第一章 戦争2
-相手はダホか…ダホと言えば、戦闘においては卓越しており我が兵隊の魔法攻撃の中を突っ込み攻撃を仕掛けるほどに狂っている。
戦争だからこれくらいがいいのだろうが、僕達の起こしたことはこのような者まで生み出してしまった。その罪を僕達はこれからどう償えば良いのだろうか…
「おい、戦闘中にのんびり考え事かぁ?てめぇは相変わらず気に入らねぇぜ!!」
「…失礼だったね。君相手に油断はできない。だから…早くケリをつけさせてもらうよ」
「それはこっちのセリフだ、ネズミ野郎」
彼女の鉄球が襲いかかる。鎖に繋がったそれは彼女の圧倒的なパワーで強く、速く動かされる。こちらも手持ちの杖を魔法で剣に変形させて対応する。頭を使い、自分の持ってる全てを使い…勝つんだ。
-相変わらずあのネズミ野郎は気に入らない。だが、あのネズミ野郎の実力は私も痛いほど知ってる。何度戦い何度負けたことか…悔しいがあの時までは私の方が弱かった。だが、今はどうかな?は、そんなの聞く方が酔狂か。
正義とか悪とか関係ねぇ!互いの賭けてる全てを持って戦おうぜ!!
「はははははは!!!くらえええええ!!ネズミ野郎!」
「なんと無茶な戦い方をするんだ……君は!」
-始まったか…本当にアマリアの誕生日を狙うなんてな、ラムの言う通りだったわけだ。ラムも変わったがシンのやつも変わってしまったらしい…
そんなこと考える暇はないな。ラムから聞いた話だと、うちの部隊はラビト達の別働隊とノア達の後衛隊のふたつに別れたらしい。俺の役目は、体力を生かした前線部隊だ。今は偵察部隊の隊長としてではなく、1人の戦闘要因として駆り出されてるってわけだ。
…しかし、妙だ。奴らが本気で攻めているように見えない。まるで俺たちを止めているような…
「ぎゃああああ!?!?」
「後ろの奴らの声!?まさか!!」
気がつくと、敵に後ろを取られていた。どうやら、近くの川を使って裏にまで回ったらしい。だが、ラムがそういうのは対処するはずだが…
「ラム!!!ラムはどうしたぁ!!!」
「隊長〜!!!ラム様とアマリア様がいませーーーん!!!」
「なんだと!?」
あいつら、こんな時に何をしてやがる!!前線の敵も勢いがついてきやがった!このままじゃあ挟み撃ちされて手の出しようが無くなるぞ!!
-この声はゲニアだ!私達を探しているようだ…
はっ!そうか、ラムのこの作戦は急に決まったことだからラムも言えなかったんだ。しかも、ラムが後衛を守る役目も担ってたから守りが薄い……この状態で考えられるのは…挟み撃ちか!!まずい!
向かおうとする私の前に立ち塞がるはかつての幼なじみだった
「どこに行く?アマリア。お前の方から来たくせに今からしっぽ巻いて逃げるつもりか?」
「くっ…やはりそう来るか。」
「なぁ、覚えているか?アマリア…俺達が喧嘩する時、大体分かれるのはこんな感じだった。俺が1人でアマリアとラムが2人で…アマリアはずっと泣いてて、ラムは泣きながらも俺と戦って。」
「君はまさかそのことをずっと…」
「…さて、どうだったかな?でもお前ら弱いから2人になんなきゃ俺に勝てねぇだろ?だからハンデだよ、ハンデ。」
「くっ…!君と言う奴は!」
-また俺は気丈に振舞ってる。本当はずっと、劣等感を覚えてたくせに。明るく、楽しく、からかって……そうやって昔からやってきた。でも、アマリアとラムがいつも2人で俺と戦ってきて、俺はどこか劣等感や虚しさを感じていた。
初めての喧嘩も…公園で何度もやった喧嘩も…お互いの家でやった喧嘩も…そして、この戦争を招くことになった最後の喧嘩も。俺は全部覚えている…。
その劣等感を和らげるために俺は最後まで戦うのかもな。自分が勝つことで…優越感を得たい。百獣の王としてあり続けたいから…。
「構えろ、アマリア!覚悟を決めろ…この場にラムはいない!!俺とお前だけしかいない。」
「わかっているよ、そんなことくらい。」
「…どっちが勝っても昔のようにはならない…か。」
「それは…ラムが?」
そういうのがムカつくんだよ…お前らにしかわからないような何かが本当にムカつく。
-100人もの者らに攻撃されては私も苦戦する…母を助けることも。彼らは魔法を使い巧みな戦闘を行う。肉を喰らう者を恐れずに掛かる…その点をいえば我ら肉を喰らう者らより勇気があるかもしれん。
「これで終わりだァァァ!!」
「…むん!!」
「ぎゃあ!?」
「戦場に言葉は不要…来るが良い!!」