第二章 帝王降臨1
「国王陛下、御三方は気絶しているだけです……暫くしたら目を覚ますかと」
「それなら良かった……さてと、ラムてめぇ今までどこほっつき歩いてやがった!」
「…強くなるために旅をしていた。今更何かを言い訳するつもりは無い」
「けっ、次はちゃんと納得する説明してからいけ。あと…アマリアにはちゃんと理由言ってやれ。1番心配してたんだぞ」
「ああ、そのつもりだ」
-勝利を手にした僕らはたわいもない話をしていた。これでこの国にも平和がやってくるんだ…僕らはそう思っていた。
「それよりも母の無事を確かめたい所存です。」
「お、おおそうだな。あそこの窓から外を見るか」
「だね…」
僕ら3人は外を見た。そこにある光景は僕らの予想していたものではなかった…
なんと、操りの術が解けていなかった。魔法にせよ、妖術にせよ術者が力尽きたら効力は無くなるはず…ということはまさか!
「ふせろーーー!!!」
「!?ぐああああああ!!!!」
「シン!!!」
「急所は外したか…だが、その傷は時の経過によるものでしか癒えぬ傷だ…暫く自由が効かないだろう」
「くそっ…先に捕まえとけば……」
「っ、確かに僕の魔法で癒せそうにない」
「まだだ…まだ私は果てぬ!!私は…王になるために選ばれた者なり!邪魔をするやつは…消え失せるがいいいい!!!」
「なっ!?彼奴一体何をするつもりだ!?」
「っ!城が大きく揺れて……!」
城門前…
「な、なんだぁ!?」
「城が揺れて…!姫様は!?」
「うわぁーーー!!」
「あれは…!シンにドライトンに……ネズミ野郎!?」
「っっ…大丈夫か!」
「国王陛下こそ…その傷では」
「おい!城が巨大な何かに変形してるぞ!」
「あれは…!古に封印された禁じられし者…第六天魔王!!」
「ぐおおおおおおおおおおお!!!!!」
第六天魔王…一説にはこう書かれてる。第六天魔王は仏の道の三界が1つ、欲界の主。人の快楽や欲求を自由に奪い、自らに享受できる力を持つと言う。つまり…他の者に化ける力を持つ。この大陸にも1度第六天魔王が降臨したことがあると言う。その当時は勇気あるものが第六天魔王の封印に成功したそうだ。
しかし、今それが復活し城をも飲み込んでしまった…これも全て帝王学が引き起こしたことなのか?帝王学は魔王の復活すら促すのか?世界を旅しても分からないことが多いな…
そんな場合じゃない…こいつをどうする?こんなにバカでかい魔王を…
「ぐおおおおおおおおおおお!!!!!」
「わあああああ!!!!」
「あいつ!?人々を食ってるぞ!」
「!!あれは…アマリア殿!ビリャオ殿!金魚姫殿!!」
「何っ!?迂闊だった!僕らと共に外に出された訳じゃないのか!!!3人を離せっ!!!」
…しかし、その化物は無常にも3人を飲み込んでしまった…くそっ!アマリアやみんなを護るために強くなったんじゃないのか!これじゃあ何にも変わってない…!
「っ…今になって傷が痛む…」
「国王陛下はお休み下さい、ここは私が…せいや!」
ドライトンの刀による一撃が化物の腕を斬った。しかし…一瞬のうちにその体は再生された
「!?再生能力があるのか…!」
「ならば…全身を貫くまでだ。くらえ!」
その後に僕は雷魔法で化物の全身を攻撃した。…それも効いているようには見えなかったが。
「外からの攻撃はほとんど効かないみたいだ」
「なっ!?それならば姫様はどうするのですか!」
「…中に入れれば何とかなるかもしれないが」
「ならばこの羅鱶!姫様のためにこの身を捧げる覚悟!!うぉおおお!!!」
「辞めるんだ!羅鱶!今突っ込んだら君がどうなるのか!!」
「話してください!ラム様!!!この人生を掛けたご救助をさせてください!!!」
「落ち着け!今君がいなくなったらあの2人は誰が見るんだ!親がいなくなった彼らを見れるのは…君しか居ないんだ!!今は亡き国王だって…君がいなくなるのを望んではいない!!!絶対に!!!国王の為や姫のためを思うなら…生きるんだ!!」
「では…どうすれば良いのですか…!姫様を…姫様をどうすれば…」
それがどうにかなれば僕だって…
しかし、天は僕らを見捨ててはいなかったようだ。僕のスマホに電話がかかってきた。相手は…ビリャオだった
「!?ビリャオか!!」
「…ええ。気絶したフリをして内部へ入ることに成功しました。電話が繋がるようでよかったです…… 」
「通話ができるということは…僕のはなった雷魔法の影響はないのか?」
「ラム様が放っていたのでしたら恐らくないのでしょう。しかし、飲み込まれる中でアマリア様や金魚姫様とはぐれてしまいました。彼女達は本当に気絶しているようでした…」
「…仕方ない、2人を連れてわけも分からないところにいるのは無理な話だ」
「…ラム様、もし外からの攻撃でどうにもならないのでしたら…私に任せて貰えないでしょうか?必ず、全員を救い出して、この化物を倒す糸口を掴んでみせます」
「ああ、君に任せるのが適任だ。というか…君しかいないだろう。…きっと大変な戦いになるだろう、だが…」
「その覚悟でしたら、この戦いをする前から決めております。必ず…この国の平和をグリースから勝ち取ります」