ルシッサ視点
親友であって、同階級のゼルダ・ローズの誕生日を祝うパーティーが行われた。もちろん、僕も出席した。
ローズ邸に着いた時、初めにゼルダに会いに行った。
「ゼルダ」
「ルシッサじゃねーか」
「誕生日おめでとう」
「サンキュー」
こうして他愛ない会話が終わった後、僕はその場を離れた。ゼルダは今日のホストで主役だ。僕なんかにいちいちかまってられないだろう。その証拠に、別れてからすぐ違う人がゼルダに挨拶に来た。
それにしてもおかしな世の中だ。フルクルスという階級で分けられた世の中。どうして大の大人がまだ幼児の僕らに頭をペコペコ下げるのか。見ていて気味が悪い。
そういえば、今日この会場にリス家のご令嬢が来てるんだっけ。
興味ないけど。
◇◇◇◇◇◇
ゼルダの誕生日パーティーが終わり、少し経ったある日のことだ。
予定がお互い空いていたので、ゼルダが僕の家に遊びに来た。遊ぶといっても、ただ話をするだけだ。
「パーティーの時、リス家のご令嬢と庭園を歩いた」
ゼルダは開始早々こう口走った。
正直驚いた。ゼルダは女性というものが嫌いだったからだ。もちろん、僕もだけど。理由は簡単。煩いんだ。僕らの容姿がいいからってだけできゃあきゃあ騒がれて。初めは単に褒められているだけだと思ったから、普通に嬉しかった。でも彼女達の下心に気づいてしまうと、もうなにもかもうんざりになった。
そのゼルダが、女の話をするのが意外だった。
「で、どうだったの?その子」
僕は少し興味が出た。
「別に。ただ、変な奴だった」
「変?」
「ああ。久しぶりだったよ。あんな豪快に笑ったのなんて」
「…何があったの」
「面白い奴だった」
「答えになってないよゼルダ」
しかし、ここまで言わせるそのご令嬢。何者なんだろう。
その子の話をしているとき、ゼルダは少し楽しそうだった。
◇◇◇◇◇◇
夏になり、僕の誕生日パーティーが開かれた。ゼルダは用があって来れないと連絡を受けた時、少し悲しかったが、僕には興味目玉が他にあった。リリィ・リス。
目玉は向こうから来た。
「はじめまして。ルシッサ様。お誕生日おめでとうございます」
「ああリリィ様。お忙しいところおいでくださりありがとう」
はじめて彼女を見た時、正直怖いと思った。まるで殴られるのではないかと思った。彼女は普通に見つめてるだけだろうが、僕には睨まれているように感じた。
あと、雰囲気がゼルダに似ていた。
そんな彼女、リリィは挨拶が終わるとスタスタとどこかへ消えてしまった。
少し意外だった。普通の女の子だったら、離れまいと話し続けるのに。彼女は僕に見向きもしなかった。自惚れすぎかな、僕。
リリィが去ってからも挨拶回りが続いた。
その波がようやく途絶えた時、はぁ、と小さくため息を吐いた。
その時だった。
「ルシッサ様」
リリィが声をかけてきた。
何やら話がしたいようだったので、だれも来ないであろう一つの書斎にリリィを案内した。もう敬語で話すのは疲れた。
どうやら話は結婚についてで、リリィは僕と、それとゼルダとも婚約したくないと言ってきたのだ。
その理由は、「好きな人と結婚したいから」。できるんだったら苦労しないよ。
僕にはアネッサ・バレーという兄がいる。もう結婚し、次期社長として頑張っている。なんで完璧にこなす、憎たらしい兄。
僕はいつも比べられた。
次男だからというのもあるが、僕の結婚相手は別に国内同階級でなくてもいいが、できればそれでぐらいだった。だったら、好きに恋愛させてよ。結婚させてよ。自由にしてよ。
「もし、本気でその人のことが好きならば、どんな障害でも走り抜けることができると、私は思うんだ」
楽観的で、自由な人だ。でも、彼女はその夢を叶えようと、こうして行動している。
少し、尊敬した。
「だから、ルシッサも本当に好きな人を見つけて、いい恋愛しようね」
あれ?もしかして思ってたこと顔に出てた?
でも、まぁ、嬉しいよ。親には失望され、応援してくれるのなんて、今までゼルダしかいなかったし。
なんだか、彼女と話をしていて楽しくなってきた。
「あ、そろそろ行かなきゃ」
え、待って。行かないで。もっと君と一緒にいたい。
「じゃあね、ルシッサ」
その言葉が出ずに、彼女を逃した。
それからリリィが出て行った扉を、見つめることしかできなかった。
「……」
ゼルダ、君の言った通りだったね。
面白い。
ねぇ、ゼルダ…
「フルクルス表」
上から高い順。
・ピオニー(王族)
・クリサンセマム(王族に近い貴族)
・アマリリス(貴族)
・チネンシス(貴族と庶民の間)
・プインス(庶民)
・ラフレシア(奴隷)
名前は全て花からとっております。




