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Cafe Shelly

Cafe Shelly 男のクリスマス

作者: 日向ひなた

 今年もこの季節がやってきた。街にはクリスマスソング。イルミネーションもあざやかに、足早に行き交う人達も忙しさの中にも何かを期待しているような感じがする。

 私は街中にある、ブルーのライトに彩られた大きなクリスマスツリーのそばのベンチに腰掛け、その人達を観察していた。タバコを一本取り出す。灰皿を探すが近くには見当たらない。それどころか、タバコの絵に大きくバツがしてあるイラストが目に入る始末。

 ここもか。タバコが値上げをしてからというもの、世の中は禁煙ブームで私のような人種には生きづらくなってきた。

 ふぅっとため息をついて空を見上げる。そっか、私もいい歳になったもんだなぁ。この世に生を受けて四十六年とちょっと。気がつけば一人で過ごす時間のほうが長くなっていた。高校までは両親と暮らしていたが、大学に入ってからはずっと一人暮らし。途中、彼女と呼べる女性はいたが、それも長続きしない。そうして結婚適齢期というのを過ぎて、今ではしがない中年のサラリーマン。

もう女性にモテようなんてことは考えない。婚活も一時期はやってみたが、疲れるだけ。もう焦るのはやめよう、そう思ったら気が楽になった。そして今日に至るわけだ。

「さてと、そろそろいくか」

 今日は仕事の取引先のところへ足を向けたため、わずかではあるがここでこのような時間を過ごすことができた。そうでなければシステムエンジニアの私が、昼間の明るい時間に外を歩くなんてことはできない。通常、この時間は穴蔵と呼ばれる部屋で、ひたすらプログラムの作成をしているのだから。外に出なければ、こんなクリスマスの雰囲気など味わうこともできない。

 それにしても人ってこんなに多かったんだ。平日の昼間にもかかわらず、通りを行き交う人の波は果てることがない。これが休日だったら、もっと多いんだろうな。特にこのシーズンはお歳暮やクリスマスプレゼントといったものを買い求めるお客さんでごった返す。こんな人の波に揉まれるのはゴメンだ。やはり一人で時間を過ごしたほうがいいな。その考え方が、私から女性というものを遠ざけているのは十分承知しているのだが。

 おっと、そんな感傷に浸っている場合じゃない。

そろそろ行かないと。スクッと立ち上がったところで、正面のベンチに座っている女性が目に入った。なんだかオロオロしている。何かを一生懸命探しているようだが。バッグの中をみたり、ベンチの周りを見回したり。結構困っているようだな。

 そう思いながらもその場を立ち去ろうとする。が、なんとなくその女性が気になって仕方ない。えぇい、このままにしておくのもなんだなぁ。

「なにかお困りですか?」

 私は思い切ってその女性に声をかけてみた。すると女性は突然現れた私という男性に驚いたようだ。

「あ、いえ、だ、大丈夫です」

 まるで私をどこぞの変質者のような目で見る。そりゃそうだ、何の前触れもなくいきなり見知らぬ中年男性が声をかけてくるのだから。私は声を掛けるんじゃなかった、という後悔の念が出てきた。

 そのときである。いきなり女性の背中の方から音楽が鳴り出した。よく見ると、女性は首から下げていた携帯電話が背中の方に回っていた。その音に慌てたのはその女性。

「えっ、どこ、どこっ?」

 だが未だにその音がどこから鳴っているのかをつかめずにいたようだ。

「あのー、ここですけど」

 私は背中に回っていた携帯電話を手に取り、女性の目の前に差し出した。女性はあわてて私の手から携帯電話を奪い、そして会話を始めた。

 なんだ、携帯電話を探していたのか。それにしても、首から下げていたのが背中に回っていてそれに気づかないとは。それでオロオロしていたのか。なんかちょっと天然ボケの入った女性だな。

 あらためてこの子を見る。年齢は二十代後半ってところか。それなりのスーツに身をまとっているが、どことなく似合わない。スーツに着せられているって感じだ。新入社員とは違うが、どことなく初々しさを感じる。顔もそれなりにかわいいじゃない。まぁ、自分くらいの年齢になると若い子はみんな可愛く見えるものでもあるが。

 おっと、そんなこと考えている場合じゃない、そろそろ行かないと。そう思ってその場を去ろうとしたとき。

「あのー」

 電話が終わったのか、その子が私に声をかけてきた。

「はい?」

「あ、ありがとうございます。私ってドジだから、ついこんなことしちゃうんです。携帯電話もしょっちゅう無くすからと思って、首から下げるようにしていたのにそれでも無くしちゃうんですから」

