夜の砂漠
夜の砂漠の夢の中 一人ぽつんと立っている
風に舞った砂塵を吸い込んでしまい 咳き込む
どこに行けばいいのだろうか
見渡す限り黒々とした砂漠
茫洋
裸の足に砂が食い込む
骨身にしみる寒さに耐えているうちに
なんと臓物が次々と零れ落ちていく
体から離れた臓器は当然のようにどろりと腐っていき
ああ この体も時待たず腐り果てるのだと気がついた
心臓だけがひとつ残って 崩れゆく意識をいまだに生かす
身体が熱を発している
夜の砂漠の夢のあと 私の五体が不満をがなる
眼をつぶってみたところでもう何も見えなく
何か とにかく何か
触れようと伸ばした手は何一つつかめない
そのまま引っ込めた掌の中 闇を覗き込む