第二章 罪と意思 2
-この子は強い子だ。きっとまだ母親が亡くなった悲しみは無くならないだろうに、立ち上がり王位継承を行うと強く宣言した。そして、それに歳する儀式を私とシンに見て欲しいと言う。
…かの女王に言われた。''息子を頼む''…と。だが、この子ならきっと大丈夫だ…私はそう思う。
しばらく経ち、アントピアの城前広場にてたくさんの国民が集まる中、王位継承の儀式が行われることとなった。私達は彼の後ろからその勇姿を見ることにした。
しばらく女王が亡くなったことに歳する色々なことを行って、ついに彼の言葉が始まることとなった。彼はマイクと呼ばれるものを持って話を始めた
「…偉大なる私の母は天へと旅立ちました。私や皆さんがこれまで母に受けた優しさ、温かさは永遠にこの国の記憶として残っていきます。そして私は…この国の記憶と共にここからこの国の新たなる始まりを作り上げたい。そのためには、国民全員の協力が必要です。どうか…新しいことに恐れないでください。どうか…古いことだけに執着しないでください。そして…決して過去を忘れるようなこともあってはなりません。…この国の過去、皆さんの過去は忘れても消えることはありません。だとしたら私は忘れたい記憶をも後にいい記憶だと笑いあって語れるような、そんな世の中にしていきます。過去とは、忘れるものではなく…振り返るもの、振り返って始めて新たなる未来ができると私は信じてます。」
すると、彼はマイクを置いた。そして大きく息を吸い、大きな声で言葉を出した
「蟻王国よ、国民よ聞け!!!!今ここに私という新たなる王が誕生した!!!!この国や国民と共に幸福になれるように歩んでいくと誓おう!!!!この私こそが、蟻王国国王 ビリャオ・アースだ!!!」
最後の言葉を皮切りに国民の盛り上がりが最高潮に達した。いや、言葉だけでは無いのだろう…今まで皆のことを思って皆のために働いてきた、それが実ったに過ぎないと私は思った。
王位継承の儀式終了後 王座の間
「シン様、アマリア様先程は儀式をご覧頂いて感謝致します。」
「俺たちは見ただけだ。最後の言葉、身に染みたぜ…頑張れよ、国王様」
「はい、ありがとうございます」
「…早速で悪いけど私達は本題に入りたい」
「ええ、早急な用であることも分かっております。今すぐ国交を結びましょう。」
そう言うと彼は箱型の機械のようなものを取りだした。彼によるとタブレットと呼ばれるものらしい。事項等を読んだ後、サイン欄にサインしてくれという…ど、どうやってやれば…
「指で画面をなぞれば…」
「こ、こうか…うおっ!これはすごい…私の指が筆ペンのようだ」
同じくシンもサインを書き、改めて国交が結ばれることが確定した。
国交が結ばれるに当たり、シンは早速と言わんばかりに貿易の話に入った
「もちろん私としても貿易は積極的に行っていきたい所存です。我々が出せるのは化学力…例えばこちらを」
「ん?さっきのよりちいせーけど似てんな」
「スマートフォン…通称スマホと呼ばれる携帯電話です。これを使えば魔法のテレパシーと同等の効果を得られます」
「それはすごい便利だ…私の国でもテレパシーを使えないものは多いからな。」
「どうぞ、そのおふたつは差し上げます。これでいつでも連絡をとりあえますよ」
「お〜!すげ〜!」
シンと私は早速スマートフォンの使い方を教えてもらった。シンは直ぐに操作になれたものの、私はまだいまいち操作に慣れない…彼は気を利かせて私用のサイズを作ってくれたのだが。でもすごく便利なことに変わりはないだろう…
今度は別の化学力を見せてくれるらしい。彼が合図をすると、兵士達がたくさんの銃などの武器を持ってきた
「ぉぉおおお!!!° ✧ (*´ `*) ✧ °」
「私の国で作った化学兵器です。弾は入ってないのでどうぞ触って見てください」
「思ったより軽いんだな!ビリャオ!」
「これが化学兵器か…確かにそこまで重くない…」
「我が国の技術で可能な限りの軽量化に務めました。使い方はまた今度説明しますのでこちらをお持ち帰りいただいてください」
「いいの!?やったー!」
「私の国からは何を出すべきか…やはり野菜か」
「食事はとても嬉しい限りです。我々は国の化学力を使い人工栽培を行っていますが、味は決して善いものとは言えず…本物の味を知らない故に」
そうか、鎖国してたから野菜の本当の味を知らないのか。それでもあまり美味しくないというのだからきっと…私が食べたらまずいのだろう。でも気になるな…
「その野菜をたべてみても…?」
「やめた方がいいですよ!?アマリア様のお口にはきっと合いませんから」
「私が食べたら改善点を教えられるかもしれない…いいと思わないか?」
「確かに…では、お言葉に甘えさせていただいて。では…料理をお願いします、素材の味を知るならサラダがいいでしょう」
「はっ!」
そう言うと、この城の兵士が急いで作ってくれた。見た目は鮮やかなサラダが出てきた。では早速…
「…」
「ど…どうでしょう」
「…全体的にみずみずしさが足りないな。もしこれらを改良するなら…」
私は柄にもなく野菜について語り始めた。彼はその話を真面目に聞き、しっかりと記録していた。すごく熱心で勤勉な子だなと私は思った。すると、彼が口を切り出した
「そうなってくると本物の味を私も知りたいですね」
「そう来たか…しかし、今手持ちには…」
「今から私がそちらの国に行ってもいいですか?肉食王国も草食王国も見てみたいと思っていたので」
「私は構わないが…シンの国はどうする?ってシン?おーい」
…シンのやつは武器に夢中で今までの話を微塵も聞いてないらしい。男子ってこういうものなのか…?((((