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妄s……想像が現実になっちゃった!?

作者:

ふと思いついたのをダーッと書いたので設定があやふや。

しっかり作りこまれた話を読みたい方は周り右をしてください。

ある日の放課後。

私はある人物に呼び出された。


その人はこの学校の生徒会役員を引き連れて現れると


「もう、彼らを解放して!彼らは貴女の奴隷じゃないのよ!」


とわけのわからないことを言い出した。

私を呼び出した人はこの学校内で知らない者はいないというほどの有名人。

成績優秀、運動神経抜群、容姿端麗、有名人の子供とかではなく……

転入早々、学校のアイドル(笑)と言われている生徒会役員(男子の役員のみ)に纏わりついている事で有名な人。

ええ、それはもう乙女ゲームのプロローグを目の前で見ているような状況だった。


それを見ていた文芸部の皆様はもうそれはそれは面白おかしく彼らの事を物語にして発表しては、売りさばいている。

ちなみに私もその一人。

文芸部は別名ヲタクの集まりと呼ばれているけど、それがなにか?



「奴隷って……私がいつ、彼らの主になったというの?ただの幼馴染(くされえん)なのに……」


面倒くさいことに生徒会役員達とは幼馴染という関係だったりする。

幼稚園の頃からの腐れ縁。

私はその縁を切りたくて切りたくてしょうがないのに彼らが許してくれない。



中学受験を機に彼らと離れられると思ったら、私立の中学を蹴ってわざわざ公立の中学に入学。

私は親の教育方針で高校までは公立のごく普通の学校に通うことになっている。

しかし、彼らは金持ちが集う私立の学校に中学から入れると彼らの母親から聞いていたので安心していたのに……入学試験をサボってまで私と同じ学校に通おうとした。

そしてなぜかご両親たちを説得してしまったようで、私の学生生活は常に危険と隣り合わせ。


何故かって?

彼らがそれぞれ名のある家のボンボンだからだ。

幼い頃からの英才教育の賜物か、容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群という天よりも二物も三物も与えられているんだよ。


反対に私は祖父は総合病院の医院長だけど父は普通のサラリーマン。

父と彼らの父親が同級生で親友(?)という間柄だったため、その延長上の付き合いでしかない。

容姿は結婚前までファッション誌のモデルをしていたという母に似てそれなりに整っているが、美人というほどでもなく、ごくごく平凡だと思っている。

一応、平均身長、平均体重はキープしている。

毎日母からチェックが入るんだよ……主に体重……

成績もさほど良くなく(勉強嫌いなので適当)、運動神経はないに等しい(むしろ運動は天敵)という彼らと真逆の人間なんだよ。

そんな私が彼らと仲がいい(?)と知れば……ねえ?