 私に一生懸命にお礼を言いながら、自分のドジさ加減を説明してくれる。なんだか可愛げのある子だな。

「大丈夫ですよ。今回もちゃんとあったじゃないですか」

「そうなんですけど…ホント私ってダメですよね」

 自分のことをそうやって卑下するのは好きじゃない。かといって、自信満々なのも嫌だが。この子、なんか落ち込んでいるようだな。

「大丈夫ですよ」

 私は根拠のない慰めの言葉をかけてあげた。だがこれがこの子を刺激したようだ。

「大丈夫じゃないです。私、先月やっと就職できたんです。それまではいくら面接しても落ちちゃって。やっとこうやって仕事を始められたというのに、トラブルばかりで。私が悪いんじゃないのに、バスが遅れて約束の時間に間に合わなかったり。会社から渡された書類の中に大切なのが入っていなかったり。今も電話をかけなきゃいけないのに、その電話が見当たらなくなるし。はぁ、私ってどうしてこうなんだろう」

 やたらと自分の悪いところをアピールする。しかも見ず知らずの私に。そんな事言われても私も困る。が、どことなく放っておけない感じもする。

「君はどんな仕事をしているの?」

「はい、営業補佐っていうのやってます。営業マンが行ったところのフォローってことで、ほとんどはお使いみたいなことやってます」

「そうか、じゃぁ夜は遅くなることもあるのかな?」

「それはないです」

「それじゃ、今夜は時間空いてる?」

「はい」

「じゃ、今夜一緒に飲みに行かないか?」

 あれ、私は何を言っているんだ? どうしてこの子を飲みに誘おうと思ったのだ? 自分でもワケがわからない。どうせ振られるに決まっている。そう思ったのだが…

「えっ、いいんですか? ぜひご一緒させてください」

 この予想外の返事に私のほうが戸惑ってしまった。

「あ、じゃぁ夜七時にここで待ち合わせていいかな?」

「はい」

 どうしてこんなことになっちゃったのだろうか? 自分でも不思議な感覚だ。言っておくが、私は今まで見知らぬ女性をこうやって誘ったことなど一度もない。知った女性でも誘うなんてことはまずないのに。私の中の何がそうさせたのだろうか?

 その場はこれで別れた。そういえばあの子の名前すら聞いていないのに。でも、素朴でかわいい子だったな。この日、仕事が終わるまで私の心はウキウキしていた。

 そして七時。私はほぼ時間通りにあの大きなクリスマスツリーの下に到着。ここは街中でも目立つところだけあって、待ち合わせに使う人が多い。そのため、昼よりも人でごった返していた。私は期待半分、残りはひょっとしたらすっぽかされるのではという思いでここにやってきた。

 後から思ったのだが、せめて携帯番号くらい交換しておけばよかった。さて、来ているかな?

 人ごみの中をぐるりと見回す。すると、昼間出会ったあのベンチにちょこんと座っているじゃないか。

「あ、こんばんは!」

 彼女は昼間の不安げだった表情とは違い、ハツラツとした笑顔で私を迎えてくれた。

「来てくれたんだね」

 これが私の感想である。

「もちろんですよ。だって、こんな私を誘ってくれた人初めてなんですから。これって、ナンパですよね」

 男性に声をかけられ誘われたことがよほど嬉しかったのだろう。笑いながらそういう彼女は、可愛さが倍増して見える。とりあえず手近な居酒屋へ席を移す。

「そういえば自己紹介もしていなかったな。私は久島和彦。しがないシステムエンジニアをやっているよ」

「システムエンジニアっていうと、パソコンとかお得意なんですよね。ちょうどよかった、相談に乗って欲しいんですけど。あ、私の自己紹介をしないとね。私は霧島みらい。みらいってひらがなで書くんですよ」

 無邪気な笑顔を振りまきながら、彼女は明るく私にそう言う。そこから彼女のおしゃべりが堰を切ったように始まった。

 短大を卒業してから就職に困り、いろいろなバイトを経験してきた。だが、行く先々で失敗ばかり。それでもめげずに就職活動を行い、二十七歳にしてようやく今の会社に拾ってもらったらしい。

