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瞳の中のキセキ   作者: 夢遥
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瞳の中のキセキ

ーーー3、2、1…スタート!!


ーー俺は君を忘れたことなど一度もない。何があっても、俺が守るから


そして、海斗(かいと)は彼女を優しく抱き締めた。



「はぁ~~、やっぱり海斗が彼だったらいいのになぁ~~~」


教室で本を読んでいた私は、うっとりしながら本を閉じた。


「また、そんなこと言ってる!!だから、いつまで経っても愛楓(まなか)には、彼氏ができないのよ?」


萩原(はぎわら) 梨音(りん)が、深い溜め息をつく。


私、(たちばな) 愛楓(まなか)と梨音は幼馴染み。

小さい頃から、梨音ともう独り幼馴染みがいるけど、2人とはいつも一緒に遊んでいた。



お気に入りの本『君のスター』の中に出てくる人気俳優、澤谷(さわたに) 海斗(かいと)に夢中な私を、いつも梨音は呆れている。


「いいじゃない、私には海斗一筋なの~~!!スマホゲームにあるなら、真っ先にやるのに。そうしたら、梨音だって海斗に夢中になるよ~~」


ページを捲ると所々に載っている挿絵を眺めているだけじゃ、物足りない。


「はいはい、それは何度も訊いたから。それより、帰りに奏多(かなた)とカフェで一緒に試験勉強する約束でしょ?」


「え?うん」


「少し遅れるって、朝LINEきてたよ。愛楓にも送ったって言ってるけど、既読がつかないって嘆いてたよ」


「えっ、そうなの?」


もう独りの幼馴染み、三芳(みよし) 奏多(かなた)からLINEが入ってたのは気づかなかった。


「また、本を読んでて気が付かなったんでしょ?」


「あ…はは……………」


痛いところをつつかれて、苦笑いするしかできない。


「ちゃんと奏多に謝っておきなよ」


「うん」


梨音も奏多も家は近所だけど、奏多とは高校が違う為、学校の帰りに待ち合わせの約束しても、急に変更になる場合もあるからLINEでやりとりすることも多い。



でも、奏多とこうしてやりとりすることができるのも、梨音のお陰でもある。


どうしてかと言うと、それはもう少しあとの話のことになる………。





放課後になると、私と梨音は先にカフェに行くと、飲み物を注文してからテスト勉強を始めた。


「明後日は、数学と英語か………ヤバいかも」


前回のテストはどっちも、赤点ギリギリだったのを思い出す。


「その為に、奏多を呼んだんじゃない」


奏多は進学校に通っているし、勉強を教えてもらう為に梨音が呼んだ。


「それにしても奏多、遅いわね…………」


「そうだね………」


着いてから40分は経っている。


チラッと時間を確認した時、奏多が急いでお店に入ってきた。


「ハァハァ………悪い、遅くなった」


走ってきたのか、奏多は息を切らしながらしていた。


「遅いよ、奏多!!とりあえず、愛楓の隣に座って」


梨音に言われて、私の隣に座る。


「奏多、喉乾いたでしょ?先に飲み物注文する?」


奏多の額に汗が滲み出ているのに気がついて声をかけた。


「ん、そうする」


飲み物を注文して、喉を潤したところで奏多は一息ついた。


「はぁ~~、落ち着いた」


「そんなに慌てることなかったのに」


さっきは遅いとか言ってた梨音だったけど、奏多の顔を見たら苦笑いするしかない。


「それもそうなんだけど、遅くなると勉強する時間もなくなるし……ってことで早速、やるか」





奏多に急かされ勉強を再開し、家に帰ったのは7時30分を回っていた。


「疲れた~~~」


お風呂につかりながら、ホッと一息をつく。


帰りに梨音達と夕飯は食べてきたから、あとはお風呂から出たら『君のスター』を読むぞ~~~!!


