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戻らぬ時を僕らは行く  作者: star of K
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第一章 戦争5

「はぁ…はぁ…もう体が……動かねぇ……」


俺もその場に倒れ込んだ。

…あとは任せたぞ、アマリア…ラム…



-かの竜にゲニアは打ち勝ったらしい。僕も負ける訳には行かない。これまでずっと均衡していたが…まだ行ける


「覚悟するんだ…!はっ!」

「なめんなよ!!!おらぁぁぁ!!」


鉄球を振り回して炎をかき消すか。相変わらず荒い戦い方だ。けど…そこに隙がある!

僕は素早く接近して雷魔法を叩き込もうとした。しかし


「甘いんだよっ!!」

「っ!?」


無茶苦茶だ、鉄球を振り回しながら回し蹴りをするなんて。いや、予測できなかった僕も甘いか。そのまま吹っ飛んで鉄球に当たりそうになったけど、間一髪避けることが出来た。当たったらタダではすまないだろう


「へっ、肉弾戦となっちゃあ私が劣るわけが無いだろう。」

「ああ、僕の認識が甘かったらしい。だけども…ふん!!」

「っ!?こいつ地面を……っ!!!」


地面が使いにくくなれば彼らも弱くなる…しかし、事はそう単純ではなさそうだった


「なんてな…荒地での訓練も積んでいる!」

「っ!!ぐうっ!!」


何度も戦ったはずなのに彼女はいつも予想とは違う行動をしてくる。ダメだ…考えるんだ、僕の頭をフル回転させろ…


「あははははは!!!気分がいいぜ……!!こうやっててめぇをボコせるんだからよォ!!戦いっつうのはこうでなくちゃなぁ!!」

「…戦いを楽しんでいるのかい?」

「ああ、そうだ。てめぇはわからねぇかもな!」


…分からない。戦争を楽しむ人の気持ちは分からない。勝たなきゃ行けない戦いを僕は楽しむことなんてできない。

アマリア、君は無事だろうか?シンと…話は着いたか?勝てたか?…すごく心配だ


「よそ見は行けねぇなぁ!!ネズミ野郎!!」

「!」

「ちっ、外したか!」

「これは耐えられるかい…?」


僕は上空に浮かんで、雷を雨のように振らせた。それに気を取られてるうちにもうひとつの魔法…炎魔法を槍にして溜めておくんだ


「なんのこれしき…!」

「…終わりだ、肉食王国戦闘隊長!くらえっ!!」

「なっ…………うぉぉおおおおお!!!!」


…相手は炎の槍をまともに受けた。雷の雨も受けているんだ、立ち上がれないだろう…それよりもゲニアの治療をしないと。僕は地上に降りた


「しっかりするんだ、ゲニア。」

「おう…やっと…勝ちやが……ったか……」

「ああ、早く君を助けてアマリアを…」

「!!!!後ろだーー!!!」

「何っ!?うおああああああ!!!!!!」

「ラムーーーーーー!!!!!!」


-卑怯だと思うか?不意打ちは…倒れたフリは。だが、それらは全てあのネズミ野郎が見てないのが悪いんだ。私は確かに戦うことが好きだ。だが…私達は負ける訳にも行かない。だから私はやつを地上に下ろすためにやられたフリをした。


「くそっ…てんめぇ…!!」

「…戦争に正義も悪もねぇ。そうだろ?」

「……!」

「戦争なんて勝ったやつが"全て"なのさ。負けたやつには"何も残らない"。」


さて、もうやつは立ち上がることは…なっ!?あの野郎、私の一撃を受けてまだ立ち上がるだと!


「…その通りだ…勝ちが…全て。負けは…何も…残らない。…それが戦争の真理だ…」

「ふん、手負いのネズミなど…わたしの敵ではない!私の体力を…甘く見るなよっ!!」

「…はぁ…はぁ…」


ネズミ野郎は弱々しく炎魔法を放ってきた。そんな魔法…私の敵ではない。私はそれを片手で軽く握りつぶしてやった。そして、あいつに蹴りを入れた。抵抗する力もないか…


「があっ…!!」

「やめろ…もうケリはついてる!!」

「…あのネズミ野郎はそうは思ってないらしいぜ」

「ラム!?もう…もう立ち上がるな!お前はもう…限界が……!」

「ゲニ……あ…な…にも…心配……は……ない……」

「嘘つけ!くそっ…お前がやるくらいなら俺が…っ!!足が…言うことを…」

「はっ、2人とも満身創痍のようだなぁ。それでもまだやるってんなら相手してやるよ!」


私はネズミ野郎の気が済むまで何度も攻撃してやった。ネズミ野郎はしつこく立ち上がり何度も何度も私に勝つために何度も…


「しつこいんだよ!いい加減認めろよ!!!お前の負けを!!!」

「ま…だ…………ま……だ……」

「なら…これならどうだ!!」

「!!!ぐあああぁああああああ!!!!!!」


-この声はラム!一体何が!?


「ラムの声か。あいつ、ダホにこってり絞られてるようだな」

「っ!?」

「…見に行ってみれば?アマリア。ま、お前が耐えられるか知らないがな」


言われずとも私はラム達が見えるところに向かった。すると、真ん中の戦場では兵士達が追い詰められラムはダホに何度も何度も攻撃されていた。


「あ……あっ……」

「こりゃあ酷いね〜兵士たちも疲弊しているらしい」

「みんな…」



-おーさま…私たち…げんかいかも。まえからうしろから……怖い人たちがやってきて…隠れて攻撃してもおさまらなくて…みんなが……やられるのを…見れなくて……出て戦ったら…やられちゃって……それで……それで……


「ノアねーちゃん…もう…ダメだよ……」

「ゲニア……隊長……ラム……さまぁ…」


ラム様の……こえがきこえる…ゲニア……隊長が必死に声を上げてる。何が起きてるんだろう?おーさま…ラムさま……ちょーろー……みんなぁ…



-しつこい、まだ諦めないか。もう言葉を喋るのがやっとなはずなのに気に入らない目で私を睨んできやがる。まだ戦う気は収まってないらしい。痛めつけるのは私の趣味ではないのに。


「ラム!!!返事をしろ……ラム!!」

「…………あ…あ…」

「まだ諦めないのか…どうしてそこまで…いや、聞く必要は無いか。」

「くそっ…ま…………だ。」




-私のせいでみんなが…みんなが。


「まぁどっちみち俺らの戦いにケリが付けばもう終わるのにな。なぁ、アマリア」

「………………………………」


…ごめんね、みんな。そして…私のために戦ってくれて…ありがとう。



こんな弱い国王を…許してくれ


「…降参します」

「…え?なんて…」

「草食王国ズーラムは…………全面降伏を………受け入れます。だからもう……傷つけないで……」



騒がしい戦場なはずなのに、その私の一言は…うるさいくらいに響いた。ああ…そうだ、私達は…負けたんだ。



「…………うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!」


…今のはラム。ごめんね。ごめんね…

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