「いろいろ大変だったんだね。一つ聞いてもいいかな?」

「はい、なんでしょう?」

 私は今抱いている素朴な疑問をみらいにぶつけてみた。

「みらいちゃんはどうして今日、私の誘いに乗ってくれたの?」

「えっ、それはですね…」

 先程までのおしゃべりなみらいとは異なり、急にモジモジしだす。

「それは、久島さんが私に優しく接してくれたから。こんなふうに私にしてくれた人、初めてだったんです」

 おいおい、私は別にそんなつもりじゃなかったのに。ただ、みらいが困っているようだったから人として手助けをしてあげただけなのに。

「つかぬことを聞くけど、みらいちゃんは今まで彼氏は?」

 この質問に、無言でブンブンと首を横に大きく振るみらい。どうやら恋愛下手な、うぶな女の子のようだ。

「久島さんは…久島さんは奥さんいらっしゃるんでしょう?」

 小さくボソリとそう私に質問をするみらい。その表情はどことなく寂しげであった。

「いや、私はずっと独りだよ。おかげで今年もクリスマスは寂しく過ごすことになりそうだけどね」

 みらいの質問に笑ってそう答える。すると、未来の表情が突然明るくなった。

 おいおい、まさかこんなオレと? 正直、驚きである。思わず、手元のビールを飲み干してしまった。

 それからお互いの恋愛話に突入。みらいは短大の時に彼氏がいたらしいが、彼氏の就職が遠距離になって自然消滅。それ以来、男性と付き合ったことはないらしい。

「久島さんはどうして独身なんですか?」

 みらいのするどいツッコミ。

「どうしてと言われてもねぇ。私も一応婚活をしていた時期はあったんだけどね。どうもフィーリングが合わなくて。こんなふうに気軽に話せる相手というのにめぐり合わなかったからなぁ」

 私が何気に言ったこの一言が、みらいの心にさらに火をつけたらしい。

「ということは、私とはフィーリングが合うってことですよね。なんだかうれしいなぁ」

 みらいはちょっと恥ずかしそうにそう言う。そんな感じでみらいとお酒を酌み交わす。もう夜も遅い時間。立ち上がるとみらいはフラフラ。一人では放っておけないのでみらいを抱き抱えると、みらいは私の腕に抱きついてきた。そのしぐさがあまりにもかわいくて、ついみらいを見つめる。みらいも私を見つめてくれる。そして、繁華街の路上にもかかわらず私は思わずみらいにキス。みらいもそれを受け入れてくれた。

 さて、これからどうする? 一瞬悩んだが、それはいけないと理性を強め、私はみらいをタクシーに乗せて自宅まで送ることにした。

 その日以降、私の頭の中は大きく変化した。今までは仕事のことばかり。しかし、今はみらいのことで頭がいっぱい。まさか、この歳になって女性に、しかも私より二十歳も年下の子に夢中になるとは。あの日、あのままホテルにでも連れて行って、一夜限りで終わっておけばよかったのかもしれない。

 私の頭をみらいが占めてしまったのにはもう一つ理由がある。

「あ、きた」

 みらいからのメールである。あれ以来、みらいは事あるごとに私にメールをしてくるようになった。といっても、女子高生ほど頻繁ではない。朝と昼、そして夜と寝る前。だいたいこの四回はメールをしてくる。内容はたわいもないことだったり、簡単なあいさつだったり。私もそれに応えるように返事を返す。最初はこんなやりとり、鬱陶しいものだとばかり思っていた。が、今ではみらいからのメールを待つようになる自分がいる。 みらいはどんな気持ちで私にメールを送ってくるのだろう。

 あのとき、みらいと一度キスはした。けれど、だからといって恋愛をしているというわけでもない。みらいのことは好きだと思っている。でも、何かが心にひっかかる。これはなんだろう?

「はぁ…」

「久島さん、ため息ですか?」

 声をかけてきたのは、仕事でパートナーを組んでいる飯山くん。彼は私より十歳年下ではあるが、公私共に仲良くさせてもらっている。彼の悩みを私が聞くことのほうが多いが、今回はどうやら立場逆転。あえてみらいのことを秘密にしておく必要もないと思い、飯山くんにこのことを話してみた。

「なるほどねぇ。しかしビックリだな」

「え、何がだよ?」

「いやぁ、久島さんにもようやく春が来たかなって。正直なところ、また今年も久島さん独りでクリスマスを過ごすのかって不安だったんですよ。ボクは一応彼女いるし」

 飯山くんに彼女がいることはよく知っている。そういえば飯山くんの彼女はみらいと歳が近かったな。

「なぁ、飯山くん。あのくらいの年頃の女性が喜ぶものってなんだろう?」

「あ、やっぱクリスマスプレゼント買ってあげるんですか? さすが久島さんだなぁ」

「いやいや、まだそんな関係じゃないんだけど」

「もう十分そんな関係ですって。久島さん、久々の女性だから臆病になってませんか?」

 臆病。たしかにそうかも知れない。

 あの日の夜、みらいをホテルに誘わなかったのも本音を言うと臆病になっていたからだろう。嫌われたくない、その思いが強かった気がする。

「なぁ、飯山くん。私はこういった恋愛ごとから遠ざかってずいぶん経つんだ。しかも相手は私よりかなり若い女の子だ。どうしたらいいと思う?」

「どうしたらって、そりゃ久島さんのやりたいようにやるしかないと思いますけどね…でも久島さんの気持ちもわからなくはないですよ。若い子だからって、みんな同じ考えを持っているわけじゃないしなぁ。それ以前に、久島さんがどうしたいのか、そこが問題じゃないですか?」