お風呂を出て部屋へ戻ると、ベッドの上に寝転がりながら本を開く。


つい、夢中になってしまい読んでいるうちに、次第に瞼が閉じていく。


「ふぁ~~~」


本を片手に大きな欠伸が出たところで、意識が遠のいていった。





チュンチュン……………………


「朝だぞ、愛楓。起きろ」


「ん……、お父さん。もうちょっと寝かせて」


  重い瞼を閉じながら言ったものの、お父さんが起こしにくるなんて珍しい。


ん?ちょっと待って。お父さんの声ってこんなに良い声してたかな?


頭の中で疑問に思いながら、何とか瞼を開けると、知らない男の人が瞳の中のに映っていた。


「だっ……誰ーーー!?」


驚きのあまり、ガバッと布団から起き上がる。


「そんなに驚くことないだろ?俺の顔に見覚えあるだろ?あんなにラブコール送ってたくせに」


男の人は自分の顔を指差す。


「ラブコールって言われても…………………」


私は、首を傾げることしかできない。


だいたい、海斗一筋なのに、他の人なんて…………ん?まって、よく見たら前髪の分け目や顔立ちなんか海斗に似ているような…………。



思わず、本の表紙にある絵を見比べた。


「…………………………!!!!」


見比べれば見比べるほど、そっくりで海斗が本から飛び出してきた感じだ。


「やっと、気がついたかーーー」


  呆れたように、私の顔を覗き込む。


「い、いくらなんでも………そ、んなこと………」


ありえない出来事に、動揺を隠せない。


「まだ、信じられないって顔してるけど?」


「だ、だって………ちゃんと名前を言ってくれないと信じられるわけない………」


「仕方ないなぁ~~~、俺の名前は澤谷海斗、歳は21で血液型はB、職業は俳………」


「ストップストップ!!もう、わかったから………」


それ以上、言わなくてもわかる。でも、わかったとは言ったものの、未だに信じられない。


「さすが、愛楓。俺のことは何でもわかってるとみた」


「そ、そりゃあ………海斗のことならじゃなくて!!どうしてこんなことになってるのか、理解に苦しむんだけど」


現実ではありえない事が起きてるんだから、どうしたらいいのか戸惑う。


「まあ、俺も気づいたらここにいたわけだから、原因としては愛楓が俺のこと一途に想ってたから引き寄せられた?ことしか思いつかないんだけどな」


「……………………」


学校でも家でも海斗に夢中で本を読んではいたけど…………。


「もし、私が原因ならごめんなさい………」


申し訳なさそうに俯いた時、海斗はそんな私の顎をクイッと持ち上げた。


「悪いと思うなら、俺のオモチャになれよ」


「え………?」


海斗の言葉に自分の耳を疑う。


今、オモチャになれとか言った…………?

ううん、きっと聞き間違えだよ。海斗がそんなこと言うはずないもの。


「や、やだなぁ~。海斗もそんな冗談言うんだ………?」


「は?俺は本気で言ってるんだけど?」


「…………………!!!!」


信じられない!!海斗がこんなヤツだったなんて。


「どうなんだ?なるのかならないのか?」


「オモチャになんてなるわけないでしょ!!」


「ふぅ~~ん?ああ~~~、困ったなーー、今日はドラマの撮影が入ってたのになぁ~~~~」


海斗は、わざと大きな声を上げる。


「ちょっ、ちょっと誰か来たらどうするのよ!?」


慌てて海斗の口を手で塞いだ。


「わ、わかった………海斗の言うこときくから……」


これ以上、騒がれたらたまったもんじゃない。


仕方なく観念すると、海斗はニヤリと笑う。


「そうこなくっちゃ!!」


「……………………」


いったい、これからどうなっちゃうのよーーー!?







「はぁぁーーーー」


学校へ行くと、教室の机にもたれながら大きな溜め息が

漏れた。


「愛楓が溜め息つくなんて珍しいーーー」


いつもと違う私に、梨音は目を丸くした。


「だって、海斗が……………」


おっと、いけない!!うっかり喋ってしまうところだった。


まさか本の中の人物が、私の前に現れたなんて、果たして信じてくれるだろうか?


