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戻らぬ時を僕らは行く  作者: star of K
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第二章 罪と意思 1

一方…アマリアとシンは…


-くそっ、蟻王国ってこんな遠いっけ。歩きだからか……めんどくせぇ


「いかにもめんどくさいって顔してるね…」

「めんどくせぇよ…蟻王国ってこんなに遠かったっけ」

「しかたない、アントピアに行くのは初めてだからね。ずっと鎖国してた国なんだ…行くのも一苦労だ」

「だな…」


すると、やっとの思いで壁に囲まれた街が見えた。入口は銃を持った兵士達による厳重な見張りがしかれている


「どうするよ…」

「おい、あまり近寄るな。気持ち悪い(((((」

「気持ち悪いってなんだよ気持ち悪いって!」

「!?誰だっ!」


あ、やべ気付かれた。とりあえず敵意がないこと示したいから両手を挙げて近付いた


「俺達は戦うつもりはないよ〜…話がしたいだけだ」

「我々は外の者を入れるつもりは無い!」


ちっ、やっぱり簡単に入れて貰えそうにねぇか。なんのためにラムはここに…と思ったらなんかいかにも偉そうな奴がやってきた


「何事ですか」

「王子!実は…」


王子か…若いけどしっかりしてそうなやつだ。話し込んでるけどなんだろうな…すると、王子が前に出てきた


「貴方達が草食王国ズーラムの王 アマリア様と肉食王国ミトロンの王 シン様ですか?」

「ああ、私がアマリアだ」

「俺がシンだ。」

「手荒な歓迎になってしまったこと、お詫びさせてください。そして…お待ちしておりました。こちらへお越しください」


おお…顔パスか。まさかラムのやつこの国に…ってそんな場合じゃないな。この国の王に会わないとな


「俺達が来た目的だが…」

「ええ、存じ上げています。その件は…私の母とお話してください。」


そして、そいつに案内された先には確かに女王らしき人物がいた。何だかとても弱々しそうだな…すると、女王が口を切り出した


「よくぞ来てくれた…妾こそが蟻王国 アントピアの女王である。」

「…肉食王国ミトロンの王シンです。」

「草食王国の王、アマリアです。お会いできて光栄です」

「うむ。手荒な歓迎になってしまったこと詫びさせてくれ。ゴホッ…この国はまだ鎖国の頃の風習が根強く残っておる。妾達のもたらした罪であり…責任だ。あの者が来るまでその事に気が付きもしなかった。なんとも情けない話だ…ゴホッゴホッ」


ところどころ咳混じりの会話だな…大丈夫なのか?この女王は?というかあの者って…


「あのものとは……ラムのことですか?」

「その通りじゃ、かの者は妾が危機に瀕した時に助けてくれた…。感謝してもしきれぬ。汝らのこともラムから任されたんじゃ」

「俺達のことを…?」

「ああ、魚王国のことは聞いておる。その事で草食王国と肉食王国と国交を結んでくれと。」

「ラムが私達と…!」

「そうじゃ。妾は不思議に思ってな…戦うためだけならばラムとだけ協力すれば良いのではないか?と…その質問をしたらな、かの者はこう答えたのじゃ"僕は今だけではなく、未来も見たいのです。この戦いが終わった時に蟻王国、草食王国、肉食王国が共に成長すれば未来はより輝くものとなり互いの国がもっと栄えると思っております。だから何卒2国をよろしくお願いいたします"…と。」


…ラムらしい言葉だ。未来のことも考えて…か。あいつもちゃんと戦ってるんだな、みんなのことを思って。

さてと、本題に入らなきゃな


「では、国交の件は…」

「それは…ゴホッゴホッ…妾が決めることではない…妾はもうすぐ…世を去る。今、妾が…ゴホッゴホッ…決めたとしても…次の為にはならぬ」

「あと5日です。余裕が無いんです…我々は何をすればいいんですか?」

「…ビリャオ、こっちにきなさい」

「はい、母上…」

「紹介しよう…時期国王の…ビリャオ・アースだ。ゴホッ…ゴホッ…もう既に会議で決めてる事だ。この子が王になるのは…決まっておる…ゴホッ」


やっぱりな…確かにこいつなら優秀な王様になりそうだ。


「妾は…体に腫瘍が…できてな…ゴホッゴホッ…先程も言ったが…長くないだが…未練はない。…アマリア…シン…我が息子を任せても良いか…?この国の掟でな…生前に王位継承は出来ぬのだ…ゴホッゴホッ…息子の成長が見れないのが…残念で…しかたない」

「そんなこと言わないでください…女王様。」

「…もういいんじゃないかアマリア…女王様は長い間頑張ったんだ。もう…休ませてやれ」

「……っ」


今にも果てそうな女王は息子を見て笑っていた。そして、何かを告げるようにその体は倒れた


「母上!母上!!」


医療班らしき人物が女王を運んでった。多分もう持たないのだろう…俺達はそう察した。


病室…


そこには女王がベットに横たわっていた。ビリャオが医師から説明を受けていた。それを聞いて悲しそうな顔をしたビリャオは母親の元へ近寄った


「母上…私に務まるでしょうか、初めての男の国王が」

「大丈夫だ…それに…言ったであろう…妾が延命治療を……するのは…この者達が来るまで…と。だからもう…良いのじゃ…」

「母上…」

「俺たちが来るまで延命治療を…」

「ああ…どうしても…伝えたいことがあったから…。…この国は…罪を侵した。鎖国という…決して忘れることの…出来ぬ…重き罪を。それを妾は…ビリャオに…背負わせることになる。その事すら…今まで…気が付きもしなかった。罪の重さに気がついた時…妾は己を悔いた。その悔いをも…息子に継がせることになった。…妾達の身勝手で起きたことなのに…すごく…不安なのじゃ。だから…シン…アマリア。ビリャオが…迷った時…ビリャオが孤独になってしまった時…ビリャオを正しい道へ…共に…導いて欲しい。」

「分かりました…お任せ下さい。」

「俺達が必ずいい国王になるよう、支えていきます」

「…ありがとう。…そして、ビリャオ。この国を…妾の意思を…任せても…良いか?」

「母上…お任せ下さい。私が必ずこの国を、素晴らしいものにします。だから…」

「ああ…これでゆっくり休める。妾も…負の歴史の1つとなる。この負の歴史を乗り越え…正しい世へと導いてくれ…頼んだ…ぞ。」

「母上…母上…見ていてください。必ず…必ずこの国を幸せにしてみせます。母上の意思はしっかりと…受け継ぎます。」


…その日、偉大なる魂は天へと旅立った。

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