「どうしたい、か…」

 私がどうしたいのか。正直わからない。そりゃ、みらいのような若い女の子に言い寄られて悪い気はしない。が、本当にみらいを彼女にしたいのだろうか。ただ若い子に言い寄られて舞い上がっているだけなのかもしれないし。

 それにもうすぐクリスマス。長年独りでこの時期を過ごしてきた自分にとって、どのような過ごし方をすればいいのか、未だにわからない。

「あ、そうだ。ボクの彼女から面白い話を聞いたんですけど。なんでも、今の自分の気持がわかるコーヒーがあるとか。今度、それを飲ませてもらえる喫茶店に行こうと思っているんですよ。久島さんもそのコーヒーを飲めば、今の自分がどうしたいのかがはっきりするんじゃないですか?」

 自分がどうしたいのか。正直今わかっていない。みらいのことが好きなのか。単にクリスマスを一人で過ごしたくないから、ちょうど現れた相手をゲットしたいと思っているだけなのか。みらいが積極的に私にメールしてくるから、それに付き合っているだけなのか。まずは自分の今の気持ちを整理しないと。

「そうだな、その喫茶店紹介してくれないか?」

「いいっすよ」

 そうして教えられたのがカフェ・シェリー。土曜日、私はそのお店の前に立っていた。

 お店に入ろうとしたとき、みらいからメール。

「明日、お昼ごはん一緒にどうですか?」

 その誘いにのるかどうか、まずは自分の気持を確かめてからにしよう。

 返事を保留したまま、私はカフェ・シェリーの扉を開いた。

カラン、コロン、カラン

 心地良いカウベルの音が響く。

「いらっしゃいませ」

 同時に聞こえる若い女性の声。コーヒーの香りと甘いクッキーの香りがいい感じでブレンドされて私の脳を刺激する。

 お店はとても小さい。窓際に四席、店の真ん中に三席、そしてカウンターに四席。私は一人なのでカウンターに座ることに。

「いらっしゃいませ」

 目の前にはにこやかにカップを磨く店のマスターがいる。初めてなのに落ち着く店だな。

「あの、ここに今の自分の気持がわかるコーヒーがあると聞いてきたんですけど」

 私はマスターに正直に自分の目的を伝えてみた。

「シェリー・ブレンドですね。かしこまりました。お客様、失礼ですが今何か悩み事をお持ちですか?」

 悩み事といえばそうなるのか。本来なら見ず知らずの第三者に話すべきことではないのかもしれないが。この店とマスターの雰囲気がそうさせたのだろう。私はつい今の自分の心境を話したくなった。

「聞いてもらっていいですか? 実は、ふとしたきっかけで二十歳も年齢の違う女性と知り合いまして。ちゃんと付き合っているというわけではないのですが、毎日彼女からはメールがきています。

正直、自分の気持がわからないんです。クリスマスをひとりで過ごすよりは、彼女と一緒のほうがいい。けれど、この歳になるまでずっと一人だったので、臆病になっている気がして。それ以前に、私は本当に彼女のことを思っているのだろうか。言い寄られているから、舞い上がっているだけじゃないか。そんな風に考えるんですよ」

 言葉が口から勝手に出てくる。マスターは私の言葉をうなずきながら聞いてくれる。

「それで自分の気持を知りたい、ということなのですね」

「えぇ、恥ずかしながら」

 この歳になって恋愛だなんて、ちょっと恥ずかしい気もする。が、マスターから出てきた言葉は意外なものであった。

「実は私も同じ思いを経験したことがあるんですよ。今お客さんと話しをしている店員がいるでしょう」

 私は後を振り向いてその女性店員を確認した。なかなかきれいで若い女性だ。

「あれ、私の妻なんです」

 この言葉には驚いた。

「実は二十も歳の差がありましてね。私が高校の教員をやっているときの教え子なんですよ。最初は教え子の一人としてでしかなかったんですけど。ちょっとしたきっかけでいろいろと行動を共にするようになって。気がついたらこんな形になっていました」

 コーヒーを入れながら、少し恥ずかしげに話すマスター。

「その当時、やはり私も思いました。本当に彼女のことを好きだと思っているのか、それとも四十を過ぎた男が若い女性に舞い上がっているだけなのかって」

「それでどうしたんですか?」

 同じような思いをしていた人がいたなんて。私はマスターの話に引き込まれていった。

「確か妻が大学一年のクリスマスの時だったかな。

一大決心をしたんです。あ、お待たせしました。こちらがシェリー・ブレンドです」

 カウンター越しにコーヒーを渡してくれるマスター。私は今はコーヒーよりもマスターの話の続きに興味がある。目線をマスターに向け、次の言葉を待つ。このとき、何気なく私は差し出されたコーヒー、シェリー・ブレンドに口をつけた。

