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訳あってヨガしながら投稿しました。
朝起きて、冷静な頭で昨日を振り返った。
私はなんてことをしたのだろう。
ゼルダとの婚約はなくなったと思う。だがそれ以前の問題。もし、昨日のタルタルソース(私が述べた罵倒)ローズ亭主に伝わったら…どうしよう。
いや、あちらも失礼な言葉は言ったんだ。多分お互いチャラになるだろう。だがしかし、未来はどう転ぶかわからない。昨日のことが周りに漏れて、隣国まで渡ったらどうしよう。隣国にいる未来の旦那さんと結婚できなくなっちゃう!
昨日は色々疲れてお父様にゼルダについて言うの忘れてたけど、言った方がいいのかしら?言わない方が…?
いや、言わないでおこう。告げ口は最終手段だ。
◇◇◇◇◇◇
季節は過ぎ、夏になった。
もう忘れないよ。え?何がって?攻略キャラの誕生日だよ。
まだ1人、残ってるからね。誕生会が。
この季節は確かルシッサ・バレーの誕生日があった。彼は優しいからどうやって婚約話を無しにするか、作戦が立てづらい。
ん?そもそもルシッサってゼルダのパーティーに居たっけ。
◇◇◇◇◇◇
「ああ、確かに居たよ」
あ、居たんだ。それは知らなかった。
「リリィに会いたがってたよ」
こちとりゃ会いたくなかったけどね。その前に修羅場だったからね。いろいろと。
因みに現在、馬車に揺られています。目的地はバレー邸。そう、今日はルシッサの誕生日だ。
お父様情報によると、今回のパーティーにはローズ家は出席しないらしい。それを聞いた時の私の反応、心の中で「っしゃぁあ!」とガッツポーズ。
「もうすぐ着くよ」
なぜか、今回はお父様にそう言われてもそこまでの嫌悪感はなかった。
ゼルダので慣れちゃったのかな?
◇◇◇◇◇◇
バレー邸はリス邸に雰囲気が似ていた。違うところを上げるとすれば、庭園の花は鈴蘭だということだ。
本当、華だらけだな…と思ってるそこのあなた。そうなんです。この「華の都、貴女は蕾」では、華がこの物語の重要ポイントなのです。
この世界では、フルクルスでアマリリス以上の者は、「華族」と呼ばれる。前世で言う貴族のようなものだ。華族は家に代々伝わる華をイメージとしている。私の場合、百合の華だ。
名前もファミリーネームに華の名前を持ってくる。この世の中、華を制する者が頂点と言ってもいい程華々しい。いろんな意味でね。
さて話を戻すが。この長い説明をしている最中に、ルシッサとの挨拶は終わらせた。(べ、別に書くのが面倒だった訳ではない)
挨拶の内容はゼルダと一緒だ。違うと言えば、ゼルダのように誘ってこなかったというだけ。
ルシッサは次にきた人達に挨拶を返していた。なんというか、この世界の子供は大人すぎるだろ。常識的に考えて。
それよりも、凄いことを知ってしまった。あのルシッサには、兄がいたらしい。ルシッサルートを全てクリアした私もビックリだよ。名前はアネッサ・バレー。アネッサは女の名前のように思うが、実はこの世界では男の名前なのだ。
少し、納得した。
ゼルダが私を庭園に誘った理由だ。ゼルダは一人っ子だ。そんな可愛い一人息子を、両親は外国に行かせたいか。勿論否だ。
しかしルシッサは兄がいる。アネッサは既婚者だ(年離れすぎだろ)。よってそこまで国内での結婚に執着はない。
ゼルダの場合、親にでも言われたのだろう。「リス家のご令嬢と二人きりになり、バレー家よりも先に落とせ」と。本人も私と同じく婚約する気は無かったようなので、ローズ家亭主。ドンマイ。
と、いうことはだ。こりゃいけるかもしれないぞ。ルシッサ本人に結婚は私じゃなくてもいいんだよ。と洗脳…ゴホン、教えこめば。
そうと決まればスタコラサッサ。
ちょうど客人挨拶の波も途絶え、一人でいるルシッサに声をかけた。
「ルシッサ様」
「え、ああ…どうなさいましたリリィ様」
どこか疲れてるように見えた。そりゃあんな大勢を、こんな子供がさばききるなんて、拷問に近い気がする。
「ルシッサ様、少しお話があるのですが」
「では、立ち話もなんなので、どこかで座りながらでも」
ルシッサはそのどこかへ私を案内した。
◇◇◇◇◇◇
案内されたのは、小さな書斎だった。バレー家亭主は本の虫らしく、書斎はいくつもあるらしい。
そこにあった二人用のソファー。私達はそこに並んで座った。
「それで、話ってなにかな?あ、大人たちはこの部屋にあまり来ないからタメ口でいいよ」
え、そういうものなの?大人達が居なかったらタメ口になっていいの?てっきり子供同士でも「ごきげんよう」だと思ってた。…あ、そっか。私達フルクルス同じだもんね。
おっとそれより説得説得。
「ルシッサは、どう考えてるの?結婚…婚約について」
「僕は別に……そういえば、そんなことあまり考えたことなかったな。バレー家は兄が継ぐし、僕の結婚の重要性って、あまりないからさ」
そうそう、だから一番君が攻略しやすかったんだよね。前世ではお世話になりました。
「なら、私の名前は伏せてあなたのお父様に、私との縁談をなかった形で進めるように言って欲しいの」
「いいよ」
おい、あっさりしてんな。結婚についての洗脳、じゃなくていろいろ教え込もうと意気込んだのに。手間は省けたけどね。
「じゃあ、リリィはゼルダと結婚するんだ」
「は⁉︎するわけないじゃない」
「だって、この国にクリサンセマムの男子はあとゼルダしかいないし」
「だって、彼は私の事嫌いなのよ?」
「え?あいつの話し方からして、少なくとも嫌ってるようには見えなかったけど」
確かルシッサはゼルダの親友なんだっけ。いいなぁ、親友。友達でもいいから欲しいなぁ。あれ?目から水鉄砲が。
てか何私の事話してたんだよ。悪口大会か⁉︎
でも、少なくとも嫌いではない?あんなことになっといて?解せぬ。ルシッサが嘘ついてるようには見えないけどなぁ。どうなんだろう。ま、いっか。
「じゃあ、リリィは誰と結婚したいの?」
「んー。そりゃ好きな人がいいわ」
「外国の人でも?フルクルスが違っても?」
「もし、本気でその人のことが好きならば、どんな障害でも走り抜けることができると、私は思うんだ」
「へぇ……」
「だから、ルシッサも本当に好きな人を見つけて、いい恋愛しようね」
「えっ」
「あ、そろそろお父様と帰る時間だわ。それじゃあね、ルシッサ」
私は少し急いだ足でその場を去った。ルシッサが出てく間際、何か言ってたような気もするけど知らん。お父様が待っているんだ!
まぁこれで、私の国内での婚約はなくなった。待ってろよ私の王子様!いま、会いにゆきます。
◇◇◇◇◇◇
家に帰って、私は自室で全力ガッツポーズをした。これであのヤンデレ達に殺されることはなくなった。うっひょひょーい。
ヨガで一番好きなポーズは、死体のポーズです。