ご想像通りです。

もう、彼らが傍にいると嫉妬の嵐。

常に学校の裏庭や体育館倉庫に呼び出されていたわ。

懇切丁寧に説明すれば大抵の方は納得してくれるのだが、時々言葉が通じない方がいらっしゃるので困る。


目の前の人もその一人。

私や私の友人たち(地道に増やしましたよ。幼馴染に懸想しない私の味方になってくれる友人を)が何度『ただの幼馴染だ』と言っても聞き入れてくれない。



「なによ!悪役令嬢のくせに!」

「は?」

「あんたは『ヒロイン』である私を苛める悪役令嬢なのよ」

びしっと人に指を向けてドヤ顔するのやめてくれませんかね。

「悪役令嬢……って、あはははははは。ばっかじゃない?」

私の普段より低い声に生徒会役員達の顔色がどんどん悪くなるけど知ったことじゃない。

「私は令嬢なんかじゃない。ごく普通のサラリーマン家庭の娘。まあ、母は一応令嬢と呼ばれる部類でしたけどね」

にっこりとほほ笑めば生徒会役員達の顔色が青から白に変わっていく。

「それに『ヒロイン』って……二次元の世界じゃあるまいし、夢と現実の区別ついているの?」

「な、なによ……あんたが悪役じゃなかったら誰が悪役なのよ」

「そもそも、悪役ってなんなの?私は犯罪者になった覚えはないわよ」

「悪役は悪役よ!私と彼らの恋の邪魔をする……敵よ!」

私はただただため息しか出ない。

生徒会役員達を一瞥すると彼らは一斉に首を横に振る。

「彼らが欲しいのならお好きにどうぞ。……と言っても彼らは私の物ではないので私が言うのも変ですけどね」

私はそれだけを言い残してその場を去った。




あの場を離れた私は文芸部の部室に直行した。

そこでワクワクしながら私の登場を待っていた部員たちに先ほどのことをぶちまけた。

まあ、そしたら部員全員の瞳が輝きだした。

きっと部員の脳内ではあんなことやこんなことが物語として成立し始めている事だろう。


来月の部誌は分厚くなりそうだと部長と顧問(顧問の先生はとても理解がある方です)がほくそ笑んでいる。


わが文芸部の部誌の内容の8割が生徒会役員をモデルにした小説(NL・BLごっちゃ混ぜ)で、校内だけにとどまらず校外(学外)にも人気があったりする。

会員制のサイト(無料)を作ってそこで公開していたりする。

一応、サイトは一部員の趣味で行っているという事で学校の管轄外扱いである。



部室備え付けのコーヒーメーカー(顧問が商店街のくじ引きで当てた)のコーヒーを部長と顧問と共に飲んでいると外からバタバタと廊下を走る音が聞こえてきた。

顧問が扉を開けた瞬間、「裏切り者~」という声と共に彼らが駆け込んできた。


「あら、生徒会役員が廊下を走るとは感心しないわね」

スカートが皺にならないように固定位置の椅子に座った顧問の声に彼らは一斉に背筋を伸ばした。

「岩切先生。そうは言いましても……」

「か・ん・し・ん・し・な・い・わ・ね」

言葉を区切って再度いう先生に彼らは一斉に謝罪した。

岩切先生はこの学校内で一番大人しいと思われている男性(・・)教諭だが、怒らせると一番厄介な方らしい。

幸いにも私は一度も見たことがないけど……彼らは何度か経験があるらしい。

「……で、あの子は振り切れたの?」

コーヒーを飲みながら先生と話している彼らを見ると縦に首を振る。

一斉に振るからまるでおもちゃを見ているみたいだと思ったことは内緒だ。

「ほんと、面白い子が転校してきたものね」

「あの子、この世界が『二次元の世界』だって本気で信じているみたいですよ」

「いい加減気づいてもいいと思うんだけどね……面白いからもうしばらく観察したいわね」

「たしかに、我が部の活動の動力源にはなりますけど……」

私と顧問が話していると彼らがげんなりした表情を浮かべた。

が、私と顧問はそれを華麗に無視している。

部長(♂)が彼らを慰めているから(部員たちにとっては)いい(光景)だろう。


ちなみにうちの部員の半数が『腐』をこよなく愛していることを追記しておこう。




「それにしてもあの子って……男ですよね?どっからどう見ても」

「そうよ。本人は女の子だと思っているみたいだけどね。しかも極上の美少女だと思っているらしい」

「先生は美人さんですから出会った時(入学式の時)、男の人だとは露程も思いませんでしたけど、あの子は『あ、男だ』とわかりましたよ。最初は男顔の女の子かと思いましたけど……喉仏がしっかりありましたからね」