 その瞬間、私の口の中でジングルベルが鳴り響いた。と同時に、みらいとキスをした光景が思い出された。いや、正確に言えば思い出したのではなく創りだされた、が正しい。あのときの軽いキスとは違う、深くて愛情のある大人のキス。暗闇の中、クリスマスイルミネーションが遠くに輝き、私はみらいを抱きしめている。だんだんと自分の中でその映像がリアルに見えてきた。

「どんなお味がしましたか?」

 マスターの声でハッと我に返った。

「あ、今のは…」

 何だったんだ、今のは?

「どうやらシェリー・ブレンドの魔法にかかったようですね。このコーヒーはその人が今望んでいるものの味がするんですよ。人によってはそれが映像で見えてくるようです」

 ということは、あのクリスマスの光景が私が望んでいるものだというのか。確かに、男としてああいったロマンチックなシチュエーションを女性と過ごすのは一つの願望である。長年独り身だったからな。

「ということは、今私がこのコーヒーを飲んで感じたことが、自分の望んでいるもの、つまり自分の本心だということなのですか?」

私の言葉にマスターはにこやかな顔で首を立てに振った。

「でも…でも、それは自分の欲望じゃないんだろうか。今まで女性というものから遠ざかっていた、私の欲望…」

 まだ不安は残る。

「私もそう思っていました」

 そういえばマスターの話の途中だったのを思い出した。

「その話、もう少し詳しく聞かせてください」

「ちょっと照れますけどね。私が言うのもなんなのですが、妻のマイは結構美人でしょ」

 確かにその通りだ。みらいはどちらかというと素朴でかわいいって女性だが、マスターの奥さんは美人タイプ。といっても、美人特有のツンとした感じはなく、むしろ親しみを感じる。

「そして自分よりも二十歳も違うんです。そんな女性がそばにいるだなんて、男なら舞い上がってしまいます。だからクリスマスの時に自分の気持を確認するためにも一大決心をしたんです」

「どんな決心だったのですか? まさか、プロポーズとか?」

「いえ、さすがにそれは早すぎます。その逆です。

私と別れてくれ、と言ったんです」

「えっ!? それ、どういうことなんですか?」

 別れてくれ、それを彼女に伝えるって。マスターは一体どんな意味でそれを口にしたのだろうか?

「マイ、ちょっと来てくれ」

 マスターは奥さんを呼び寄せた。

「あらためて紹介します。妻のマイです。マイ、大学一年のクリスマスの時を覚えているか?」

「覚えているも何も、突然あんな事言われたんだから。もうショックだったわよ」

 奥さんのマイさんは笑いながらそのときのことを話しだした。

「マスター、イルミネーションの輝く公園に連れてきたと思ったら、いきなり別れてくれって言うんですよ。どう思います?」

「そりゃ、びっくりしたでしょうね」

「そうでしょ。でもその意味を知って納得はしましたけど」

「その意味って?」

 マイさんは一度マスターの顔を見る。すると急に恥ずかしげな表情を見せた。その続きはマスターの口から飛び出した。

「まずはマイの反応を見たんです。私と本気でつきあっていくつもりがあるのか。ただ惰性で一緒にいるのではないか。もしあのとき、マイがわかったと言ってあっさり別れたら、私の気持ちはすぐに萎えたでしょう」

「じゃぁ、マイさんはどんな返事をしたのですか?」

「どうしてって聞き返しましたよ。急にそんなこと言い出したんですから」

 マイさんはマスター、に対して少し怒ったような顔つきでそう言った。するとマスターはすかさずこう答えた。

「これなんです。今のその顔。これを見て安心したんです。それと同時に、私自身の気持ちが確認できました」

 どういう事だ? マスターの話はさらに続く。

「マイが不満そうな顔をしたということは、私に対して別れるつもりがないってことです。そして、その顔を見て私は不安な気持ちになりました。これで別れてしまったら、自分も嫌だ。もっと本気で愛していきたい。その感情が自分の中で感じられたのです。だから私はマイを思いっきり抱きしめました」

 照れながらもさらりとそういうマスター。

 私はそのときの光景が頭に浮かんだ。とともに、マスターとマイさんが私とみらいに置き換わっていた。私はみらいへの気持ちが本心なのか、まだわからない。けれど、置き換わっていた自分を想像すると、なんとなくしっくりくる。

「私もそうしたほうがいいのでしょうか?」

 みらいに別れよう、なんてことを言えるだろうか?