「海斗って、いつも愛楓が騒いでる海斗だよね?どうかしたの?」


「あ、えーと、夢で海斗が出てきて………………」


慌てて誤魔化すと、梨音は呆れた顔をする。


「はぁ~、あんたね………夢にまで出てきたって、どんだけ好きなのよ」


「ははは…………」


今は、苦笑いすることしかできなかった。





「やっと、家に着いたーーー」


学校が終わると、梨音に『帰りにテスト勉強していこう』と誘われたけど、海斗のことが気になって『今日は独りでテスト勉強やるから!!』と断って、急いで帰ってきた。


家の前まで来ると丁度、奏多も帰ってきたところみいで、鉢合わせになった。


「愛楓、おかえり」


「奏多も今、かえり?」


「ああ、明後日から試験だしな。愛楓の学校は明日からだよな?」


「うん」


「苦手教科の方、大丈夫か?」


「実はまだ、わからないところあるんだよねーーー」


奏多に訊かれて、恥ずかしそうに応える。


「俺、今から試験勉強やるから、愛楓も一緒にやらないか?わからないところ教えてやるよ」


「本当!?…………ご、ごめん。やっぱり今日は独りで何とかやるから、また今度教えて!!じゃあ、またね」


海斗の事を思い出して、慌てて玄関の鍵を開けた。


「あ、おい、愛楓!?」


いつもなら、勉強を教えてもらうはずの愛楓の様子がいつもと違うことに、奏多の戸惑う声が背中越しに聞えてきた。


奏多のことはさておき、家に入ると、リビングでソファーに寝そべりながら寛いでいる海斗の姿が視線に入った。


「海斗!!」


私は驚いて海斗の近づく。


「おお、おかえり~~~」


海斗は呑気な顔で、私の方を振り向いた。


「おかえりじゃないわよ!!もし、誰か帰ってきたらどうするのよ!?」


両親は仕事でいないけど、中3の弟の(りょう)が帰ってきたら、どう説明したらいいのか思いつかない。


「誰もいないんだしいいだろ?それに、こんなにのんびりするのも久しぶりだし」


「そっかーー、いつも仕事で忙しいもんね………って、そうじやなくて、早く部屋に行こう!!」


ソファーから起き上がらせようと、海斗の腕を掴もうとした時、反対に腕を掴まれ引き寄せられてしまった。


「なっ、何するの!?」


「何するのって、俺の事、誘ってるんじゃないのか?」


耳元で囁かれて、ドキドキと鼓動が高鳴る。


「か、勘違いしないで!!誰か帰ってくるとまずいから言っただけだから」


海斗がこんな軽いヤツだったなんて、今まで海斗一筋だったのがバカみたいだ。


「とにかく、早く!?」


急いで自分の部屋へ連れて行かせた時、玄関が開く音がして、階段の下から凌の声がする。


「ただいま~~。姉ーちゃん、帰ってんのか?」


「りょ、凌ーー?私も今、帰ってきたとこだから着替えたら下に行くから」


慌てて返事を返したけど、海斗のことはどうすればいいのだろう。


「俺のことは気にしないで、弟くんの所に行ってきなよ」


海斗が気づかって、そう言ってくれたけど、やっぱり気が気じゃない。


「すぐに戻ってくるから、これかのこと考えよう」


「そうだな……それより、腹減った」


海斗のお腹の虫が、ぐぅ~~っと鳴り響いた。


「今、何か持ってこようか?」


「悪い………」


急にしおらしくなる海斗に拍子抜けしながら、何かないかキッチンへ探しに向かった。


考えてみれば、海斗。今日の朝から何も食べてないんじゃないかな?



キッチンへ入ると、目に飛び込んできた物はホットケーキミックスだった。


本に書いてあったことを思い出す。

確か海斗って、甘党だったよね?パンケーキでも作ろうかな?


早速、冷蔵庫から牛乳を出して作ろうとしたけど、一瞬手が止まる。


普通にパンケーキじゃ、つまらないかな………?


