4
今回殴り書きの嵐です。
ローズ邸はリス邸と広さはほぼ同じだった。そりゃフルクルスは同じだもんね。
しかし雰囲気はまるで違った。リス邸は気品溢れる清楚純白、庭は百合園。それに比べローズ邸は、一言で言うならば豪華。ゴシック調が目立ち、庭は薔薇園だ。
まぁそんなことはどうでもいい。
私は馬車でここまで来る間、作戦を練っていた。なんの作戦かって?あの2人と婚約しなくても言われる作戦だ。
手っ取り早く、私に失望させればいい。
お嬢様らしかぬ失言したり、オナラしたり、アヘ顔したり……。
◇◇◇◇◇◇
そんなことできるもんならとっくにやっとるわ。
「はじめまして。リリィ・リスでございます。本日は記念すべき日を迎え、おめでとうございます。ゼルダ様」
私はドレス摘み、膝を曲げて礼をした。
「はじめまして。リリィ様。ゼルダ・ローズです。本日はお忙しい中起こしいただきありがとうございます」
ホストにして今回の主役、ゼルダに挨拶に行った。お父様に言われて。
ゼルダは紳士的に挨拶をしてくれた。ゲームでは俺様ゴーゴージャイアニズムだったので、どう返ってくるか不安だったが。
「リリィ様。どうですか?お暇でしたら、俺と庭園を歩きませんか?」
「ええ。よろこんで」
私はゼルダから差し出された手を取った。
うわーーっ!2人きりになりたくないよ!
お父様はホールでいろんな人と話しているし、友達なんて誰もいないし!逃げ場がない!
おや?目から温かい水が…。
まぁ逃げ場があっても断れないんだけどね。
◇◇◇◇◇◇
私は絶句した。
手を取りながら庭園までやって来た。そして2人きりになった瞬間、ゼルダは私の手を乱暴に振りほどいた。大きなため息を吐かれた。睨まれた。
「ジロジロ見てんじゃねーよ、ブス」
罵倒された。
おいこの野郎。最近のガキはこうも口悪くなったのかよふざけんなよなんなんだよ。
私は精神年齢は大人だ。でも今は女の子だ。どうしようもない怒りと嫌悪が混じって、今頭の中でタルタルソースができたわ。ハムスターもびっくりだよ。
ゲームでのゼルダの俺様キャラは、この先事件があってひねくれてできるものだと、思ってた時期が私にもありました。最初の挨拶で騙された。そうかそうか。君はそういう奴だったんだな。大人の前ではいい子ぶりやがって。
そんな私を置いて、ゼルダは薔薇に囲まれた噴水の方へ歩いて行った。あんにゃろう。
………ん?あ、そっか!
よく考えれば、この状況を利用して、婚約を今後取り決められなくする事ができるかもしれない。私を罵倒した男と結婚したくない!と言えば、お父様も納得してくれるはず。
ゼルダ、ナイスでーす。
「クフッ」
「あ?何笑ってんだよ」
美しき未来を想像していたら思わず笑が漏れてしまった。
ついでにルシッサの方も、同じ手使えないかなぁ。
「いえ、別に……フフッ」
「気味悪ぃんだよブス」
「でもこれで婚約しなくて済むと思うと…笑が止まらないわっ」
「……は?」
あ、ルシッサは無理か。あの子は人を罵倒するような子じゃないもんね。
頭の中がパラダイスだった所為か、ゼルダが私の腕を握るまで、彼が近づいて来てたなんて気づかなかった。
「……あの、なに?」
「俺と結婚したくないのか?」
「はぁ?誰があんたなんかと」
もうここまで来ればヤケだ。相手が敬語を使わないなら私だって使わなくてもいいはず。さっきのタルタルソース、お前にかけてやるよ!ちょびちょびとな!
「この自惚れ屋。全てが自分中心だと思ってんじゃないわよ」
ゲームプレイ中、本気で思ったこと。
「そもそもあんた、私の好みじゃないし」
ダンディーなお方を連れてこい。
「このチビ」
実際私の方が、ほんの少しだけど身長が高かった。
まぁ、ここまで言っとけば確実だろう。こいつは私を嫌い……
「ゼルダ…ローズ?」
私は彼の名を呼んだ。
わけがわからないよ。ゼルダは握った手に一瞬力を入れたと思うと、直ぐに離した。
そして、笑い出したのだ。それも、まあ、豪快に。なにがツボったのかはわからなかったが、少し、怖かった。
なにか、狂気染みてて。
「はぁー……」
ようやく笑いが収まったゼルダは、赤い瞳で私を見た。
「お前、面白いな」
そう言うと、ゼルダは走って去ってしまった。
どこか歪んだ顔で「面白い」と言われても、嬉しくない。私はしばらくの間、その場から動けなかった。
フラグ破壊しようとしたら、逆に立ったように感じたのは、私だけだろうか。
◇◇◇◇◇◇
その後、私はお父様と合流し、馬車に乗って帰った。
あの後私はゼルダに会わなかった。
いや、会いたくないのだが。
リアル父が野口英世に似てることに最近気がついた。




