした顔で窓の外を眺めている。
「ちょっと、こっちに来いよ」
大翔がおいでと手招きをする。僕は大翔に近寄る、が……。
「こっちって何処?」
「こっちってここっ」
大翔に指差されたのは、大翔の膝の上。
そこに座れというのだろうか?
聞けずに黙っていると、無理矢理僕を大翔は膝の上にのせた。
「ぎゃっ!ちょっと大翔ぉーー!?」
慌てている僕を見て、大翔は人の悪い笑みを見せる。それが怖くて、大翔から離れようとするが、後ろから力強く抱きしめられているので逃げだせない。
「今日はずっと一緒にいる約束だったろ?だから今日は、離してやらない」
「!!」
俺は目を見開く。
そんな俺を楽しそうに見ている大翔。
「せっかくの休みなのに、響は遊園地に行きたいって言うし」
なぜか、大翔は俺から目をそらし、口を尖らせている。
せっかくの休みだからこそ二人一緒に行きたいと思うのに、何がいけないのだろうか?
分からないと首をかしげると、しょうがないとばかりに溜息をつかれる。
「遊園地なんかいったら、目立つだろ?」
「それは確かに、大翔カッコいいし……」
賑やかな所はやっぱ大翔嫌いなのか…、デートするなら静かな公園のほうがいいのかな?
さっきまでの、モヤモヤとしたものが薄れてきた。
「違うだろ。響が可愛いんだろ?」
「えぇ?」
大翔は目を逸らしながら言う。
「お前、可愛いんだから目立つんだよ……響に視線が向いてるの気付いてないのか?」
僕が目立つ?
そんなわけないと言うのだが、
「そんなんだから心配なんだ。もういい、今日はずっと俺の腕の中、決定だから」
さっきよりも強く抱きしめてきた。
「えぇ?ええぇ?」
大翔に力には勝てず、淡い抵抗となったのだ。
「大翔ぉっっ」
「うん?」
後ろを見ると、意地悪な笑みで笑っている。多分、慌てている僕の反応が面白いのだろう。
「大翔の意地悪っ」
こうなったら、とことん拗ねてやるんだからっ。
プイっと顔を背けて、口を固く締めた。そんな僕に、大翔は頬を突いてきた。
「ふっ」
くすぐったい。なんかのスイッチを押しているかのように突いてくる。
それを気にしている隙に、大翔は僕に顔を近づけてきて、
「ふぅーーーっ」
「ギャーーーーー!!」
突然、僕の耳に息を吹き込んできた。驚いた僕は、ピクッと跳ねる。思い切って振り向くと、やっぱり大翔は面白そうに笑っている。
「うぅ……」
むっとしていると今度は、「チュっ」と音を立てて、キスをしてきた。
キスで宥めようとしているのだろう、が今の僕は許すつもりなんてない。
「おいっ。響?」
「………」
またまた僕は大翔から顔を背けて、口堅く閉じる。
知らないんだからねっ!!
いつもそんなんで宥められるような子供じゃないんだからねっ!!
「拗ねるなよ。な?」
「………」
大翔の焦っている姿を見ていると、こっちが面白くなってきた。
「ふっ。大翔ってやっぱ可愛い」
そういうと、大翔はばつの悪い顔をする。
「意地悪な大翔は許してあげないけど、優しい大翔なら許してあげる」
「優しくすればいいのか?」
「うん」
すると、大翔は僕の頭を優しく撫でてきた。目を細めて愛しむように僕を見てくれている。
それだけでも嬉しいけど、今してほしいことはそれじゃない。
「ねぇ?今日は泊まっていってよ」
「えぇ!?」
あまりの驚きように、ちょっとショックを受けてみたり……。
「そういうことじゃなくて、ただ、手をつないで一緒に寝たいと思っただけだけど、ダメなの?」
「いいよ」
じゃあっともう一つ要望をしてみる。
「今日は親いないから、一緒にお風呂入ろうよ!!」
ふざけて言ってみると、大翔は顔の前で手を横に振る。
「駄目だ!!絶対無理だからな」
なんて言うか大翔、初々しいなぁー。
……実は一緒にお風呂に入ろうと本気で言ったんだけど、そこまで否定されるとやっぱりショック……。
一緒に手を繋いで寝てくれるだけでも嬉しいから、このままでもいいのかもしれない。
───何より、今この時、大翔と一緒にいることが幸せだしねっ。
こんにちは、彩瀬姫です♪
今回の響と大翔はどうだったでしょうか?
いつもあまあまなので、次回はちょっと変わった感じ(?)に書いてみようかなと思います。
来月も頑張るので、よろしくお願いします!!