冷蔵庫にあったウインナーを取り出して、ウインナーロールを作ることにした。


急いでボールにホットケーキミックスと牛乳を入れると手でこねて、生地がまとまったら棒状に伸ばしウインナーに巻いてオーブンで焼いて出来上がり!!と、まではいかず、オーブンで焼いて出している所に凌が鼻をヒクヒクさせながらキッチンに入ってきた。


「ん~、いい匂い!!姉ーちゃん何作ってんの?」


「ウインナーロール」


「何それ?美味そう~、1ついただきーーー!!」


凌の手が伸びて、ヒョイッとウインナーロールを口の中に放り込んだ。


「あっ、こら凌!!」


ウインナーロールを盛り付けたお皿を、サッと凌の前から遠ざけた。


「そんなにあるんだから、もう一個くらいいいだろーーー?」


「ダーーメ!!」


「何だよ、ケチッ!!大体、そんなに作って、姉ちゃんがそんなに食べるのか?」


「そ、そうよ」


凌の質問に戸惑いながら応える。


「何か、怪しいな~~、あ、わかった!!もしかして、彼氏ができたとか!?だから、急にそんなの作って彼氏にあげるつもりだろ?」


「か、彼氏なんていないわよ。そんなこといいから、受験生なんだから、お母さんが帰ってくるまで勉強でもしてたら?」


「はいはい、わかりました」


凌はチエッと舌打ちすると、仕方ないなと言う顔をしながら自分の部屋へ戻って行った。



早速、私も部屋へ戻る。


「お待たせ~~~、お腹の足しになるかわからないけど、食べて」


海斗に作ってきたウインナーロールを差し出した。


「美味そうーー、これ愛楓が作ったのか?」


「うん」


「へ~、愛楓って料理できるんだ?」


意外そうに見る海斗に、


「ホットケーキミックスの生地でウインナーを巻いて、焼いただけだけどね」


少しバツ悪そうに応えた。


「じゃあ、早速……いただきます」


余程、お腹が空いていたのか、海斗は夢中で食べ始めた。


食べてる間は沈黙が続いていたけど、食べ終わると海斗は改めて私の方を向いた。


「ごちそうさま、美味かった」


絶対に聞けないと思ってた言葉に、胸がキュンとする。


「よかった~、じゃなくて……これから海斗はどうするの?」


「そうだな……このまま愛楓の所にいるしかないかな」


「えっ、で、でも、お腹も空くだろうし、夜だって…………」


つい、しどろもどろになりながら、言葉を繋ごうとする。


「夜?そうだな……愛楓と一緒に寝るのも悪くないかな」


「ね、ね、寝るってーーー!?」


いっきに顔が赤くなる私を海斗は、面白そうにからかう。


「はははーーー!!冗談だって、そんな顔するなよ。それとも、期待してたか」


瞳を覗かれて、茹でたこみたいに、余計に顔が真っ赤になる。


「べ、別に期待してないし!!」


そりゃあ、海斗がいたら腕枕してもらって寝るのが夢だった……じゃなくて、からかわれているのに、そんなこと思ってたなんてバカみたいだ。


「まー、冗談はさておき、俺もこのままここにいるわけにもいかないしな………とりあえず、ホテルでも借りるしかないかな」


「で、でも海斗、お金持ってないんじゃないの?」


「あ、それなら大丈夫だ。外で現金は使えた」


「使えたって………まさか、私がいない間、外に行ってたってこと!?」


「ああ、暇だったしな」


平然とした顔で言う海斗に、私は少し焦ってしまう。


もし、近所の人に見られたら、何て説明したらいいの!?