「マスターと同じ方法はやめておいたほうがいいですよ。普通なら別れちゃうかもしれませんから。

それより素直に自分の気持を伝えてくれたほうがうれしいな」

 素直に自分の気持を…その自分の気持がまだはっきりと解らない。それを察してくれたのか、マスターが私に一言。

「もう一度、シェリー・ブレンドを飲んでみてください。きっとはっきりしますよ」

 私はコクリとうなずいて、目の前にある黒いものをノドに流し込むことにした。

 カップに唇を付ける。この瞬間、みらいとのキスを思い出した。高鳴る期待と、そして守ってあげたいという気持ち。

 さらにコーヒーを口に入れる。舌の上で再びジングルベルが鳴り響く。だがそれは決して派手なものではない。むしろ静かに心に染み入る感じ。安心、といったほうがいいだろうか。

 そうか、安心か。私は心のなかでそれを求め、さらにそれを与えたいと思っているんだ。あぶなっかしいみらいを守ってあげたいという気持ち。みらいに安心して毎日を暮らしてもらいたい。それが私の気持ちなんだ。こういうのを愛情というのかな。長いこと忘れていた感覚だ。

 私はゆっくりと目を開く。そしてマスターにこうささやいた。

「わかりました、私の気持ちが」

「どうでしたか?」

「彼女に、みらいに安心を与えたい、守ってあげたい。それが私の今の気持ちです」

 言葉にすると、さらにその気持ちが高まっていく。

「もう答えは出ましたね。さて、これからどうしますか?」

「みらいに会いに行きます。そして自分の気持を伝えてみます。こんなおじさんでもいいのか、そこは不安ですが。でも、この気持ちを伝えることが今の私に必要なことだと感じました」

 自然と言葉が出てくる。それが私の今の本音なのだろう。すると、マイさんがこんなアドバイスをしてくれた。

「若い女の子って、クリスマスには特別な思いがあるんですよ。どうせなら、クリスマスイブの夜にデートの誘うのはどうですか?」

 クリスマスイブの夜、か。女性と過ごそうだなんて何年ぶりだろう。だが、ここはマイさんの言うとおりだな。

 私は携帯電話を取り出し、みらいにメールを送った。

「クリスマスイブの夜は一緒に過ごさないか?」

 その返事は間髪を入れずに帰ってきた。

「もちろん、喜んで」

 ハートマークの絵文字付きだ。

「これで決まりですね」

 マスターは私の表情を見て、微笑みながらそう言ってくれた。だが、まだ不安はある。

「やはり、何かプレゼントを買っていくべきでしょうかね? こんなの、久しぶりだからどうしていいのかわからなくて」

「高価なものじゃなくていいんですよ。そこに気持ちがあれば、それで十分です」

 マイさんはさらりとそう言うが、やはり男としての見栄もある。だがマイさんはもう一言私に付け加えてくれた。

「あまり高価なものをもらっちゃうと、申し訳なさが先になってしまうんですよね。この人にこれだけのものをもらったから、なにかお返しをしなきゃって。でも、マスターがくれたものはたわいのないものばかりだったよね。だから気軽に付き合えたんです」

「おいおい、あれでも結構悩んだんだぞ」

 マスターのツッコミに私が反応した。

「マスター、最初はどんなものをプレゼントしたんですか?」

「えっと、なんだったかなぁ」

 さすがに覚えてはいないか。

「あ、忘れてる~っ。まったく、いつも目にしてるのにね」

 マイさんが今度はマスターにツッコミを入れる。マスター、その言葉で思い出したようだ。

「そうだそうだ。これです、これ」

 マスターが指さしたのはマイさんの胸元。そこにはキラリと光る小さなペンダントがあった。

「私も女性へのアクセサリーのプレゼントなんて久しぶりでしたから。とにかく可愛らしくて女性らしいのがいいと思って。でも、正直なところそんなに高いものじゃないんです。ただ、真ん中のは天然石、いわゆるパワーストーンっていうものです」

 なるほど。そういうのだったら女の子は興味をもちそうだな。

「マスター、マイさん、ありがとうございます。

あとはロマンチックな場所だなぁ」

「だったら市民の森公園で決まりですよ。あそこのイルミネーションはご存知でしょう?」

 確かに、市民の森公園のイルミネーションは有名だ。けれど、クリスマスイブの日だと人が多くて、ちょっと雰囲気に合わない。私がちょっと渋った顔をしたのを、マイさんが見逃さなかった。

「マスターもまだまだだなぁ。二人っきりになれるところがいいに決まってるでしょ。市民の森公園だったら人が多すぎるもんね。私ね、ちょっといいスポットを知っているわ。市民の森公園の近くに、森の詩って小さな喫茶店があるの。そこから市民の森公園のイルミネーションが見えるのよ」

