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戻らぬ時を僕らは行く  作者: star of K
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第二章 終わりの音が響く

…何も疑問を持たなかった。自分の国が鎖国だったこと、誰に対してもニコニコしていること。でも、他の国を知り、他の人種と触れ合い私は自分の生き方に疑問を持つようになった。

何度こういった話を君達にするのだろうか?いや、きっとこれからもこういった話を私はし続けると思う。フーゴ様が私に力を貸してくださっているからか、今は不安ではなく希望を感じている。これが終わったあとの未来を想って…希望を感じている。

不思議だ…あの国から出る前はこんなこと思うことなかったはずなのに。鎖国していた国の王がこんなこと思うのは贅沢かもしれない、はたまた偽善かもしれない。だが、それでもいい。鎖国していたからこそ、私は他国の人達と協力したことの誇りを人一倍感じれるのだと思う。

目の前にいるグリースはきっとそんなことを感じてこなかったのだろう。生まれ持った宿命かもしれない…親から帝王学を学ばされていたのだから。だとしたら少し同情の気持ちも湧いてくる。でも、今悪さをしているのは紛れもない彼の選択だ。同情はするが許す訳では無い。だからせめて…この力で終わらせよう。



「くっ…この私ガこんなガキに…ありえぬ…アリエヌ!!!この私ハ…全ての王…グリースだぁぁぁぁぁアアアアアアア!!!!」

「…想いよ、この弾に力を乗せ、貫け…!」



ばぁぁぁぁぁん…!!



「……ま…ケタ?この…ワタシが…私が…ワ…タシ……」

「…っ!!」



…グリースは倒れた。そして、それと同時にこの化け物が崩れていくのを私は感じた。



一方…


「あれは!?」

「魔王が苦しんでおる…やったのか」

「グオオオオオオオオオ!?!?」

「へぇ、妖力の供給元がなくなって崩れていくんだな…!だとしたらビリャオのやつ…」

「あとは出てくるだけじゃが…」

「あれは…ビリャオ殿達であるな!」


-良かったのう、これでまた1つ大きな戦いが終わりを迎えたという訳じゃな。よくやった…それならば今回の儂の出番は終わりじゃな。あとは任せるぞ…ラムよ……


-…終わったようだね。これで1つ呪いが消えた…



「ビリャオ、大丈夫かい?」

「ラム殿の喋り方に戻ったですな((((」

「何とか…しかし、フーゴ様あ、いやクラッシャーズの方々が…」

「クラッシャーズ?彼らが一体…」

「かくかくしかじか…」

「命を呈して国を守ろうと」

「…なんということをしてしまったのでしょう。私達の化学の力でも死人が生き返ることはありません」

「へぇ、こいつら頑張ったんだな。供養してやるか…ん?」

「ダホ様?」

「…生きてんじゃね?息使いが聞こえんぞ」

「!!!!生きているならば私達の化学の力で…!!」

「おい!こっちに魚王国の国王がいるよ!!みんなでこの子も助けよう!」


…これで僕の目的の1つは達成されたわけだ。そうだ、グリースを回収しないと。こいつは堅牢な牢屋に入れておこう。

魚王国の国王…回復するといいが。


時は流れ翌日…アントピアにて


話によると、クラッシャーズは化学の力で驚異的な回復力をみせ歩けるという。とんでもない生命力だ。アマリアと金魚姫もあれからちゃんと目を覚ました。

あれからビリャオに詳しい話を聞いた。たくさんの人々が犠牲になってしまったようだ…とても、残念な事だ。そして、ここにも1人…



「おい!!医者てんめぇ!!!国王陛下はもうダメだってどういうことだよ!!!」

「な…内蔵が激しく損傷しておりまして。生命維持装置で生きているのも正直限界な程で。」

「何とか治すのがてめぇの仕事だろ!!!ふざけんな!ゲボげホッ!!」

「無理しないで、あなたはまだ…」

「し、しかしお嬢…いや、姫様」

「お嬢でいいわよ。」

「…お嬢、俺は…俺達は…」

「もう…いいんだ…フーゴ…」

「国王陛下!」


…僕から見てもわかる。彼は虫の息だ。正直助からないだろう。これもまた…グリースの出した犠牲のひとつか。せめて最期はここにいるみんなで見送ろう。


「もういい…ボクはみんなを…きずつけてしまった。あやつられていた…それでも、きずつけてしまった。」

「国王陛下が気を病むことなどありません…!全てグリースのせいなんです!」

「…たのみがある…さいごのわがままだ。きみたちにはよくわがまま…いってたね。」

「っ…陛下」

「…ねえちゃんをおねがい。…きっとねいちゃんがあのくにを…ぼくたちのこきょうを…すばらしくしてくれる。だから…そのくにとねいさんを…いつまでもまもって。おねがい」

「…陛下の御命令に我らクラッシャーズ、全力で応えます。」

「らぶか…も…」

「言われずとも、それが私の生きる意味ですからお任せ下さい…」

「…ねえちゃん、もっとあそびたかった。ほんとうはもっとあそびたかった。」

「…ワガママ言わないの。」

「ははは、いつもと…かわらないや。ぼくのワガママ…フーゴたちといっしょにきいてくれてありがとう。…パパ、ママ…ぼくとまたあそんでね…」

「陛下…陛下ぁぁぁぁあ!!!!!」

「…午前11時25分…死去です」

「何故だ…何故陛下が!!!なぜ我が主は…!!!こうなってしまったんだ!」

「…国王様。どうか…安らかに。」


…その場にいる人々はその死を悲しんだ。その中でも1番泣いていたのは…金魚姫だった。親族の全てをグリースによって殺された彼女は、何を思うのだろうか。僕には…分からない気持ちだ。


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