第一章 肉食王国編2
作戦決行前日…私の隊はいつも通り訓練を積んでいた。いつもの訓練とは違い、本格的な実戦向けの練習だがな
そこにとある奴がやってきた。私もよく知ってる顔…いや、関わりの深いと言うべきか。名はドライトン、何を隠そうまだ若いが竜族の1人だ。
竜族と言えば、どこに住んでいるのかも分からない幻の一族。最も神に近いと言われていて、戦闘力は肉食動物の比では無いと言う。そんな奴が肉食王国の近くで行き倒れしてたんだ…何があったんだか。
とりあえず話をしよう、何しに来たのか…あいつはまだ出す訳には
「ドライトン、どうした?」
「母よ、私も戦いの場に赴きたい所存です。」
こいつは記憶が曖昧らしく、名前しか覚えてないようだ。だから私を母と呼んでいる。んな事はどうでもいいんだ…
「ダメだ、お前はまだ戦えるほど力をつけてない」
「しかし、母の役に立ちたいのです!どうかご考慮ください」
これだから困る…竜族とはいえ、まだ若いからあまり強い訳では無いんだ。けど仕方ねぇならば
「わかった、お前を試してやる」
「私をですか…」
「うちの部隊全員と一気に戦って勝ってみろ。そしたらお前も一人前の戦士として認めよう」
「かしこまりました、必ずや母の期待に応えて見せます」
甘いな…うちの部隊は私が厳しい修行をさせた。竜族とはいえそう簡単には…
「がはっ…!?」
「なっ…!!!」
「母よ…私もだだ部屋にいた訳ではありません。母の為に私も鍛錬を積んで参りました。これからも精進する所存…認めてはくれませぬか?」
-これは私が思っていたより竜族ってのはやばいらしい。しかもこいつはまだ向こうに存在がバレてない。
私の考えが甘かったらしい。ちょっと本気で試してみたくなった
「構えろ、ドライトン」
「母…なにを!?」
「私が直接試してやる。好きに来い!」
「…母がそういうのならば御免!!」
ドライトンは剣と盾を使いこなして私に攻めてきた。私の中でも何かが昂っているのが分かる。私も負けられないな…!そう思い鉄球を振り回す
「ドライトン…!強くなったな!」
「母!戦いの最中です、言葉は後にしましょう」
「ああ…そうだな!!!」
昂る…昂るぞ!そうだ、戦いはこうでなくてはならない!!王達が望んでないからなんだ?残酷だからなんだ?私はただ…この高揚を何度も味わいたい!戦いが好きで何が悪い?私の生きる場所は…ここにある!!
そして…
「…私の負けだ、ドライトン。」
「母…」
「悲しむな、お前はもっと精進しろ。そして…お前を国王に推薦しておこう、私に勝ったと言えばあいつも文句はあるまい」
「!!感謝致します…母よ!」
王座の間…
「そうか…ダホ君を負かしたんだ」
「ああ、やつを部隊に入れても問題は無いだろう」
「君がそう言うなら間違いじゃないと思うよ。」
「…明日だな。」
「うん、明日で全てを終わらせる…そして、こんなことはもう二度と起きないようにするんだ」
「…」
終わらせる…か。もしこれが終わったら私は何をすればいいんだろうな。教えてくれよ…シン。そう思ってると、見透かしたようにシンが語りかける
「ダホ君はこれが終わったらどうしたい?」
「どうしたい…か。特に考えてないな」
「俺は…この戦争が終わったら…」
「終わったら?」
「…いいや、なんでもない。」
「そうか。私は失礼する…明日の用意があるからな」
私は玉座の間を出て行った
-誰に言えるだろうか、本当はあの二人ともう一度あの頃のようになんて…誰に言えるだろうか。元々は俺とアマリアがくだらない口喧嘩をしたことからはじまったことなのにもう俺達では止められなくなっていた。
立ち止まっては行けないのはわかる。でも、叶うならばまたあの頃のように…
翌日…
シンの呼びかけの元、戦いの準備をする一同の姿があった。そして、シンがその前に立ち声を上げる
「いくよ…みんな。この戦いを…終わらせよう!!」
「おおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
「かいもーーーん!!!」
門が開かれた、最後になると言った戦いの幕が開かれた