「あら、美人という褒め言葉は頂いておくけど、私の心は男よ。私の場合は男装が似合わないから女装しているだけだから……言葉遣いは服装に左右されがちだけどね」

「ええ、それは十分承知していますよ(男の格好していても男装の麗人だと言われるくらい美人さんですから)」

そっと先生から視線を反らす。

ええ、ええ、一年ほど前に身をもって経験したのでよーく存じております。

まあそれはいろいろな諸事情で……今は秘密です。



「彼らの中から生贄を出すとしたらどれがいいかしら。俺様会長?眼鏡副会長?大型犬会計?小型犬書記?無口庶務?どれを差し出しても面白そうね……」

ふふふと黒い笑みを浮かべている先生に、生徒会役員達は瞬時に壁際に逃げ、一斉に首を横に振った。

「面倒くさいから全員じゃだめですか?」

「それはそれで面白いけど……一人ずつの方が長期戦に持ち込めるわよ」

「その分、私の精神ポイントが著しく減るのでやめていただきたい」

「それもそうね。貴女に火の粉が掛かるのは私も避けたいから……じゃあ、全員まとめてあの子に渡しましょうか」

「いつがいいですか?」

「そうね、来月末に文化祭もあるし、その日を最終日にしましょうか」

「了解です」

私と顧問の話を耳にダンボにして聞いていた部員たちが笑みを浮かべ、何やらこそこそと話していた。

部長は生徒会役員をなだめるのに忙しく聞いていなかったらしいが、後日報告するとそれはそれは楽しそうにパソコンに向かって文化祭用の原稿を書き上げたのだった。




さて、その後のことは簡単に話しておこう。

あまり詳しく書くのは私の精神的によろしくないので……割愛したい。


文化祭後、生徒会役員達は全員、『ヒロイン』様においしく頂かれたそうだ。

肉体的にも精神的にも……

いや~文化祭の講堂ステージで『ヒロイン』様がいきなり告白したかと思ったら、その場でぶちゅーっと全員とキスを交わした時のあの講堂に響き渡った黄色い歓声。

そう、悲鳴ではなく歓声があがったんだよ。

まあ、一部の女生徒がショックのあまり意識を手放し保健室に運ばれたという報告もあったけど、興奮したため軽い貧血を起こしたのだろうとスルーされた。


生徒会役員達は公衆の面前で男にキスされたショックからか、新しい扉を開いたらしい。

文化祭後、生徒会役員と『ヒロイン』様が仲良くウフフ、アハハといちゃついている姿をよく見かけたから、そうなんだろう。

彼らの母親曰く『蛙の子は蛙だったのね~。かわいい女の子のお嫁さんは無理そうね。せめてもの救いは下の子(娘)たちがまともだという事ね……』と顔を見合わせてため息をついていたとか……



