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帝国の進撃  作者: 芥流水
激戦編
45/49

第四五話 東太平洋大海戦九 前進

祝一〇万字突破。

多けりゃ良いってものじゃないけど。

まだまだゴールまで遠いぜ

「成程。さて、ナグモの機動部隊は私達を見つけることができるかな」

 キンケイド中将はTF16-1の空母が二隻とも沈んだという報告を聞き、そう発言した。

 問題は第三艦隊がTF16-2の存在に気付いているか否かであった。

「流石にジャップ共といえども、馬鹿ではないでしょう。こちらが放った攻撃隊が、空母二隻ではとうてい繰り出せる数ではないことは分かっているでしょう」

 参謀長はそう答えて、懐から取り出した懐中時計を一瞥すると、更に続けた。

「TF16-1が攻撃を受けた後に索敵機を出したとするなら、もうまもなく来るはずですが」

「見えない敵を相手にするのは、思ったよりも厄介だな。こちらの情報収集手段はこうなってはサンディエゴ基地のみだ。私達だけではどうしようもない」

「はい。それで、爆撃機と雷撃機の武装はどうしますか?」

「……そうだな。ナグモがこちらの存在に気付かない可能性も考えて、準備はさせておく。しかし、ナグモが我々に気付いているなら、攻撃隊を放つ余裕は無い。戦闘機は全て防衛に使わなければならないからな。それと、爆撃機を三機ほどナグモのいる方へ一定距離の索敵を実施してくれ。レーダーに見落としがあってはいけない」

 キンケイド中将はそれらの命令を艦長等に伝え、漸く人心地付いた。

 しかし、直ぐに気を入れ直さなければ行けなかった。

「さて、勝負はここからだ。ナグモ」


「敵空母二隻を含む艦隊を発見」

 その報告が第三艦隊の元に飛び込んできたのは、一〇時三〇分を少し回った殺であった。

 方位は先程の艦隊と同じ。距離は三〇〇浬ほど有った。

 草鹿少将の予想が的中した格好となる。

 南雲中将は即座に攻撃隊の発進を命令。第三波攻撃隊が空に飛び立って行った。

 艦戦二七機

 艦爆三二機

 艦攻二三機

 である。

 第一波攻撃隊も、対空砲火や敵戦闘機との戦闘の結果、落とされた機体や使用不能となった機体がそれぞれ二割強にも及んでいる。特に低空飛行を行った艦攻において、それは顕著であった。

 とは言え、それでも無事に攻撃を行える機体は計八〇機を上回っている。空母二隻には十分な戦力であった。

 この内、艦爆には対艦爆弾、艦攻には航空魚雷が装備されている。


「来たか・・・・・」

 キンケイド中将は北の方角を見やり、そう呟いた。

 交戦に入るとの電信が入ったものの、戦闘そのものは見えない。どうやら水平線より向こうで、戦闘は行われているらしい。予め北方へ戦闘機隊を展開させていたことが吉と出たようだ。敵戦闘機が出現した方向へ迅速に駆けつけることができた。

 キンケイド中将ら司令部の人間が出来る事は、ここまでであった。後は、パイロットと艦長ら艦のスタッフの仕事である。

 キンケイド中将自身は空母が無事に済むとは考えていない。二隻の内一隻でも沈まなければ、良い方である。しかし、それでも構わない。

 狙いは帝国海軍に少しでも出血を強いることであった。

 パナマ運河復旧までの時間稼ぎができれば、戦略的勝利である。それに対して尤も効率的な手段はパイロットの殺害である。

 ここは西海岸から僅か三〇〇浬ほどしか離れていない。米軍機パイロットは例え撃墜されても脱出さえできれば救助は可能である。しかし、帝国海軍側はそういう訳にはいかない。ここは彼らにとって敵地なのだ。例えこの海戦に勝利したとしても、それは覆らない。それでも直掩隊パイロットなどの救助は可能かもしれないが、攻撃隊はそうはいかない。撃墜されれば、死。良くて捕虜である。


 キンケイド中将の思惑に関係なく、日本軍機は米軍機と激闘を繰り広げながらも前進。艦隊上空にさしかかろうとしていた。


 この時迎撃に出たワイルドキャットは三二機。零戦より数で勝っていた。この中には三艦隊への攻撃に加わった機体も含まれており、正しくTF16-2の全力であった。

 この時も攻撃隊は低空を飛んでいたので、ワイルドキャットの奇襲に対する防御は不完全な物となった。しかし、ワイルドキャットも海面に激突することを避けるために、一撃離脱の形は不完全な物となり、攻撃隊の上空で、引き起こしをかけなければ行けなかった。その為、この時の命中率は悪く、三機が撃墜されただけに止まった。

 敵機が引き起こしをかけるタイミングで、いち早く反応した零戦が食らいつき、機銃を放つ。

 これにより、ワイルドキャットは二機を失うこととなり、零戦隊は何とか一矢を報いたのであった。

 その後、他の零戦も次々と高度を上げる。彼らはワイルドキャットを空戦に巻き上げ、攻撃隊から引き離そうとしたのであった。それは成功したものの、彼らには誤算が一つあった。

 この時、TF16-2の南方を直掩していたワイルドキャット四機が押っ取り刀で駆けつけたのである。

 この機体に対して、零戦隊は対処がやや遅れた。その間にワイルドキャット四機は同数の艦攻を撃墜していたのだった。


 この時ワイルドキャットは新たな戦法を身につけていた。サッチウィーブ戦法と名付けられたその戦法は、二機の戦闘機が互いにクロスするように8の字軌道を描くものである。これによって、一機の艇を二機で追い詰めることが可能となるのである。

 しかし、零戦隊も強者揃い、中々落とされる物は現れなかったが、同時に中々反撃に出られず、空戦の主導権を握れずにいた。両者はこうして、もつれ合いながら、米艦隊の上空にさしかかった

次の次ぐらいで終わりそうかな?

まあ、当てにはしないでいただきたい。

次回東太平洋大海戦一〇。二桁の大台でっせ。お兄さん。

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