表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸福は金で買える  作者: いんふぁーむ
1/14

第一話 サクセスプロジェクトー成功屋ー

そんな適当な、適当であり適当な触れ込みから、この物語は幕を開ける。

その開けた幕の奥にいたのは、これから語られる物語の中心となる人物、"サク"。


物語の中心となる人物が必ずしも主人公であるわけではないが、この場合はその例に値する。

つまりサクは主人公。

主人公であり男。男であり15歳の少年。15歳でありその頭脳は秀才と称されるほどの秀才だ。

どれくらい秀才かというと15歳で31歳のクソをつけてもいいくらいのニートに秀才と言われるくらいの秀才だ。"クソ"というとこれを読んでるニートの皆さんに失礼だな。

"ゴミ"程度にしておこう。まあ某漫画家のような腰が痛くてニートしているしょうがないパターンもいるわけで、しかしその場合はニートという言葉の発祥であるヨーロッパの定義からいうと"ひきこもり"であり、つまり仕方なく仕事をしてない人たちに向けてそんなことは言ってないのであしからず。

また、働くのが嫌だ、という素晴らしい思想を持った人たちに向けてもいっていない。その人たちはちゃんと思想を持っているためブラック企業の下で働く社畜のみなさんよりは優れた思想を持っているからだ。

ブラック企業に殺される(心身いろんな意味で"殺される")よりは辞めたほうがいいのが実際の普通の考え方なのだから。その31歳のクソニートの話はまた後々語ることにしよう。


ちなみにサクの働く、というかサクの起業した"合同会社サクセスプロジェクト"、別名成功屋に関してはブラックといえばブラックだしブラックじゃないといえばブラックじゃない、そんな会社である。

強引な繋げ方だなと思う人もいるかもしれないが、この話をしたくて前振りとしてニートの話を持ってきたんだ。強引と思うなら文章力の問題であり、内容的には別に強引じゃないはずだ。


『ブラックといえばブラックだしブラックじゃないといえばブラックじゃない』

そんな矛盾したことが成り立つのかと思うかもしれないが、普通に成り立つ。

この会社においては。


ちなみに設立者である私から見ると、全然ブラックじゃない。やらせている業務は簡単なものだし、残業代もちゃんと払っているし、残業を強制することもしていない。


ただその会社内の状況を知らない人たちから見ると、その主張は通らない。


どうやらその主張が通らない理由の根底にある理由は、『基本給は払わない』という日本のよくある企業の給料制とは違う制度を取っているからだろう。

要するに完全歩合制だ。


そのことを理解しない人たちが私たちの企業を嫌うため、その風潮も広がりサクセスプロジェクトに敵は多い。



そんな敵の多い会社のビルのドアを叩くものがいた。

インターホンがあるのに押してないらしい、おそらく相当アホなんだろう。


「ラーメンフェスで優勝させてくれ!!」


従業員の一人が案内してくれた、あごひげのすごい男は開口一番こう怒鳴った。

あごひげがすごいというのは、毛の質がすごいという意味で、生やしていることはなにもすごいわけじゃない。例えるなら、ハリーポッターに出てくるあのめっちゃヒゲが長い人のヒゲを切ったみたいなそんなあごひげだった。


「ここへの依頼は『〜を成功させてくれ』という文法でなければ受けることができない。つまりお前の依頼は受け給わない。以上だ。」


サクはあごひげになんの動揺も見せずこういった。


「ラーメンフェスで優勝することを成功させてくれ!」


いやそういうことを言ってるんじゃない。依頼を受けたくないと言っているんだ。

そんな皮肉に気づくこともできないクライアントは、こう続ける。


「一週間後にラーメンフェスがあるんだ。多くラーメンの皿が空になった方が勝ち。つまりたくさん売れたラーメン屋が天下を取れるんだ。」


とても楽しそうに語るクライアントをいつも甲高いはずの声をとても低くしてサクがいう。


「天下を取ることができるんじゃなくて、優勝商品または優勝賞金をとることができるんだろうが」

「いや、優勝商品はなにもない。」

「帰れ」


普通にアホだ。いや、盛大にアホだ。


「いやなんでだよ!金は払う!金払えばいいんだろ?」

「まず、なんのために優勝するのかその動機がわからない。」

「有名なラーメンフェスだ。全国のラーメン好きが集まる。つまり優勝すればすごい宣伝になるんだよ。」


動機がわかったところでその動機はやはりアホだった。


「そんなしょぼくれた方法で宣伝をする必要のあるようなしょぼくれたラーメン屋に金は払えない。宣伝ならテレビ CMを打った方が効果があるからな。つまりお前の店はテレビCMを打つような金もないってことだろ」


そういうことだ。


「店長が許さない!『ラーメン屋銀さんに来ていいのはラーメンの味がわかる者だけだ』っていつも言ってるんだ。僕がテレビCMをうとうとしたときも止めた。このフェスはラーメンオタクにしか知られてない。つまりはラーメンの味がわかるものしかこないんだよ!」


万屋銀さんのパクリじゃねえか。その店主の名前を是非とも聞かせていただきたいね。


「やっぱしょぼくれた店だ。そんな客の制限をしてるような店にこの案件に見合うような金が払えるとは思えない。




「1億出す」



一週間後、サクは、ラーメンフェスの会場にいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