第二章 その後…1
時は流れ数ヶ月後…
-あれから僕は自身の国へ戻った。批判の声も多くあると思ったが、僕を待っていたのは出迎えてくれる暖かい声だった。感謝してもしきれず僕は泣きそうになった。
僕がいない間の政治はゲニア達が行ってくれていたらしい。彼らにはしっかりと感謝しなければ…アマリアは食事をあまり摂取しておらずかなり痩せていたようだ。これもまた…僕の責任だ。
…さて、物思いにふける暇はない。これから数多くの国との貿易が始まる。貿易の品を作る人々に説明をし、僕が国に戻ってから1ヶ月したくらいには正式にスタートした。これにより僕らの国に化学の力が多く入ってくることになった。携帯電話、電気機器、車…
特に1番大きかったのはトラクターやドローンの存在だった。手作業の多かった農作業がこれらにより非常に楽になり、リス族はとても喜んでいた。だけど…ゲニアが…
「おい、また壊れちまったぞ((((」
「ゲニア…トラクターに魔法を使って加速させないでといつも言ってるじゃないか(汗)」
「んな事言われてもよぉ…」
「リス族の子供達の方が覚えが早いってどういうことなんだい…(汗)」
「俺はもうじじいって言いてぇのか?((((」
「…君は兵隊やめたおじいちゃんじゃん」
「ええ…(汗)」
お金がもったいない…((((
まぁ平和ないい証拠だ。さて…ミトロンはどうしているかな、訪れてみるか
肉食王国 ミトロン…
ここも文明の光に照らされたようだ。彼らは武器製造だけではなく建築士としての腕も買われているらしく、様々な国で建築に大忙しだそうだ。次はお城だな…
肉食城…
いたいた…シンだ。今は何を…
「国王陛下!ツチノコはいませんぞ!!((((」
「ええい、ないって決まった訳じゃない、俺が探すんだ!!((((」
「……何やってんだ君達は」
「ネズミ野郎か。国王のやつがツチノコ探すって聞かねぇんだ((((」
「なぜそうなった…(汗)」
「見てたらわかる…」
「国王陛下!そんなことよりも外交の仕事が…!!!」
「やだ!ツチノコ探すんだ〜!!」
「…なるほど、仕事を抜け出すための下手な理由ってことか(汗)」
「そういう事だ…(汗)」
…肉食王国も平和そうだ。ん?これはグードか。僕らは心の中で話ができるから。便利だなこれ((((
ラムの心の中…
「グードか。どうしたんだい?」
「女子と(自主規制)したくてな((((」
「それを心の中で言うのはいいけど僕の体で言うのは辞めてくれないかな(汗)」
「ははは、挨拶みたいなもんじゃ。冗談じゃよ」
「冗談なのね…」
「そんなことを話したいんじゃない。ドライトンの事じゃ」
「ああ…君だからこそわかることも沢山あるだろう。」
「うむ…お主の言うようにあの頃の記憶を無くしているらしい。何故そうなったかは知らぬが…今はとても幸せそうじゃ。そうなってくれているならあれをしてもらったかいがあるというものよ。…儂の生涯に1度だけの友は死したあとの儂も悦ばしてくれる、これ程悦ばしいことは存在せぬよ。お主にもお礼を言わぬとな…ありがとう、ラム。これからもよろしく頼むぞ」
「ああ。僕からも…よろしく頼む。グード」
少しして… 蟻王国アントピア
以前からしたら信じられない光景だな…この国に色々な人種が行き交い仲良くしているのは。この国の科学力は様々な国を変えた。そして、僕もそのひとりだ…科学もまた素晴らしきチカラのひとつだ。さて…ビリャオに会うか。
蟻王国城…
「!ラム様、ご無沙汰しております」
「ああ、元気そうでなによりだ。どうだい?あれからこの国は」
「ええ、開国によってこの国は大きく変わりました。もちろん、まだ国民が受け入れられないことがあるのも事実…ですが新しいことを受け入れるということは自分の価値観が変わったりするもの。これでいいと私は思っています。いずれこれが当たり前になり、この国はもっと発展する…その未来が私には見えます。ラム様…貴方のおかげです。」
「変わることは受け入れなきゃ何も起きない。案を出したのは僕だが受け入れて変えたのは君自身だ。僕は君もまた素晴らしき王だと思うよ。これからも頑張ってくれ」
「はい!」
さて…次は魚王国ウリーマーだ。姫は大丈夫だろうか…?そう思っていると、魚王国から電話が掛かってきた。
「僕だ。」
「ラム様、羅鱶です。やっと使えた…」
「やっと使えた…?スマホの使い方に苦労しているようだね」
「いやはや…この歳になると新しい事を覚えるのが大変でして。それよりもラム様…姫様のことで話が」
「うむ…ちょうど僕も聞きたいと思ってた。単刀直入に聞こう、彼女は平気かい?」
「…いえ、平気ではありません。国民達の前では気丈に振舞っておりますが部屋に入るやら自暴自棄になり泣いたり怒ったりされることが多く…。やはりあの件が響いているのは間違いないかと」
「…当たり前だ、家族全員をグリースに殺されたんだ。怒りも悲しみも感じ、自暴自棄にもなりたくなるだろう。羅鱶でもどうにもならなさそうな感じかい?」
「ええ、私の前でも気丈に振舞っておられるので難しいかと…」
「…わかった。至急こちらで考えておこう。今はやることがある…失礼。」
…やはりこうなるか。彼女にグリースが生きていることを伝えなくて正解だった。グリースにはまだ聞かないとならないことがある…死んでもらう訳には行かないんだ。