まあ、ぶっちゃけて言えば……

彼らの父親は私の父に懸想していた。

そう、『親友』なんて生ぬるい関係じゃなかったんだよ。

父は彼らの父親に貞操を常に狙われていた。

そんな父を守ったのが私の母と彼らの母親。

父と母は幼馴染で相思相愛で、今なおラブラブカップルだ。

そんな二人を邪魔する彼らの父親は父と母にとっては天敵。

というかよくそんなラブラブカップルの間に入り込もうと思うよな……


父と母は何度、彼らから離れようとしてもいいところのボンボンである彼らから逃げられなかった。

ネットワークが半端なかった。

国内どころか、国外にまでネットワークが張り巡らされていたからだ。

さすが、いいところのボンボン……


母の友人たち(こちらもいいところのお嬢様)は父と母を守るためにそれぞれの家に嫁いだ。

もともと許嫁の関係だったとかで混乱はなかったという。

彼らの父親は妻同士が『親友』という事で繋がりが持てるというメリットで婚姻届にサインしたとか。

結婚後は妻にしっかり手綱を握られているらしいけどな。


以前、『カカア天下万歳』と父と母が笑っていた。


なんとか平和な日常を送れるようになった時に私が生まれた。

そう、女である私がである。


同時期に彼らも生まれているんだけどな……

まるで示し合せたようだと父と母は顔を引き攣らせていた。

母の友人たちは申し訳ないと謝っていたとか……

何とか時期をずらしたかったがずらせなかったと何度も愚痴っていたらしい。



彼らの父親は間接的に父と家族(親戚)になる方法を即座に悟った。

そう、すなわち私と自分たちの息子を家族にしてしまえばいいと。

母親たちはちゃんとした女の子相手なら文句はないと、静観していた。

だれが『私』をお嫁さんにするのかしらね~と笑っていたけど。



ちなみに私は彼らの誰にも恋愛感情は抱いていない。

むしろ、嫌悪感しか抱いていない。

表面上は平然としているけど、内心はあいつらが視界に入るのも、あいつらの名前を聞くのもしんどかった。

あいつらのせいで私は親しい友人を作ることが難しかったし、平穏な学校生活を送れていないんだからな。

両親と彼らの母親にそのことを告げたのは中学3年に進級した時。

このままでは高校受験に影響が出ると両親に泣きながら訴えた。

両親にはもっと早く相談してほしかった、気づいてやれなくてごめんと謝られた。

両親たちと相談して転校や父方の叔父がいる海外に留学の案も出ていたが、悉く邪魔が入って計画はとん挫した。

せめて高校は別のところに……と秘密裏に計画を進めていたが、担任のうっかり発言でばれた。

口を滑らせるのなら受験が終わってからにして欲しかったよ。



合格発表の時、合格しても嬉しさよりも絶望の方が大きかった。

絶望を抱えたまま入学した学校で私は『大切な人』と出会えた。

その人がいるから今の私は楽しく学生生活を送れた。


「ねえ、彼らを題材に物語書いてみない?」

部活見学の時にその人はそういって部活に勧誘してきた。

「貴女の幼馴染は個性的よね。いい題材(おもちゃ)になるわ」

「おもちゃ?」

「そう、題材(おもちゃ)。彼らのヒミツ暴露は面白くないから……たとえば、彼らの中でカップリングを作って……」

私はイトコの影響でアニメ・マンガ・ゲームなど二次元大好き人間になっていた。

現実の男に幻滅していた(若干男性恐怖症を患っていた)という理由もあるかもしれない。

だが、実在の人物の物語を書くという発想はなかった。

イトコにそれとなくその人のことを話したら笑いながら

「きっとあんたがあいつらに振り回されているのを見て、物語の中だけでも彼らを振り回せば?って言っているんじゃないの?実名を出さなければいくらでも言い訳できるしね」

イトコのこの言葉になぜか後押しされて、私は文芸部に入部した。


文芸部とは二次元をこよなく愛する二次元愛好家の集まりだと知ったのはそれからしばらく経ってからだった。



あの文化祭後、私の周りは静かになり、無事に高校を卒業できた。

生徒会役員であった彼らと自称『ヒロイン』様が私に絡まなくなったからだ。

「それにしても、あなたの書いた物語が現実になるなんてね」

文化祭の時に販売した部誌を捲りながら岩切先生はくすくすと笑っている。

「正直、ボーイズラブってよくわからないんですよね。ただ、『ヒロイン』を女性じゃなくて男性にしただけなんですけどね」

「いいのよ、それで。あなたも書いていたけど『たまたま好きになったのが男だった』それだけよ」

「そんなもんですか?」

「そんなもんよ」

部誌を閉じ、席を立つと先生は私の方に手を差し伸べた。

「さて、昔のことを思い出すのはここまで。この先は『未来』を見つめましょう」

私はその手を取り、立ち上がる。

「卒業おめでとう。これで堂々と一緒にいる事が出来る」

にやりと笑み浮かべる岩切先生。

「教師と生徒との恋って物語の中だけだと思っていたんだけどな」

ギュッと握られた手を握り返すと先生は嬉しそうに笑っている。

「確かにな、現実問題リスクだらけだ。でも、それも今日で終わる」

先生に手を引かれながら校舎を後にし、正門まで歩く。


途中、文芸部のみんなに生暖かい眼差しを向けられた。


正門を出ると先生の腕の中に引っ張られた。

「俺はお前を手放すつもりはないからな。覚悟しておけよ」

「お手柔らかにお願いいたします」

くすくす笑いながら答えると、額にチュッと短いキスが贈られた。

その瞬間、周りから歓声が響き渡った。

周りを見回すと、クラスメート、部活仲間、後輩が満面の笑みを浮かべていた。

その後ろには先生方が呆れたような表情を浮かべていたが特に怒られるようなことはなかった。



「俺が妄想しながら書いた小説通りの未来が実現できたよ」

私の耳元で囁く先生。

「これからは二人で書いていこうか。妄想ではない、確実な未来を」




BLは嫌いじゃありませんよ?

数年前までバリバリに読んでましたから(笑)あとゲームもしていた。

しかしある日突然、萌えなくなったのでNL物しか読まなくなっただけです。



作品の中の登場人物・・先生しか名前が出ていない(笑)

フルネームは岩切春生いわきりはるお

一部の生徒たちには『ハルちゃん先生』と呼ばれていたりする。

常に女装をしている。(男の格好をしていても女に間違えられて一々訂正するのが面倒になり開き直り常に女装するようになった)

ただし、狙った獲物(この物語の主人公)は絶対に逃さない。

主人公のイトコの同級生であり、実はかなり昔から狙っていた様子。


先生の設定はある程度作ってあるのに活かせなかった…orz

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