「あ、あそこだったらいいね。二階から見下ろす形でイルミネーションが見えるはずだ。あそこのマスターなら友達ですから、だいたいの時間を言っておけば予約もできるんじゃないかな。あの店は穴場ですよ」

 なるほど、いい情報を得た。そのとき私の頭の中では、みらいと一緒に喫茶店で過ごす一場面が展開されていた。

「それにしても、クリスマスって男は演出に苦労しますね」

 みらいとのシーンをイメージしながらも、つい本音がポロリ。だがマスターはまた笑いながらこう言った。

「その苦労が幸せっていうものなんでしょうね。私もマイと出会うまでの数年間は一人でしたから。何も無いというのは楽ではありますが、今思えばつまらかったですね」

「そうよ、だから今年もいーっぱい苦労してね」

 マイさんはちょっと意地悪そうにマスターをつついた。でも、その光景が誰の目から見ても幸せを感じさせるものであるのは間違いなかった。私もそうなれるだろうか。不安を抱えつつも、カフェ・シェリーで見つけた私なりの幸せの道に思い切って踏み出してみることにした。


 そうして迎えたクリスマスイブ。一昨日までは冬とは思えない暖かさだったのだが、昨日から急に寒波が訪れて寒さを感じるようになった。

 待ち合わせの、最初にみらいと出会った大きなクリスマスツリーの下で、私は寒さを堪えながらみらいの訪れを待った。街を行き交う人の表情は、心なしかいつもよりも明るく見える。やはり今日がクリスマスイブだからだろうか。それとも、私の気持ちがそうだからだろうか。気がつくと期待をしている自分がいることに気づいた。この気持、何年ぶりだろう。

「久島さん、お待たせしました」

 みらいの登場。その姿は以前会ったときのスーツ姿ではない。今どきの女の子らしい、しかしどことなくホンワカとした感じの格好。本人はバッチリキメたつもりなのかもしれないが、どことなくあか抜けない田舎娘を感じさせる。私としてはその方が安心できていいのだが。

「今日はちょっといいところに連れていってあげよう」

「わぁ、楽しみ」

 そう言って私の腕にしがみついてくるみらい。それがとても可愛らしく感じる。

 マスターから紹介してくれた喫茶店、森の詩に到着。カフェ・シェリーも小さな喫茶店だったが、ここも同じくらい小さい。窓際の特等席は二テーブルしかない。そのうちの一つに「予約席」と札が置いてある。

「いらっしゃい。カフェ・シェリーのマスターから聞いていますよ。さぁ、どうぞ」

 案内してくれたのは初老の男性。この喫茶店のマスターらしい。やはりここは穴場らしく、私たち以外にもう一組お客さんがいるだけ。

「わぁ、ステキ!」

 みらいは席に着くなり、窓から見えるイルミネーションに感激している。その無邪気な姿がまたかわいらしい。

「みらい、聞いてほしいことがあるんだけど」

 私は早速自分の胸の内を話そうとした。

「だめ、今はまだダメ」

 みらいは私の言葉にストップをかけた。どういうことだろう?

「久島さんの話の前に、私の話を聞いてもらえますか?」

 私はだまって首を立てに振った。

「私、久島さんをどう思っているんだろうって自分で考えちゃったんです」

 ドキッとする言葉だ。もしかしたら、みらいは私との関係に距離をおこうというのだろうか。なにか言いたくても言葉は出てこない。私は黙ってみらいの話の続きに耳を傾けた。

「それで、自分自身の心にいろいろ問いかけたんです。でも、なかなか答えが出てこなくて。そんなとき、ある人からアドバイスを貰いました。取引先の文具屋さんから、おもしろい喫茶店があるって聞いて。そこのコーヒーを飲めば、今の自分の気持ちがわかるよって」

えっ、それってもしかして…

「それで、そこに行ったんです。そしてそのお店の店員さんと話をしてたら、私の正直な気持ちがわかりました」

 みらいはここであらためて私の目をじっと見つめる。みらいの瞳の中に私の姿が映る。

 緊張。これから出てくるみらいの言葉で、私のこの先が決まる。

「私、わたし…」

 目を伏せるみらい。そして、もう一度見せた瞳には輝くものが。それはどちらの意味なのか?

