第一章 戦争3
-まずい、私の方が劣勢だ。情けない話だ、部下を何人か引き連れて戦ってると言うのにこいつはその全てを倒しやがった。
「…降参してくれ。君をこれ以上傷つけたくない」
「はっ、何を甘ったれたこと言いやがる。それにまだ…負けと決まったわけじゃねえええ!!」
負けねぇぞ、私は…負けねぇ!!私を拾ってくれたあいつのためにも。そして、戦いに勝つことこそが…私の生きる意味でもある!!
「これでもくらえええええ!!!」
「…」
-まずい…かなり追い込まれた。敵の挟み撃ちが思った以上にこちらに効いている。早くラムに戻ってもらわねぇと負けちまう。
ん?この音は、あっちか。確かあっちには竜族が…!!!なっ!?
「…はぁ…はぁ…今行きます…母よ…」
あの軍隊を全員倒したというのか…!?1人で!!馬鹿な、あれは戦闘用に訓練されてる兵士達なんだぞ!?
っ、どこに行くのかわかんねぇがここで止めるしかねぇ!
「おい、ここは通らせないぞ!竜!!」
「…斬り捨て御免」
「!!!」
「今の太刀筋を見極めるか。敵ながら見事」
な、なんて速さだ。風魔法で守るのがやっとだとは…!!
「ゲニアさん!ここは俺達が…」
「行くんじゃねぇ!お前らが束になったって叶う相手じゃない!」
「…冷静なる判断も可能か。だが、私は急いでる。後は任せます…」
「待て!」
あの竜は俺達に構うことなくどこかに行きやがった。いや、あいつを気にしている場合ではないな。あいつが去った後、俺の前に肉食王国の兵士達が来やがった。
いくぞ…奮起しろよ!俺の体ぁ!!
「うぉぉおおおおお!!!!」
「ぎゃあああ!!」
「お前らそこをどけ…どかなきゃ痛い目見るぞ?」
-勝敗は決した。僕の目の前には片膝着いたダホ。彼女と共に来た兵士達は倒れて動かない…この勝負…もらった。
「ダホ、君の負けだ。いい加減認めたらどうだい?」
「くっ…くそぉぉおおお!!!」
「…!!」
その時だった、竜族のものがこっちに来たことに気がついたのは。間一髪彼の者が放つ一撃を避けた。
「無事ですか!母よ!」
「…ナイスタイミングだ、ドライトン」
「君はあの軍隊を破ったというのか…竜族の戦力、見誤ったか。」
「共に打ち破りましょうぞ、母よ!」
「ああ…倒してやるさ。肉食王国の名にかけて!」
…予想外だ。いくらなんでも100人の部隊を突破されるなんて誰が思うだろうか。2人とも手負いとはいえ、かなり不利な状況になった。ここは速さで翻弄して…
「遅いっ…!」
「何っ!?ぐっ!!」
手負いの状態でこのスピードか。なんということだ…やはり1人では難しいか…その時だった。ゲニアが来たのは
「見つけたぞぉぉぉぉ!!小僧ーーー!!」
「!?」
ドライトンはゲニアの攻撃を受けた。これはかなり効いたか…。しかし、ドライトンはまだ立ち上がるようだ
「てめぇ、さっきはよくも無視してくれたな…」
「ここまで追いかけてくるか。ならば、私もそれに応えなくてはなるまい」
「ゲニア)あんまり俺を舐めてんじゃねぇぞ、小僧。これでも俺は隊長任されてんでな、全力で行かせてもらう。……この戦いに思いを持ってんのは、テメェらだけじゃねぇって分からせてやるよ。」
「その心意気や…見事」
「ってラム!こんなところにいたのか!?」
「すまない…だが、君が来てくれたなら百人力だ」
「こっちの小僧は俺がのしてやる!お前はあっちをやれ!」
「ああ、わかった!」