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華の都、貴女は蕾  作者: Onyx
婚約者編
5/17

訳あってヨガしながら投稿しました。

朝起きて、冷静な頭で昨日を振り返った。

私はなんてことをしたのだろう。


ゼルダとの婚約はなくなったと思う。だがそれ以前の問題。もし、昨日のタルタルソース(私が述べた罵倒)ローズ亭主に伝わったら…どうしよう。

いや、あちらも失礼な言葉は言ったんだ。多分お互いチャラになるだろう。だがしかし、未来はどう転ぶかわからない。昨日のことが周りに漏れて、隣国まで渡ったらどうしよう。隣国にいる未来の旦那さんと結婚できなくなっちゃう!


昨日は色々疲れてお父様にゼルダについて言うの忘れてたけど、言った方がいいのかしら?言わない方が…?


いや、言わないでおこう。告げ口は最終手段だ。




◇◇◇◇◇◇




季節は過ぎ、夏になった。


もう忘れないよ。え?何がって?攻略キャラの誕生日だよ。

まだ1人、残ってるからね。誕生会が。

この季節は確かルシッサ・バレーの誕生日があった。彼は優しいからどうやって婚約話を無しにするか、作戦が立てづらい。


ん?そもそもルシッサってゼルダのパーティーに居たっけ。




◇◇◇◇◇◇




「ああ、確かに居たよ」


あ、居たんだ。それは知らなかった。


「リリィに会いたがってたよ」


こちとりゃ会いたくなかったけどね。その前に修羅場だったからね。いろいろと。


因みに現在、馬車に揺られています。目的地はバレー邸。そう、今日はルシッサの誕生日だ。

お父様情報によると、今回のパーティーにはローズ家は出席しないらしい。それを聞いた時の私の反応、心の中で「っしゃぁあ!」とガッツポーズ。


「もうすぐ着くよ」


なぜか、今回はお父様にそう言われてもそこまでの嫌悪感はなかった。

ゼルダので慣れちゃったのかな?




◇◇◇◇◇◇




バレー邸はリス邸に雰囲気が似ていた。違うところを上げるとすれば、庭園の花は鈴蘭だということだ。


本当、華だらけだな…と思ってるそこのあなた。そうなんです。この「華の都、貴女は蕾」では、華がこの物語の重要ポイントなのです。

この世界では、フルクルスでアマリリス以上の者は、「華族」と呼ばれる。前世で言う貴族のようなものだ。華族は家に代々伝わる華をイメージとしている。私の場合、百合の華だ。

名前もファミリーネームに華の名前を持ってくる。この世の中、華を制する者が頂点と言ってもいい程華々しい。いろんな意味でね。


さて話を戻すが。この長い説明をしている最中に、ルシッサとの挨拶は終わらせた。(べ、別に書くのが面倒だった訳ではない)

挨拶の内容はゼルダと一緒だ。違うと言えば、ゼルダのように誘ってこなかったというだけ。

ルシッサは次にきた人達に挨拶を返していた。なんというか、この世界の子供は大人すぎるだろ。常識的に考えて。


それよりも、凄いことを知ってしまった。あのルシッサには、兄がいたらしい。ルシッサルートを全てクリアした私もビックリだよ。名前はアネッサ・バレー。アネッサは女の名前のように思うが、実はこの世界では男の名前なのだ。


少し、納得した。

ゼルダが私を庭園に誘った理由だ。ゼルダは一人っ子だ。そんな可愛い一人息子を、両親は外国に行かせたいか。勿論否だ。

しかしルシッサは兄がいる。アネッサは既婚者だ(年離れすぎだろ)。よってそこまで国内での結婚に執着はない。

ゼルダの場合、親にでも言われたのだろう。「リス家のご令嬢と二人きりになり、バレー家よりも先に落とせ」と。本人も私と同じく婚約する気は無かったようなので、ローズ家亭主。ドンマイ。


と、いうことはだ。こりゃいけるかもしれないぞ。ルシッサ本人に結婚は私じゃなくてもいいんだよ。と洗脳…ゴホン、教えこめば。


そうと決まればスタコラサッサ。


ちょうど客人挨拶の波も途絶え、一人でいるルシッサに声をかけた。


「ルシッサ様」

「え、ああ…どうなさいましたリリィ様」


どこか疲れてるように見えた。そりゃあんな大勢を、こんな子供がさばききるなんて、拷問に近い気がする。


「ルシッサ様、少しお話があるのですが」

「では、立ち話もなんなので、どこかで座りながらでも」


ルシッサはそのどこかへ私を案内した。




◇◇◇◇◇◇




案内されたのは、小さな書斎だった。バレー家亭主は本の虫らしく、書斎はいくつもあるらしい。

そこにあった二人用のソファー。私達はそこに並んで座った。


「それで、話ってなにかな?あ、大人たちはこの部屋にあまり来ないからタメ口でいいよ」


え、そういうものなの?大人達が居なかったらタメ口になっていいの?てっきり子供同士でも「ごきげんよう」だと思ってた。…あ、そっか。私達フルクルス同じだもんね。


おっとそれより説得説得。


「ルシッサは、どう考えてるの?結婚…婚約について」

「僕は別に……そういえば、そんなことあまり考えたことなかったな。バレー家は兄が継ぐし、僕の結婚の重要性って、あまりないからさ」


そうそう、だから一番君が攻略しやすかったんだよね。前世ではお世話になりました。


「なら、私の名前は伏せてあなたのお父様に、私との縁談をなかった形で進めるように言って欲しいの」

「いいよ」


おい、あっさりしてんな。結婚についての洗脳、じゃなくていろいろ教え込もうと意気込んだのに。手間は省けたけどね。


「じゃあ、リリィはゼルダと結婚するんだ」

「は⁉︎するわけないじゃない」

「だって、この国にクリサンセマムの男子はあとゼルダしかいないし」

「だって、彼は私の事嫌いなのよ?」

「え?あいつの話し方からして、少なくとも嫌ってるようには見えなかったけど」


確かルシッサはゼルダの親友なんだっけ。いいなぁ、親友。友達でもいいから欲しいなぁ。あれ?目から水鉄砲が。

てか何私の事話してたんだよ。悪口大会か⁉︎


でも、少なくとも嫌いではない?あんなことになっといて?解せぬ。ルシッサが嘘ついてるようには見えないけどなぁ。どうなんだろう。ま、いっか。


「じゃあ、リリィは誰と結婚したいの?」

「んー。そりゃ好きな人がいいわ」

「外国の人でも?フルクルスが違っても?」

「もし、本気でその人のことが好きならば、どんな障害でも走り抜けることができると、私は思うんだ」

「へぇ……」

「だから、ルシッサも本当に好きな人を見つけて、いい恋愛しようね」

「えっ」

「あ、そろそろお父様と帰る時間だわ。それじゃあね、ルシッサ」


私は少し急いだ足でその場を去った。ルシッサが出てく間際、何か言ってたような気もするけど知らん。お父様が待っているんだ!


まぁこれで、私の国内での婚約はなくなった。待ってろよ私の王子様!いま、会いにゆきます。




◇◇◇◇◇◇




家に帰って、私は自室で全力ガッツポーズをした。これであのヤンデレ達に殺されることはなくなった。うっひょひょーい。

ヨガで一番好きなポーズは、死体のポーズです。

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