 それはほんの数秒のことなのだろう。が、私にとってはとても長く感じた。

「久島さんが好きです」

 その言葉が私の心の氷を一気に溶かしてくれた。みらいは恥ずかしそうにまた目を伏せた。そんなみらいがとてもいじらしく見える。

 私はポケットからペンダントを取り出し、そっとみらいに手を伸ばし、それをつけてあげた。

「えっ、えっ」

 驚くみらい。

「これが私からの答えだ。みらい、私も自分の気持に正直に生きることにした。君を大事にしたい。それはその証だ」

 みらいは首から下がったペンダントを触って、その感触を確認している。

「私みたいな田舎っぽい、ドジな女でもいいの?」

「私みたいな歳をとった、不器用なおじさんでもいいの?」

 お互いの言葉に目を合わせ、そしてお互いに笑みがこぼれた。そして、テーブル越しにゆっくりと顔を近づける。みらいが目をつぶる。私はその気持ちに応えるように、唇で唇にふれる。そしてまた目を合わせる。お互いに照れ笑い。

「こんなところで、私ったらもうっ」

 みらいは舌をペロッと出して、はにかんでみせた。

 クリスマスは人の心を弾ませてくれる。それと同時に、本当の気持に気づかせてくれる。今のこの気持、大事にしなければ。

 こうして私とみらい、二人の物語が始まった。それにしても、みらいもカフェ・シェリーに行っていたとはビックリだ。しばらくはあの喫茶店の話で盛り上がったが、二人でそろってお礼に行こうということになった。歳の差カップルの先輩として、いろいろとアドバイスを受けたいと思っているし。

 しかし、私はなぜみらいに心を惹かれてしまったのだろうか? そこが未だに謎である。とびっきり美人というわけでもない。優しさはあるが気が利いているというほどでもない。どちらかといえばおっちょこちょいで、面倒を見てあげないといけないという感じが強い。そんな面倒な女はゴメンだ、と言っていたこともあったのに。

 その謎は、カフェ・シェリーで明らかになった。

「こんにちはー」

「あら、いらっしゃい。ほら、やっぱりこの二人だった」

 出迎えてくれたマイさんの第一声。

「やっぱりって?」

「この前、お二人が別々に同じような悩みでお店にいらしたでしょう。ひょっとしたらそうじゃないかなって、マスターと話してたんです」

「私もびっくりでした。久島さんが同じ悩みでこのお店に来ていただなんて。それで二人でお礼に行こうって思ったんですよ」

 お店は一気に賑やかになった。それからマスターも囲んで四人でいろいろな話をした。特に興味深かったのは、マスターが年下のマイさんをどのようにエスコートしていったのか。それについてはこんなアドバイスをもらった。

「自分が引っ張っていこうと思っちゃだめですよ。私たちの年代の感覚とは違うんですから。こちらが寄り添ったほうがうまくいきますよ」

 そんなもんなのかな? みらいの感覚に引っ張られると危なっかしい気もするが。今度はみらいがマイさんに質問をした。

「私はなかなか自分の意志で決められないんですよね。いつも迷っちゃう。だから今回も久島さんに寄り添っていいのか、なかなか決めきれなくて。どうしたらいいと思います?」

その質問に対してのマイさんの答えは明確だった。

「大丈夫よ。今の自分の気持に素直になってみて。どうしても迷ったときには、またシェリー・ブレンドを飲みに来てね」

「はい、ありがとうございます」

 みらいの顔がパッと輝いた。そのとき気づいた。そうか、私はみらいのこんな喜ぶ顔が見たかったんだ。みらいの喜ぶ顔を見ることで、私も喜べるんだ。

 このとき、マスターが私にそっと耳打ちをした。

「ね、彼女のこういった顔を見るのが一番幸せを感じるでしょう」

 マスターの言うとおりだ。さらにマスターは私にささやく。

「男の喜びって、やはり女性をどれだけ喜ばせるかってところにあると思いませんか?」

 私はその言葉に納得。今度は私がマスターにささやいた。

「それが私たち男の役目であり、楽しみでもあるんですね」

 二人で納得。

「ねぇ、何二人でこそこそ話しているの? 何かよからぬ相談でもしているんでしょ」

マイさんが意地悪っぽく私たちにツッコミを入れる。

「ははは、男には男の喜びがあるって話だよ。ね、そうでしょ」

「はい、マスター」

 店の中は笑いで包まれた。

 これからの人生をみらいと一緒に歩んでいこうという気持ちが高まっていく。この先みらいの喜ぶ顔を見て暮らしていく日が必ずやってくる。その日を夢見て、私はみらいの頭をそっとなでた。みらいはにこやかに私の気持ちを受け止めてくれた。

 男のクリスマス。それはいかにして私たちがサンタになれるか。サンタになれたときには、相手だけではなく自分も嬉しくなれる。今の私みたいに。

 マスターの入れてくれたシェリー・ブレンドを飲んで、しみじみとそのことを実感できた。

「幸せになろうな」

「うん」

 冬のやわらかな日差しが、そんな私たちを祝福してくれていた。


<男のクリスマス 完>

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