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戻らぬ時を僕らは行く  作者: star of K
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第一章 草食王国編


――今日も僕はいつものように目が覚めた。いつもの食事を済ませ、いつもの支度をしていつもの仕事をする。変わらないさ…そう、この戦争をしているという事実も。

僕はラム、見た通りネズミさ。ここは動物大陸 アニラントに立つ王国が1つ…ズーラム 別名 草食王国。人間というものがかつていたらしいが今では人間はいない。戦争で滅びた説…病死説…… 色々あるけどもそんなのはるか昔の話。今ではこれが日常だ…戦争しているってことも。

戦争相手は肉食王国 ミトロン 。彼らは僕らに比べ体格や筋力が秀でており、その肉体を使った戦をしてくる。反対に僕らは魔法を使った戦いをする。負けてはならない…絶対に負けちゃいけない。


王座の間…


「国王のおなーりー!!」


国王が入ってきた。相変わらず国王は怯えているようだ…この国はゾウの女王 アマリアが統治している。アマリアは仲間が傷つくのが怖いため、保守的な構えでいるようだ。それは今日も変わらぬらしい…いつものように報告等を受けて一同は解散した…僕を除いて


「…今ので大丈夫だった…?ラム…」

「それで大丈夫だ…アマリア。君は優秀な国王だ。」

「それは君がいてくれるおかげだよ…」


言ってなかったが僕らは幼なじみだ。ついでに言うと、肉食王国の国王も…

っと、偵察部隊の報告が入った。隊長はサイのゲニアだが、部隊員はリス達だ。彼らは偵察隊として非常に優秀でありミスを確認したことがない。ただし、リス達は短命で、20になる頃には死んでしまう。それは僕も似ているが…

ゲニアから報告が入る


「肉食王国に攻める気はないようだ。今は鍛錬や作戦会議をして次の戦いに備えてると言ったところか…」

「そうか…わかった。」

「…いつまでこんなこと続けるんだ…。まだやり直せないか?」

「ゲニア…もう、僕らは引き返せないところにまで来てしまったんだよ。」


戦争の原因を知っているゲニアはこんなことを言ってくれるが…もう遅い。そう…もう遅いんだ。

…いつもの業務をこなそう。国内を自らの足で回り、何事もないか僕自身の目で見る。国のみんなが"ラム様"と呼んでくれる。だけど、僕にその重圧が重い…それはきっと、アマリアも同じだろう。だから僕はその期待に答えるために強くならなくてはならない。

すると、売り子のリスが僕にも売りこみに来た


「ラム様!お野菜どうですか!美味しいですよ!!」

「では、ドライフルーツをくれ。」

「ありがとうございます!!」


お金を払いドライフルーツを受け取る。彼らの作る野菜はやっぱり美味しい…僕はコレで元気づけられている。

これが終われば兵士たちの訓練の指導。そして、財政管理、再び業務報告…はっきり言って多忙だ。けど、僕は絶対にやらなきゃならないことが一つだけある。とある魔法の研究だ

自分の部屋に入って作業を始める…研究してるのは、邪法と言われる寿命を操作する魔法だ。もう時間は残ってない。

―僕の命が尽きる前に…。僕は…アマリアを遺して逝けない。逝く訳には行かない、まだ話したいことが沢山ある。まだやりたいことが沢山ある…まだ僕は…。例えそれが悪魔に魂を売るような行為だとしても生にしがみつく…


「ゴホッ…!っ…時間が無い…」


僕のためでも…この戦争のためでもない。ただアマリアの隣にいるために。


翌日…


今日もいつもの変わらない…そう思っていた


「大変だ!ミトロンの兵がこの国の兵とやり合ってる!!」

「指示は出していないはず…!なぜ!?」

「偵察部隊の報告だとミトロンの兵士達がこっちの兵士たちに喧嘩を売ったらしい。どうする!?」

「…僕が行こう」

「ラム!でも…!」

「国王様、お任せ下さい…僕が必ず解決しましょう」


ズーラム門前 草原


そこでは報告通り、ミトロンの兵士とズーラムの兵士が戦闘をしていた。事情を聞くのは後にして今は解決しよう


「ミトロンの兵士よ…これ以上傷つきたくないなら下がるんだ」

「あれは…!ズーラム王国のラムじゃねぇか!ちょうどいい!その首貰ったァーーー!!」

「…すまない」

「ぎゃあああああああ!?!?」


僕は彼らに対して雷魔法を放った。威力は低くしてあるが、彼らにはいい刺激になるだろう…たちまち彼らはその場から逃げ去った。

その後、僕は兵士たちから事情を聞いた。どうやらアマリアのことをミトロンの兵士たちがバカにしたらしい。あくまで予想だが、ミトロンの王はこんなこと命令してないだろう…

―僕らの招いた戦争はこんなにも愚かなのか。望んでもいない争いで誰かが死にかける。こんなことがわかるなら…止めていたのに、あの二人を。…ただだ僕は僕を恨む。それでこの罪が償われる訳では無いのはわかっている。



王座の間…


アマリアが心配そうに待っていた。僕は起きたことをありのままに報告する。アマリアもショックを受けたんだろう…気丈に振舞っているがその声にはどこか元気がない。

その日の夜…アマリアの寝室で僕らは話し合っていた


「ラム…私達のした事が正しくないのは…わかっていた。でも、止められなかったかな…この戦いをどこかで私達は止められなかったかな」

「…止められたか止められないかじゃない。…もう止まらないんだ。時は戻らない…だからこそ僕らは先のことを考えなきゃならないんだ」

「ラム…」

「おやすみ…アマリア。」


…その閉めた扉がまるで…もう会えないことを示唆しているかのように僕は見えてしまった。

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