「じゃあ、さっそく明日からでもそうするわーーー」


海斗はあっけらかんとした顔で、私の髪をクシャッと撫でる。


「明日からって……部屋借りるのにいくらかかると思ってるの?」


「大丈夫大丈夫、半月分くらいならなんとか……と言いたいとこだけど、このままだとまずいから、こっちでも仕事を見つけないと所持金がもたなくなる。そうだな…とりあえず明後日からホテル住まいにすることにするよ」



とりあえず、今夜と明日の夜だけ海斗は私のベッドの隣に布団を敷いて寝ることに。


海斗の隣で寝るなんて夢みたいと思いながら、つい無防備に寝落ちしてしまった。




それから、何時間経っただろう……夜中にふと目が覚め、海斗が寝ている布団に視線を向けると、海斗の姿がなかった。


「海斗…………………?」


まさか、下に行ったんじゃ!?


そう思って、慌てて探しに行ったけど、海斗の姿はなかった。


まさか、こんな夜中に外に行ったとか?


夜中だし、捜しに行くのを躊躇してしまう。


待ってれば、そのうちかえってくるかな…………………。


部屋に戻ると、またベットに潜り込んだ。


海斗が帰るのを寝ないで待っていようと思ってたのに、いつの間にか深い眠りについてしまった。



「おーい、愛楓。学校に遅刻するぞ」


「ん…………………」


身体を揺すられ、ハッとしてベッドから起き上がった。


いつの間にか、外は明るくなっていて、部屋には海斗の姿がーーー。


「海斗、帰ってたんだ?夜中いなかったけど、何処に行ってたの?」


「何処って……元の世界に戻ってた」


「元の……世界って?まさか、本の中ってこと?」


少し寝ぼけた頭のまま、海斗に訊いてみた。


「ああ………最初は布団に入って寝てたけど、いつの間にか、向こうにいた」


「えっ…………………」


海斗の言葉に、いっきに眠気が冷める。


「向こうに帰ったのに、どうしてまたここにいるわけ?」


「それがさーー、おかしいんだよな……。気がついたら自分の部屋のベッドで寝てて、向こうは朝でマネージャーが迎えに来てそのまま仕事して家に帰ってベッドに入って寝てたら、この通りさ」


「……………………」


信じ難い状況に、言葉を失ってしまう。


「とにかく、もう少し様子をみることにするよ。完全に戻れる方法がわかるかもしれないしな」


海斗は、考え込むように腕組みをした。



次の日の夜中にも同じ現象が起きたものの、訳が分からないまま、海斗は今日からホテル住まいになり、私もテストが始まり海斗に逢える日は少なくなってしまった。





それから、何日か過ぎテストも終わって、ホッと一息着いたところで、学校が終わった帰り道、梨音とカフェに寄り道することに。


「やっと、テスト終わった~~~!!」


注文したジュースを飲みながら梨音は、ホッと胸を撫で下ろす。


「梨音、テストどうだった?」


「まぁ、まずまずってとこかな……愛楓はどうだった?」


「私も梨音と同じかな…………」


本当は海斗のことが気になって、テスト勉強に集中できなかったけど、やれる事だけはやったつもりだ。


「奏多も今日で、テスト終わりだったよね?」


思い出したように、梨音が呟く。


「うん、でも奏多の学校は進学校だからね……私たちと同じ高2でも受験勉強始まってるみたいだよ~~」


奏多の頭の良さ、少し分けて欲しい~~~!!


「私なんて、バイトしようと思ってるのに、奏多のマネはとてもできないわ」


「えっ、梨音バイトするの?」


「今は考え中なんだけど、叔母さんに事務所のバイト誘われたのよ」


確か、梨音の叔母さんは小さい芸能事務所を経営していた。でも、全然売れない錆びれた事務所だったはず。


「叔母さんの事務所って、暇そうだけど仕事とかあるの?」


前に一度だけ遊びに行ったことがあったけど、知らないタレントさんが暇そうにお茶を飲んでいたのを覚えている。


「雑用だけどね……叔母さんも売り込みに必死なのよ。叔母さんが売り込みに行っている間とか誰かいないと困るみたいで、私にバイトしないかって」


「そうなんだ」


これから、こうして梨音と何処か寄ったりするのも減るのかなーーー。


少し寂しく感じながら、週末を迎えるのだった。







































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